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言葉を選ぶ面白さ

先日、「僕は言葉選びが上手くない」と素直な気持ちを述べてみたところ、「いや、そうでもないよ」と優しい言葉をかけていただいた。

自分が綴った言葉でそのように感じてくれるのは、この上なく嬉しい。同時に慢心しないよう、一層気を引き締めていかねば、とも感じた。

そんな訳で、不意に路頭に迷った時に立ち返るセーブポイントを作るべく、頭の中身を整理し、『言葉を選ぶ際に心がけていること』を纏めていこうと思う。

特に心がけている3項目

①対象を正しく想像し、その立場になって考える

基本的に言葉や文章は、読み手の立場(後攻)が強い。 自身が欲している内容やアプローチになっていないと感じた時点で、言葉のキャッチボールを不成立にすることも、反則だと主張することも可能なのだ。

キャッチボールを続けて貰うためには、どんな言葉をかけてもらったら嬉しいか、何に気づいてくれたら嬉しいか、良い意味で自分を殺し、対象の心(望み)と自分の心を重ねてみて欲しい。

あわせて、その対象が個なのか集団なのかを意識することを忘れてはならない。

対象の母数が増えれば、望みの種類も、許せないものの種類も増える。種類が増えれば、相反する内容が存在していることも珍しくはない。”全方位に対して1回で伝わる完璧”な言葉選び、文章作りを試みないこと。


②類義語と仲良くする

例えば、寒い・肌寒い・冷え冷えする・凍えるなど、似たような言葉を並べて、その中から最も合致しているものを選んでは、更に良い言葉や表現があるのではないかと推敲する。パズルのピースを探している感覚、洋服をコーディネートしている感覚に近い。

言葉の選択だけでどうにもならない時は、文章単位で、それでもダメなら段落単位で見直しをかける。やりたくないけれど、やる。答えが見えていなくても、やれば良くなることだけは分かっているので、やる。時には覚悟を決めなくてはならない。


③文章のトーンを整える

言葉が食材だとすると、トーンは調理法って感じです。即ち、最高の食材の選択は間違っていなかったとしても、その後の工程で塩加減に失敗したらしょっぱい仕上がりになるって話ね。塩だけに。 ……は? 

これくらい分かりやすい多重人格感とわかりづらい文脈なら手直しも楽ですね。すぐに修正いたします。ただ、実際には書いてる本人にはなかなか気づけないレベルのものが多く、最後は周囲の人に協力を仰ぐことが最適なので、それを推奨します——

いかがだろうか。

読めないことはないものの、解読・翻訳をしている感覚に陥ってしまい、なんだかすっきりしない。真面目だろうが、砕けていようが、統一感を持たせることが重要なのである。統一感を持たせた結果、選んだ言葉が最適解でなくなったなら、ぺこぱよろしく”時を戻そう”。


……こうやって整理をしてみると、つくづく地味で手間がかかることをやっているなと思うのだが、これが面白いのだから仕方ない。

要は筋トレなのだ。この3項目に取り組まなくても死にはしないが、取り組み続けた結果、ある日突然重い案件を持ち上げられたり、物事をスムーズに運べるようになれるのである。それらがいつ訪れても受け止められるよう、ゆっくりでも着実に言葉の筋肉を鍛えていきたい。

なお、少し前にも似たようなテーマで、「言葉って難しい」と題したnoteを書いている。ご一読いただければ幸いである。





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