産んでごめん

産んでごめんと言われたことがある
わたしは中学2年生だっただろうか
姉が親と大喧嘩してた時に、父親の口から

母はびっくりしていた
わたしもびっくりして固まってしまった
姉はどこか冷静だった
むしろ彼女からすれば望んでいた言葉だったのかもしれない
勝手に産んで生きさせられていることに酷く苦しんでいたから

声を荒げずに言われた
勢いで言ってしまったようには感じられなかった

あの頃、父の人生全てを考えられるほどの想像力はなかったけれど
彼自身生まれてこなければよかったと思うことが何度もあったんだと、わたしの人生が始まるよりもずっと、ずっと前に。今ならなんとなくそうだと分かる。

姉とわたしに向けた産んでごめんには、確かに彼なりの共感があった

だから恨んでいないし怒っていない、悲しいけど、でも

許している

産んでごめんは産まなきゃよかったとは違うことを知っているから

残りの彼の人生を少しでも幸せなものにしてあげられますように

産んでくれてありがとう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?