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「復讐者に憐れみを」ペ・ドゥナ映画にハズレ無しって本当?

ペ・ドゥナが出演する映画について4本目のコラムです。韓国ドラマ「秘密の森」で女優ペ・ドゥナが大好きになり、3か月かけて日本で視聴可能なペ・ドゥナ作品を見続けています。現在26本見終えておりゴール間近の段階。作品情報やレビューなどで「ペ・ドゥナの作品はハズレがない」という意見をよく見かけます。「それって本当?ファンのひいき目?本当ならなぜ?」それなことを考えながら見続けています。

救いがない…だけど物語に力がある。

辛いだろうと予想していたので見るのを先延ばししていました。「ペ・ドゥナ祭り」をやっていなければまず出会わなかった映画です。重く救いのない物語でした。残虐で正視できないシーンもあり、最後のくだりで「憐れみを」って姉さんの傍に葬ってやることだったのかと腑に落ちたものの、複雑な後味が残りました。ソン・ガンホは復讐の過程で事の詳細を知り、憐れみの心を持ち始めたものの、もはやここまで来たら復讐する以外にはなすべきことは無い。悲しい。しかし物語に力があるので引き付けられて最後まで一気に見てしまいました。時折、絶好のタイミングで挿入されるサックスの金切り音が怖いほど効果的で、あの音を聞くと胸が締め付けられました。

約20年前からソン・ガンホはすでにソン・ガンホ

主人公のソン・ガンホとシン・ハギュン、ペ・ドゥナが三人三様に際立った役柄を演じており、約20年前からソン・ガンホはすでにソン・ガンホで、ペ・ドゥナはペ・ドゥナで、自分の仕事をこなしていたんだ、とジワっときました。そして、シン・ハギュン、話ができない設定なので手話と顔の表情と身のこなし、相手を「見つめる」だけでこんなにも悲しさが伝わるものなんですね。初めて見ましたが今の作品も見なきゃ。。。

ゴム飛びするペ・ドゥナ

誘拐した女の子と無邪気に公園でゴム飛び遊び、あのシーンをよく入れました。あのシーンと「ぼのぼの」アニメがひょっこり入っていい味。ゴム飛び、日本なら昭和の遊びだ!と思ったのもつかの間、彼女の謎の活動思想、革命家っぽい歌に合わせて。ペ・ドゥナの運動神経の良さからくる軽やかさと無邪気な楽しさとのアンバランスさが不気味でもあります。

20年前から女優としてたくましい!

特典映像の中でペ・ドゥナが手話をうまく出来なくて悔しくて泣いていました。私は手話を少し学んだことがあって、映画の中の手話は表現内容が特殊で難しいだろうな、と分かりました。でも、本当はそれよりセックスシーンや拷問シーンのほうがつらかったのでは?最近のインタビューで「私はそれ(脱いだりセックスシーン)をだいぶ若いころに通過したの(乗り越えたの)」と言っていましたが、本当にあの若さでよくやったなぁ。当時はアイドルっぽく見えるしアイドル的な存在だったのかも?と思いますが、その後のペ・ドゥナは売れることより作品主義を貫く姿勢を続けているようです。そのきっかけを想像するに、若くしてこの映画や「ほえる犬は嚙まない」「子猫をお願い」のような作品性の高い作品への出演したことだったのでは?拷問されて死んでしまった後の運び出されるシーン、狭いエレベーターでシン・ハギュンと手を握るシーン。死んでしまった後も名演技。20年前から女優としてたくましい!

DVDの特典映像面白いけど、いいのかあれで?

特典映像はほかにも面白いところが満載で、特別支援校でシン・ハギュンとペ・ドゥナが聴覚障害の高校生に手話を教えてもらっているところも興味深く見ました。二人の一生懸命さと高校生たちの弾けるような元気いっぱいさ。日本より子どもたちがたくましい感じがしました。今なら「生まれつきの聴覚障害者の方々が直面するコミュニケーションの難しさ」ということが映画の時代よりほんの少しは社会に浸透しているんじゃないかと思います。彼らが聞こえないことで直面せざるを得ない「生きづらさ」に、もっと気付いてほしい。

あと、特典映像で作品について嬉しそうな笑顔で語るパク・チャヌク監督に驚き。「拷問シーンはどうだったのか?」とか「撮影中、打合せしながら急に殺害することになりました」とか、にこにこ顔で語っています。こちらはちょうど今見終わってどん底な気分なのに、「な、なんで~???」

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