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第21話 :「"お母さん" 化」

お正月。
いつもより長い時間娘と過ごす中で、思わず笑ってしまうシーンがいくつかありました。
例えばテレビを見ているとき、例えば歩いているとき、反応するポイントが同じなのです。
「あーぁ、ここでCM?」
「ふーん…、で?」
口に出すタイミングといい口調といい、何やら自分のコピーがそこにいる感じがして、
なんとも妙な感じ。

そんなとき、まずは顔を見合わせて「えっ?」
そして娘は笑いながら、
「あっ、また一緒だね。とうとう似てきちゃったのかなぁ…」
とちょっと不満気な顔。
「それってどういうことよぉ、おかあたんと同じだとイヤな訳?」
「そんなことはないけど…」
困ったような開き直ったような複雑な表情の娘を見て、
私は昔の自分を思い出します。

「大きくなっても『お母さん』にはなりたくない」と思っていたあの頃を。
理由は2つありました。
1つめ。PTAになるのがイヤ。
2つめ。お母さんは自分が食べたいものも子どもにあげなくちゃいけないからイヤ。
私の母は、おいしいものがあると決まって
「ママはいいから、安子ちゃん食べ!」と言っていたのです。

現在、3人家族の我が家では、コンビニのケーキなど2コ入りのおやつを分けるのにひと悶着あります。
夫は大の甘い物好き。比較的和菓子のときは大人しいけれど、大好物の洋菓子は子どもが相手でも一歩も引きません。
「おかあたんはいいから、2人で食べな」
結局、「お母さん」のこのセリフで円満な解決を迎えるのです。

知らず知らずのうちに「お母さん」になっていた私。
口ぐせだけでなく、何気ない仕草やちょっとその辺に物を置いてしまう習慣など、
「お母さん」というより「ウチのお母さん」になっていたことに気づきます。
我が家の娘も、そろそろ「『ウチのお母さん』化」が始まっているのかもしれません。

子どもは親を映し出します。
自分でイヤだなぁと思っている部分が似てくると、「うわぁー」と思ったりもします。
でも、すべて発信地は自分。
じゃあどんな親であればいい? 親として伝えることは…?
私は、立派な親になろうとは思っていません。あんな私、こんな私も全部「私」。「どんな私もOK」と思っている、この私を娘に伝えたい。
すべて託して、任せたいのです。

おおいに笑った冬休みが、仕事始めのエネルギーになりました。


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