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宅建士試験合格講座 免除科目 > 建物 #1

第4節 建物

 この分野は対策が立てにくいです。やさしい出題もされる一方、建築士レベルの知識がないと解けない問題も出題されることがあり、確実に1点稼ぐことを計算するのは不可能といってよいです。よって、「土地」同様、過去問の出題事項についてだけしっかりとした知識をつけておいて、そのレベルに収まる出題がされればボーナスとして得点、そうでなければ、「正解できれば儲けもの」程度の取り組み方でよいです。

 

■ 1 「木造」に関する基本事項

 木造とは、骨組みを木材で構成する建物の総称です。

(1) 木材
① 樹木の構成
 木口部分を見ると、髄(樹心)に近い部分は、色が濃く、樹皮に近い部分は色が淡いです。
 一般的には、前者の部分を心材(赤身)といい、後者の部分を辺材(白太)といいます。一般に、辺材は心材に比べて軟らかく、乾燥収縮による変形が大きいです。また、虫害を受けやすく、耐久性も乏しいです。

② 木材の性質
 木材の強度は、含水率が小さい(乾燥している)状態の方が高くなるため、建築物に使用する際には、その含水率を確認することが好ましいです。含水率は15%以下が望ましいです。
 木材の強度は、比重・含水率によっても多少影響されるが、加力方向によって、その強度はかなり異なります。「引張力および圧縮力」については、繊維方向が最も強く、直角方向に対して引張では10~30倍、圧縮では5~10倍位です。「せん断」に対しては、繊維に直角方向のほうが強いです。

③ 集成材
 集成材は、単板などを積層したもので、大規模な木造建築物に使用されます。厚さ2.5~5cm程度の木材を積み重ね、接着剤で張り合わせたものであり、均一性に優れ、伸縮しにくく、変形にも強いです。
 集成木材構造は、集成木材で骨組を構成した構造で、体育館等に用いられます。 

(2) 木造建築物
① 屋根
 屋根は、できるだけ軽量にします。日本瓦は重く、耐震性が低いです。

② 柱
(a) 柱は、なるべく均等に設け、上下階の柱を1本で通す通し柱を多くする。
(b) なお、枠組壁工法(ツーバイフォー) は、2インチ×4インチ用材枠組を作り壁および床により構造体とする工法であり、耐震性が高く、通し柱でなくてもよい。
(c) 木造2階建の建築物で、隅柱を通し柱としない場合、柱とけた等との結合部を金物で補強することにより、通し柱と同等以上の耐力をもつようにすることができる。
(d) 構造耐力上主要な部分である柱の張り間方向およびけた行方向の小径は、それぞれの方向でその柱に接着する土台、足固め、胴差、はり、けたその他の構造耐力上主要な部分である横架材の相互間の垂直距離に対して、原則として一定の割合以上のものでなければならない。

③ 壁
(a) 壁は、その軸組の要所(建物の隅角部等)にできるだけ多くの筋かい等を組み入れた耐力壁(構造体の壁で、鉛直と水平荷重を負担する壁)を均等に設ける。
(b) 平面形状が長方形の木造建築物の壁は、多くの場合張り間方向とけた行方向とで風圧力を受ける面積が異なるので、それぞれ所定の計算方式により算出して耐力壁の長さを決める必要がある。

④ 基礎、土台
(a) 木造は湿気に弱い構造であるため、地盤面からの十分な基礎の立上がりをとる必要がある。
(b) 基礎、土台は、耐震・耐風性を強化するために、建物形態をできるだけ単純なものとするとともに、基礎は地盤の不同沈下に対して変形破壊されないよう鉄筋コンクリート造の布基礎(連続基礎)とする。
(c) 「杭基礎」は、建築物自体の重量が大きく、浅い地盤の地耐力では建築物が支えられない場合に用いられる。
(d) 建築物の基礎に木ぐいを用いる場合、その木ぐいは、平家建の木造の建築物に使用する場合を除き、常水面下にあるようにしなければならない。
(e) 基礎と上部構造は、土台を介してアンカーボルトで堅固に接合する。仕口および継手を金物で緊結する。
(f) 原則として、土台は、基礎に緊結しなければならない。
(g) 建築物には、原則として、異なる構造方法による基礎を併用してはならない。建築物に異なる構造方法による基礎を併用した場合は、構造計算によって構造耐力上安全であることを確かめなければならない。

⑤ 仕口および継手
 仕口および継手は、意匠の面よりも強度を重視すべきです。

⑥ 防腐措置等
(a) 木造の外壁のうち、鉄網モルタル塗その他軸組が腐りやすい構造である部分の下地には、防水紙その他これに類するものを使用しなければならない。
(b) 木造建物の寿命は、木材の乾燥状態や防虫対策などの影響を受ける。
(c) 構造耐力上主要な部分である柱、筋かいおよび土台のうち、地面から1m以内の部分には、有効な防腐措置を講ずるとともに、必要に応じて、しろありその他の虫による害を防ぐための措置を講じなければならない。
(d) 構造耐力上主要な部分に使用する木材の品質は、節、腐れ、繊維の傾斜、丸身等による耐力上の欠点がないものでなければならない。

⑦ 筋かい
(a) 筋かいには、欠込み(かきこみ)をしてはならない。ただし、筋かいをたすき掛けにするためにやむを得ない場合において、必要な補強を行ったときは、この限りではない。
(b) はり、けたその他の横架材には、その中央部附近の下側に耐力上支障のある欠込みをしてはならない。

(3) その他
① 広い部屋は2階に、小さい部屋は1階に配置した方が、建物が安定します。

② 建築物の設計においては、クリープ(一定過重のもとで時間の経過とともに歪みが増大する現象)を考慮する必要があります。

③ 木造建築物の耐久性を大きくするためには防虫・防腐対策が必要であり、特に常時水がかかる場所や湿気が多い浴室、台所、便所等の土台、柱脚は、防水対策が必要です。

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