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宅建士試験合格講座 借地借家法 >借地 #2

■ 4 建物買取請求権

 本来であれば、借地契約が終了したときは、借地権者は借地上の建物を取り壊して土地を借地権設定者に返還しなければならないところだが、せっかく建築した建物を取り壊すのは経済上不合理であるため、借地権者は借地権設定者に建物を時価で買い取ってくれるように請求することが認められています。

1. 建物買取請求が認められるのは、借地権の存続期間が満了した場合で、更新がないときである。したがって、借地権者の債務不履行(地代の未払い等)の理由によって、借地契約が解除された場合には、建物買取請求は認められない。
2. 建物買取請求に関する規定は強行規定であるので、この規定に反する特約で借地権者に不利なものは無効となる。したがって、建物買取請求権を特約で排除することはできない。
 
(参考) 建物買取請求は、借地権設定者の承諾・同意がなくてもすることができる。借地権者が建物買取請求を行使したときは、借地権設定者との間に建物の売買契約が成立したことになる。


■ 5 建物滅失と再築

 借地権の存続期間が満了する前に建物が滅失しても、借地契約は終了しません。そこで、借地権者としては建物を再築したいと考えるが、この場合に、残存期間を超えて存続すべき建物を新たに築造することができるかどうかが問題になります。
 この問題の取り扱いは、建物が滅失(借地権者による取り壊しを含む)したのが「当初の存続期間中」なのか、それとも「更新後の存続期間中」なのかで異なります。 

(1) 当初の存続期間中における建物滅失と再築
 当初の存続期間中は、借地権設定者の承諾の有無にかかわらず、借地権者は残存期間を超えて存続すべき建物を再築することができます。ただし、借地権設定者の承諾の有無によってその後の存続期間に違いがあります。 

① 借地権設定者の承諾がある場合
 当初の存続期間中に建物の滅失があった場合において、借地権者が残存期間を超えて存続すべき建物を築造したときは、その建物を築造するにつき借地権設定者の承諾がある場合に限り、借地権は、承諾があった日または建物が築造された日のいずれか早い日から20年間存続します。ただし、残存期間がこれより長いとき、または当事者がこれより長い期間を定めたときは、その期間によります。 

② 借地権設定者の承諾がない場合
 当初の存続期間中に建物の滅失があった場合においては、借地権設定者の承諾がないときも、借地権者は残存期間を超えて存続すべき建物を築造することができます。しかし、借地権が築造の日から20年間存続することはありません。

みなし承諾 : 借地権者が借地権設定者に対し、残存期間を超えて存続すべき建物を新たに築造する旨を通知した場合、借地権設定者がその通知を受けた後2ヶ月以内に異議を述べなかったときは、原則として、借地権設定者の承諾があったものとみなされる。

(2) 更新後の存続期間中における建物滅失と再築
 更新後の存続期間中は、借地権設定者の承諾がなければ、借地権者は残存期間を超えて存続すべき建物を再築することができません。そこで、借地権者は、地上権の放棄または土地の賃貸借の解約の申入れをすることができることになっています。

 ① 借地権設定者の承諾がある場合
 更新後の存続期間中に建物の滅失があった場合において、借地権者が残存期間を超えて存続すべき建物を築造したときは、その建物を築造するにつき借地権設定者の承諾がある場合に限り、借地権は、承諾があった日または建物が築造された日のいずれか早い日から20年間存続します。ただし、残存期間がこれより長いとき、または当事者がこれより長い期間を定めたときは、その期間によります。

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