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宅建士試験合格講座 民法総則 > 代理 #2

■ 9 無権代理

(1) 無権代理とは
 無権代理とは、代理権を有しない者が他人の代理人と称して契約をすることです。この代理権を有しないのに代理行為をした者のことを「無権代理人」といいます。
 無権代理人には、「何ら代理権を有しない者」のほか、「代理権は有しているが、その代理権の範囲を超えて代理行為をした代理人」も含まれます。後者の場合、代理権の範囲を超えた部分が無権代理となります。
 無権代理人がした契約は、原則として、本人に対してその効力を生じません。ただし、その契約を本人が追認すれば、契約の効力が本人に生じることになります。

[事例]
AがBの代理人として、B所有地をCに売却した。
① Aは、無断でBの委任状を作成して、Bの代理人と称して、当該土地をCに売却した。
② Aは、Bから賃貸の代理権しか与えられていなかったにもかかわらず、当該土地をCに売却した。

(2) 無権代理行為の追認
 無権代理人がした契約は、原則として、本人に対してその効力を生じません(無効)。しかし、本人が無権代理人のした契約の効力を自己に生じさせたいと望む場合もありえるし、その場合にこれを否定する必要もありません。そこで、無権代理人がした契約を本人が追認すれば、契約の効力が本人に生じることにしました。このように、無権代理があった場合、本人には追認権が認められます。
 追認とは、無権代理行為に代理権があったのと同じ効果を生じさせる(無権代理行為を確定的に有効にする)旨の意思表示であり、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生じます。

1. 「追認」とは、無権代理行為を確定的に有効とするものであるため、本人が行う。
追認は、無権代理人・相手方のどちらに対しても行ってもよいが、相手方に対してしなければ無権代理人のみにしたときは)、本人は、追認の効果を相手方に対抗することができない。ただし、相手方が追認のあった事実を知ったときは、本人は、追認の効果を相手方に対抗することができる。
2. 本人が無権代理行為を追認した場合、契約の時にさかのぼって、有効な代理行為があったのと同じ効果が生じる。追認があった時からではない。
3. 本人には、追認権のほかに追認拒絶権もあり、無権代理行為の追認を拒絶することもできる。本人が明確に追認を拒絶した場合、無権代理行為の効果が本人に対して生じないことが確定する(確定的に無効となる)。


(3) 無権代理と相続

(4) 無権代理の相手方の権利

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