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宅建士試験合格講座 借地借家法 >借地 #3

■ 7 地代等の増減請求等

(1) 地代等増減請求権
 地代等(地代または土地の借賃)が、土地に対する租税その他の公課の増減により、土地の価格の上昇もしくは低下その他の経済事情の変動により、または近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって地代等の額の増減を請求することができます。
 ただし、一定の期間地代等を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従います。

一定の期間地代等を減額しない旨の特約は借主に不利となるので無効である。

(2) 借地条件の変更
 建物の種類、構造、規模または用途を制限する旨の借地条件がある場合において、法令による土地利用の規制の変更、付近の土地の利用状況の変化その他の事情の変更により現に借地権を設定するにおいてはその借地条件と異なる建物の所有を目的とすることが相当であるにもかかわらず、借地条件の変更につき当事者間に協議が調わないときは、裁判所は、当事者の申立てにより、その借地条件を変更することができます。 

(3) 増改築の許可
 増改築を制限する旨の借地条件がある場合において、土地の通常の利用上相当とすべき増改築につき当事者間に協議が調わないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、その増改築についての借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができます。


■ 8 借地上の建物を取得した者の保護

 借地上の建物は借地権者の所有物であるため、自由に処分することができます。しかし、その建物の敷地となっている土地を利用する権利(借地権)が伴わないと、建物を取得した第三者は適法に建物を使用することができません。よって、必然的に、その第三者への借地権の譲渡・転貸がなされることになります。
 借地権が土地賃借権である場合、この譲渡・転貸には借地権設定者の承諾が必要となり、この承諾が得られないと、建物を取得した者の立場は不安定となります。それを解消するための手段を学習試します。 

(1) 借地上の建物を譲渡する場合における土地賃借権の譲渡・転貸の許可

[事例]
AがBより、B所有地を賃借し、建物を所有している。この場合において、Aが建物をCに譲渡しようとしているが、Bが自己に不利となるおそれがないにもかかわらず、Aの土地賃借権の譲渡について承諾しない。

この規定は、借地権者は、借地権設定者の承諾に代わる許可を裁判所に申立てることができるもので、第三者が申立てることはできないことに注意が必要

(2) 借地上の建物を取得した場合における第三者の買取請求

[事例]
AがBより、B所有地を賃借し、建物を所有している。この場合において、Aが建物をCに譲渡したが、BがAの土地賃借権の譲渡について承諾しない。

借地権が土地賃借権であり、借地権者が第三者に建物を譲渡した場合において、借地権設定者が承諾をしないときは、第三者は、借地権設定者に対して、建物を時価で買い取るよう請求することができる

(3) 借地上の建物の公売・競売に伴う土地賃借権の譲渡の許可および第三者の買取請求

[事例]
AがBより、B所有地を賃借し、建物を所有している。この場合において、Cが建物を競売により取得したが、Bが自己に不利となるおそれがないにもかかわらず、Aの土地賃借権の譲渡について承諾しない。

第三者の許可の申立は、第三者が、建物の代金を支払った後2月以内に限り、することができる。

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