見出し画像

宅建士試験合格講座 区分所有法 > 復旧および建替え

第5節 復旧および建替え

 地震等により区分所有建物の一部が滅失した場合、「復旧を望む区分所有者」、「費用の負担等で復旧を望まない区分所有者」「復旧ではなく建替えを望む区分所有者」のそれぞれの利害が衝突することになります。そこで、これらの利害を調整するために、区分所有法では一定のルールを設けています。

■ 1 復旧

(1) 小規模滅失の場合の共用部分の復旧
① 各区分所有者による復旧
 建物の価格の2分の1以下に相当する部分が滅失(小規模滅失)したときは、各区分所有者は、滅失した共用部分を復旧することができます。そして、共用部分を復旧した者は、他の区分所有者に対し、復旧に要した金額を共用部分の持分の割合に応じて償還すべきことを請求することができます。

共用部分の復旧の工事に着手するまでに「復旧決議」、「建替え決議」または「団地内の建物の一括建替え決議」があったときは、復旧することができない。 

② 復旧決議による復旧
 小規模滅失の場合には、集会において、滅失した共用部分を復旧する旨の決議をすることができます。この決議は普通決議(区分所有者および議決権の各過半数)でよいのです。

小規模滅失の場合の復旧手続については、規約で別段の定めをすることができる。 

(2) 大規模滅失の場合の共用部分の復旧
① 復旧決議による復旧
 建物の価格の2分の1を超える部分が滅失(大規模滅失)したときは、集会において、区分所有者および議決権の各4分の3以上の多数で、滅失した共用部分を復旧する旨の決議をすることができます。

大規模滅失の場合の復旧決議の決議要件は、規約で別段の定めをすることはできない。

② 区分所有権等の買取請求
 大規模滅失の場合の復旧決議があった場合において、その決議の日から2週間を経過したときは、その決議に賛成した区分所有者(決議賛成者)以外の区分所有者は、次の者に対し、建物およびその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができます。

① 買取指定者が指定されていないとき・・・決議賛成者の全部または一部
② 買取指定者が指定されているとき・・・買取指定者

 なお、買取指定者とは、建物およびその敷地に関する権利を買い取ることができる者のことであり、復旧決議の日から2週間以内に、決議賛成者がその全員の合意により指定することができます。


■ 2 建替え

(1) 建替え決議
 集会においては、区分所有者および議決権の各5分の4以上の多数で、建物を取り壊し、かつ、当該建物の敷地もしくはその一部の土地または当該建物の敷地の全部もしくは一部を含む土地に新たに建物を建築する旨の決議(建替え決議)をすることができます。

建替え決議の決議要件は、規約で別段の定めをすることはできない。

(2) 建替え決議を会議の目的とする集会
 建替え決議を会議の目的とする集会を招集するときは、集会の招集の通知は、当該集会の会日より少なくとも2月前に発しなければなりません。ただし、この期間は、規約で伸長することができます。
 招集の通知をするときは、議案の要領のほか、次の事項をも通知しなければなりません。

① 建替えを必要とする理由
② 建物の建替えをしないとした場合における当該建物の効用の維持または回復(建物が通常有すべき効用の確保を含む)をするのに要する費用の額およびその内訳
③ 建物の修繕に関する計画が定められているときは、当該計画の内容
④ 建物につき修繕積立金として積み立てられている金額

 集会を招集した者は、当該集会の会日より少なくとも1月前までに、当該招集の際に通知すべき事項について区分所有者に対し説明を行うための説明会を開催しなければなりません。

ここから先は

2,375字 / 1画像
この記事のみ ¥ 300
期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?