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宅建士試験合格講座 債権総論 > 連帯債務(多数当事者の債権債務) #2

③ 更改
 連帯債務者の1人と債権者との間に更改があったときは、債権は、全ての連帯債務者の利益のために消滅します。
 
[事例]
Xに対してA・B・Cの3人が900万円の連帯債務を負担している。なお、A・B・Cの負担部分は、平等とする。
 AとXとの間で、900万円の金銭を支払うかわりに、A所有の甲土地を引き渡す旨の契約(更改)をした場合、Aには新たに甲土地の引渡し債務が発生するのに対して、Aの900万円の支払債務は消滅するが、このときBおよびCの900万円の支払い債務も消滅することになる。

④ 混同
 連帯債務者の1人と債権者との間に混同があったときは、その連帯債務者は、弁済をしたものとみなします。
 
[事例]
Xに対してA・B・Cの3人が900万円の連帯債務を負担している。なお、A・B・Cの負担部分は、平等とする。
 債務が履行される前にXが死亡し、AがXを単独で相続した場合、AとXの間に混同が生じて、Aが弁済したものとして扱われる。したがって、Aの債務は消滅するが、このときBおよびCの債務も消滅することになる。

【絶対的効力】
弁済・・・連帯債務者の1人が弁済すれば、他の連帯債務者の債務も消滅する。
相殺・・・連帯債務者の1人が債権者に対して債権を有する場合において、その連帯債務者が相殺を援用したときは、債権は、全ての連帯債務者の利益のために消滅する。
更改・・・連帯債務者の1人と債権者との間に更改があったときは、債権は、全ての連帯債務者の利益のために消滅する。
混同・・・連帯債務者の1人と債権者との間に混同があったときは、その連帯債務者は、弁済をしたものとみなす。


■ 4 連帯債務者の1人が相殺をしない場合の履行拒絶

 連帯債務者の1人が債権者に対して債権を有する場合において、その連帯債務者が相殺を援用しない間は、その連帯債務者の負担部分の限度において、他の連帯債務者は、債権者に対して債務の履行を拒むことができます。
 
[事例]
Xに対してA・B・Cの3人が900万円の連帯債務を負担している。なお、A・B・Cの負担部分は、平等とする。また、AはXに対して900万円の債権を持っていたが、Aは相殺を援用していない。
 BがXから900万円の支払いを請求された場合、Bは、Aの負担部分である300万円については履行を拒むことができ、600万円だけを支払えばよい。


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