日々、体をいいコンディションでいたい人の【養生思考】第1章
あなたは今、不調で悩んでいる。今の状況から脱したい、あなたは何をしますか。
不調で悩んでない方も、もっと楽に、より素晴らしい可能性があるとしたら。
未来への希望の種蒔きをしていきませんか?
はじめに
下の図は、不調で悩んでいる方の心情を図にしています。
不調で悩んでいる方が陥りやすいループや、どのような行動で解消していくのか、治療思考と養生思考を用いて説明していきます。
例えば、肩こりで悩んでいる方がいます。
肩こりで悩んでいる方の心情としては、楽になりたい、現状から脱したいです。
多くの方は、肩こり解消方法を探します。
現代は、スマホ1台あれば簡単にたくさんの情報が手に入ります。
そのどれもが魅力的なタイトル、または肩こりへの概念が覆されるような革新的な方法など、多岐にわたります。
1分で肩こりが治る〇〇メソッド、ここだけ刺激していれば大丈夫など。
痛みや症状で悩んでいれば、早く良くなりたいので当然の流れなのかもしれません。
結果をダイレクトに求め、伝える側も受け取る側も、どんどんエスカレートし、「早く、安く、美味い」のような端的な、対処療法的なものが多いのではないでしょうか。
もちろん、そのメソッドや知識で助けられてる方もいらっしゃいます。
反対に効果がない、治らないという方も。
むしろ後者の方が多いと思います。
効果がない、治らなければ、また違う方法を探すと、堂々巡りになっていませんか。
この、やり方を追う世界を"治療思考"と読んでいます。
もし、あなたがこの治療思考で困っているのであれば、一つ提案させてください。
やり方を追うだけでない世界があることを。
症状が表に出る前に、できることがあれば、気づければ、行動できれば。
今よりもっと未来が明るくなり、たくさんの可能性が待っています。
治療思考と養生思考
治療思考(やり方)
治療思考の典型的なパターンです。
辛くてなってからケアする。効果が出るのを待ち、戻ったらその繰り返しになります。
マイナスからゼロになることを繰り返す世界です。
体力があるうちは、その都度で大丈夫なことが多いですが、年齢を重ねるにつれ回復力は落ち、つらい箇所も増えていくと、頻繁なケアが必要になります。同じ内容では効かないということも出てくるかもしれません。
薬が効かないから、量を増やす、効能が強いのにすると、考え方としては一緒です。
やった方法や効果に対してフォーカスを当てているので、治る・治らない、何回やればいい?
そして効果がないと、また違うやり方を探すのループにはまりやすくなります。
養生思考(在り方)
養生思考の典型的なパターンです。
辛くてケアする。何か体に刺激を入れると必ず変化・反応が起こります。その変化を捉え、体はどうしたいのか。体の欲求に応えてあげる。変化が戻ったら、その間何があったか考え(自分の楽や辛いが分かる)次に繋げるを繰り返す。
マイナスからゼロへ、そしてゼロからプラスにしていく世界です。
やったことに対しての体の変化や、行動に対してフォーカスを当てています。
効果を待つ受け身の姿勢でなく、やればやるだけ自分を知ることができ、常に自分の体と向き合い、育てていくことができます。
つまり能動的に自分で考え、気づき、判断、行動している、ということです。
治る、治らない。どのくらいやればいいという視点に立っていません。
治療思考、養生思考は、どちらが正しい、間違っているということではありません。
どこに重きをおいているかの違いです。どちらを選ぶか、両方なのか選ぶのは自由です。
体の変化の気づき、段階
あなたは体の変化をどの段階で気づいていますか?
チェックしてみましょう。
①日常の所作の変化で気づく
例:筆圧が強いな、パソコンのキーボードを強く叩いてるななど。
②体のキレの悪さで気づく
例:いつもより動けてない、キレがないなど。
③体が重い、なんとなく調子よくないことで気づく
④慢性的な不調で気づく
⑤痛みに襲われてから気づく
⑥病になってからで気づく
①〜②:まだ小さな芽です。自分でどうにか対処でき、少し気をつけて、休めば早く回復できます。日常への支障も少ないです。
③〜④:小さな芽が育ってきています。自分でもなんとか対処できますが、場合によっては施術など人の手が必要になります。少し日常に支障がでてきて、生産性も下がります。
⑤〜⑥:見える形になり、芽が開花しています。自分でどうにかするのは困難で、薬や治療など痛みや症状を解消する行動が優先されます。通院や仕事を休むといったことになります。
あなたはふだん、どこで気がついていましたか?
早ければ早いほど、簡単に不調の芽を摘むことができます。
遅くなるほど、方法を考え、自分でどうにかできない場合は人に頼ることになります。
自分を知る・育てる
不調で悩む方のほとんどが、自分の体の状態を察知する力が弱いです。
患者さんとのカウンセリングで、「なにか心当たりありますか?」と聴くと
「特に思い当たることがなくて、最近忙しくもなかったけど、急に痛くなっちゃって。」
たしかに、急に痛くなったように見えますが(事故や怪我を除き)ほとんどはふだんの積み重ねで、そこに何か引き金があり、症状がでてしまった可能性が高いです。
これはどこの段階で気づいていますかの、痛みや病など表現されたもので気がついていることになります。
ということは、その前で気づけていれば、ここまで苦しまなくて大丈夫になります。
そのためには、自分の状態を察知できる力を育て、知ることが大切です。
察知能力を高めることで、小さな変化で気づくことができます。
人間は考える動物です。
動物である以上、自分のことを察知する能力が既に備わっています。
例えば、ちょっと疲れたな、なんか座り心地が悪いな。これはどこで感じていますか?頭でなく、体で受けとっています。これが察知する力です。
こういったことを体験してるはずです。
そこから、疲れたから休もう、こういう座り方なら楽だな、と自分で考え、判断して、行動することが自分を知ることです。
この機微は自分にしか分かりません。
正解か不正解かではなく、自分が体験する、そのプロセス自体に大きな意味があります。
頭(思考)と体(感覚)を一旦わけてみる
体は疲れているのに、まだまだ出来る、もうちょっとやりたい。
その積み重ねが痛みや病に繋がっていきます。
「あっ、やばい、ちょっと休もう」
不調で悩んでいる方は、ここを察知する力が弱いです。
どんなに素晴らしいメソッドをしても、ケアしても、これが出来ていなければ、効果は薄くなり、なかなか変化しないです。
逆に、これができていれば、着実に変わっていきますし、大きく体調を崩す可能性も低くなり、不調になっても早く回復します。
「あっ」・・・気づき
「やばい」・・・認識
「ちょっと休もう」・・・行動
言葉で見ると簡単ですが、なぜ、できなくなってしまうのか。
仕事や育児、何かに追われている、余裕がない、頑張り過ぎている時をイメージしてもらいたいのですが、もうちょっとで終わるから、ここまでやりたい、ああしたいなど、体より、頭の言うことが優先されこのぐらいなら大丈夫、気づいても行動しない、そもそも余裕がなく気づけないという状態になっているかもしれません。
例えると、庭に小さな芽がでています。
あっ、出てきた、指でポイッで済みます。それを気にはなるけど、まあいいかと放置するのか。
察知する力が弱っていると、気づけない。もしくはそこに意識がいきません。
次の段階としては、どんどん伸びてきて、あちこちと芽も生長しています。そろそろ手入れしよう。
でも、このぐらいならまだ大丈夫。後にしよう。
放置し続けた結果、大きい木、根っこも深い。どこから手をつけたらいいのか。自分では手に負えなくり、誰かに頼らないといけない状況になります。
体の声は、ものすごく小さいです。頭の声でかき消していませんか?
まとめ
今回書いた内容はこうしてください、こうした方がいいですよではありません。
こういった考え方もあるんだと、新たな視点として何かヒントや手助けとして受け取っていただければと思います。
次回は、施術と養生はどこにアプローチしているのか。なぜ養生で呼吸なのか、具体的にお伝えしていきます。
参考文献
・森田愛子(2019)『養生思考を身につける』 ワニブックス.
・森田愛子(2015)『深呼吸のまほう』ワニブックス.
・森田愛子(2016)『深呼吸のレッスン』PHPエディターズ・グループ.
・森田愛子(2016)『いつもの呼吸で病気を流す』ワニブックス.
・森田敦史(2016)『なにもしていないのに調子がいい』クロスメディア・パブリッシング.
・呼吸整体勉強会資料