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机上の空論と片付けるなかれ。『エッセンシャル思考』を読んで
グレッグ・マキューンの『エッセンシャル思考』の読書感想文です。
<『エッセンシャル思考』とは>
仕事の生産性を上げる方法として主に二つの方向があります。一つはタスクの処理スピードを上げること、もう一つは不必要なタスクを減らすことです。本書は、後者に焦点を当てた本です。
端的に表した一文を引用させていただきます。
「やらなくては」ではなく、「やると決める」。どれも大事ではなく、「大事なものはめったにない」「全部できる」ではなく「何でもできるが、全部はやらない」。
<なぜこの本を手に取ったか>
多忙な3月を経て、「どうしたら仕事が減るのか?」というシンプルな疑問からこの一冊を手に取りました。読み進めると、むしろ仕事を減らすことは仕事をこなすよりもずっと大変ということがわかりました。最初の考えがいかに安易だったかが笑えてきます。
<本書の構成>
「見極める、捨てる、仕組み化する」という3ステップがエッセンシャル思考を実践する鍵です。本書はこれらのステップに沿って構成されています。
<最初の感想>
私だけでなく、多くの人にとってエッセンシャル思考は受け入れがたいものかもしれません。課題が次から次へと降ってきて、断ると評価に響くからです。「全部はやらない」という考えは、机上の空論に思えましたが、非エッセンシャル思考の結末としての金曜午後の出産のエピソードは、笑い事ではなく、真剣に向き合うべき問題だと感じました。
<完璧主義がエッセンシャル思考の敵>
エッセンシャル思考を受け入れるのが難しい理由は、「完璧主義」にあると思います。本書で私が最も重要だと感じた3つのポイントを紹介します。
<トレードオフを受け入れる>
リソースは有限です。どこかで何かを捨てなければなりません。「全部やらなくては」という思考から抜け出すのは難しいですが、
「完璧な答えなど存在しない。あるのはトレードオフだけだ」
という事実を受け入れることが大切です。
<自分で選択をする。誰かに批判されても。>
完璧主義であればあるほど、ミスや批判を恐れます。だから自分で決めることから逃げて、誰かに責任転嫁するイージーな方を選んでしまいます。
「自分で優先順位を決めなければ、他人の言いなりになってしまう」
という言葉が重要です。ミスを恐れ、批判されることを避けるために、他人の決めたことに従っているだけでは、いつまでも自己主張のできないサラリーマンのままです。
<Done is better than perfect>
これは本書にはない内容ですが、エッセンシャル思考を隠れ蓑にして、何かを始めることから逃げることからは気をつけなくてはならないと思います。
「完璧を目指すよりまず終わらせろ」「完璧を目指すより終わらせることが大事」と自戒し、チャレンジから逃げることなく、行動を起こすことが肝要です。完璧を求めることよりも、物事を完成させることの方がはるかに重要です。
<これからどうするか>
エッセンシャル思考は重要ですが、単純な「やる・やらない」の二元論で片づけることはできません。実現可能な第一歩としては、「自分がやるべきか」を見極め、もし自分以外でもできるなら、「誰かの力を借りれないか」と考えることです。この思考を日常に取り入れ、仕組み化していくことが、エッセンシャル思考を実践する上での鍵となります。
エッセンシャル思考は、単にタスクを減らすことではなく、より重要なことに集中し、本当に価値のある成果を出すための思考法です。この考え方を取り入れることで、私たちはより効果的で満足のいく生活と仕事が可能になります。自分自身の限られた時間とリソースを最大限に活用し、本当に大切なことに集中するために、エッセンシャル思考を日々の生活に落とし込んでみてはいかがでしょうか。
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