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ひとつの褒め言葉で2ヶ月は生きられる。ポジティブフィードバックは破壊力あるスキルなのだ

ひとつの褒め言葉で2ヶ月は生きられる

作家マーク・トウェイン

ほんとにそう思う。

いくつになってもどんなポジションになっても、褒められると嬉しい。認められると嬉しい。感謝されると嬉しい。称賛されると嬉しい。ポジティブフィードバックはとにかく嬉しい。

逆にそれがないと、忙しさと比例するように、心は摩耗する。

「辞めるのは会社ではなく、上司から離れていく」

そんな言葉もあるようだ。

確かに、誰よりも何よりも上司からのフィードバックがほしい。どんなに優秀な人であっても、上司からのフィードバックがないことに悩んだり、落ち込んだり、仕事に集中できなかったりするらしい。

そらそうだ。僕もそうだ。

反対に上司からのポジティブフィードバックは、やる気の源泉になる。

そらそうだ、僕もそうだ。

ここまでの話は誰しもが想像できる当たり前のこと。なぜなら自分がそうされたら嬉しいと知っているし、そうされないことで日々悩み苦しんでいるのだから。でも、なぜか人にしてあげることができていない。

こんなポジティブフィードバックは、意図あるスキルである。そして今日からやってみよう。そんな気づきと決意を与えてくれる本と出会った。

チームワーク向上を目的に1on1とか心理的安全性とかコーチングを学ぼうと思っているマネージャーの方。パフォーマンス低下中の部下に厳しい評価をするにあたり参考になればとフィードバックを調べているマネージャーの方。

そんな方も、そうじゃない方も。とにもかくにも、すべてのマネージャーが土台として身につけるべきこと。そして一生忘れないでおくべきこと。つまりは全マネジメントノウハウの根底にあるもの。それが、このポジティブフィードバック(スキル)だと思う。

ポジティブなフィードバックをくれないやつのネガティブフィードバックなんて聞き入れません。そんなやつとの1on1なんぞ盛り上がらないのは当たり前です。

特にミレニアル世代(1980~1995年生まれ)は、(SNS等オンラインで)瞬時に反応が確認でき、満足感を得ることに慣れているので、無意識のうちに職場でも高い頻度のフィードバックを求めている、らしいです。ミレニアル世代がそうであれば、その次の世代であるZ世代はもっと、でしょうね。

ミレニアル世代、およびこれからでいうとZ世代をマネジメントする立場のマネージャーは、ここで差がつきます。知っているとやっているは大違い。そこで差がつきます。

前向きな姿勢で仕事に取り組んでくれていそうな時、不満や愚痴を言ってこない時、つい油断してポジティブフィードバックがおざなりになりがちです。またマネージャー自身が成果に焦っていたり、うまくいっていない時は、課題ばかりに目がむき、これまたポジティブフィードバックがおざなりになりがちです。

ここに足元をすくわれるリスクがあります。いつのまにか取り返しがつかないくらいやる気が落ちていたり、チームワークが悪くなっていたり、上司-部下の信頼関係が毀損していたり、退職を考えていたり。

僕もありました。高い目標を達成するために「もっともっと」と発破をかけ続けていると、いつのまにか全員が疲弊気味に、新しいことを考えたり工夫を施したりする元気や自走力が弱まり、僕からの指示をなんとかこなすメンタリティに陥りはじめていたのです。

走り続ける、もっと早く走ることに、発破をかけること自体は良いのですが、そもそも走り続けていること、ここまで走ってきたことを、当たり前だとは思わず、有り難いことだと思い、日々ポジティブなフィードバックが必要だったのだと思います。

自分が上司に対してよく思うこととおんなじことを、自分の部下にも敷いていた、いつのまにやら。

本書を読むことでふと立ち止まって、そんなことに気づくことができました。

幸い、僕のチームはひどくなる前で、「最近みんなの反応が鈍くなってきたかも?顔が疲れてきたかも?」と思ったくらいの矢先だったので、大事にはいたらなかったと思います。

日々、目はかけてますし、工数マネジメントもしっかりする。ミッションも明確にしている、そのミッションは本人たちの成長やWILLに紐づけたりもしている。毎週1on1を実施、業務に迷わないようサポートもしている。

そう、僕はマネジメントは真面目にしっかりやっている口です。周りの評価もそう。360度評価も高いです(どこまでいっても自分でそう思っているだけ、評価も忖度入るのでほんとのところはわかりません)

それでもなお、日々のポジティブフィードバックをおざなりにすることが数ヶ月~半年続くと、精神は蝕まれ始めているのです。怖い。ほんとに怖い。

僕がいま所属している会社にはフィードバックを促す仕組みがあります。しかし、マネージャーによってメンバーによって、この仕組み上でのフィードバックの投稿量にはばらつきがあります。

1週間に1回は、絶対に全配下メンバーに対してポジティブフィードバックをこの仕組み内で送る。僕はそう決めました。1週間もあれば絶対にどの人にもフィードバックできることは発生します。承認されすぎることに慣れなどありません。だからこそやろうと、決めました。

正直難しいことです。決意してから4ヶ月くらいたちましたができない週もあります。特にパフォーマンス低下中のメンバーは褒めたくないと思うこともある。そもそも忙しい。自分が褒められないのに面白くないと思うこともある。自分のモチベーションくらい自分で管理しろよとメンバーに対して思ってしまうこともある。

それでもなお、それでもなお、ポジティブフィードバックの破壊力を信じて、やり続けようと思う。

勘違いしないでください。ポジティブフィードバックを意図的に続けることは難しいことではありますが、嫌なことではないです。褒められた時は嬉しいですが、それと同じくらい人を褒めた時は、嬉しい気持ちになります。

嫌なことじゃないんだから、やり続けようと思う。

自分に課したいことはもう2つ。

毎週1on1をやってますが、1on1の中でも、直接ポジティブフィードバックを1回は入れること。

2つ目は毎週進捗報告MTGをやっています。(高い目標の中、進捗を報告・対策を議論する場なので)指摘コメントがどうしても多くはなりますが、ポジティブフィードバックコメントを必ずテキストで1つ以上は残す。

フィードバックカルチャーが根付いているチームとか組織っていいですよね。まずは隗より始めよ。自分がフィードバックというGIVEをし続けることで、恩送りのようにフィードバックがチームや組織に浸透していくことを信じてやってみようと思います。

そんなメンタリティとフィードバックの仕組みを会社で作ること。多少無理やりでも最初はフィードバック目標を作ってでも回す。

メンタリティをを統一した上で、最初の1歩は強制的に。こんなことからカルチャー醸成ははじまっていくのかなと。

今僕のいる組織は、強制的な仕組みを走らせていますがフィードバック文化はなかなか根付かない。メンタリティの方が弱いのかなと感じてます。ここをどうしていこうか、答えはまだないが、頑張りたい。

とにもかくにも隗より始めよ。コントロールできるのは自分だけ。別に綺麗事をいっているわけではない。マネージャーとして成果を出すためにはこれがひとつの近道だと信じている。




ここからは本書の内容を備忘録的にまとめておきます。

まずはポジティブフィードバックの本書内の定義。

相手の行動、存在や結果を「承認」したことを肯定的な言葉で伝えること。相手の可能性を信じ、成長を第一の目的として行います。「肯定的に」「思いやりを持って」コメントするため、ポジティブフィードバックを受けた側が、「大切に思われている」と感じ、傷ついたり、凹んだりせず、お互いに前向きに進むことができるようになる

ポジティブフィードバック

ポジティブフィードバックの効果は5つあります

1、やる気がアップする
ピグマリオン効果ですね。信じてくれている人の期待に応えたいというプリミティブな気持ちです。
2、自信がアップする
自分の強みや得意を認識することができます。誰かが貢献を明確にフィードバックしてくれるからこそ成功体験となるのです。
3、人間関係がアップする
単純接触効果に加えて、その接触がポジティブなものであれば、当然ながらポジティブな人間関係構築につながります。
4、仕事への理解度がアップする
その部署や会社のやり方、価値観に沿った行為に対してフィードバックすることで、やり方や価値観が腹落ちします。承認されるという快があると、その行為はどんどん促進されていきます。
5、主体性がアップする
それでいい、今いい、を頻繁にフィードバックされることで、走り続けられますし、次はどうしたらいいいかに迷いなく専念できる。つまりは自走人間になっていきます。

ポジティブフィードバック

なるほど。フィードバックがすばらしいことはわかったし、やってみたいと思うが、何をフィードバックしたらいいかわからない、結果を出していない、結果を出すために走っている途中のメンバーに言うことがない、難しい。そんなことを思ったあなた。

承認するのは「結果」だけではないんです。承認には4つあります。

1、成果・結果に対して承認する【結果承認】
これはわかりやすいですね。きをつけるべきは、当たり前の結果も、当たり前だと思わずにしっかり目を向けることです。仕事なんだから結果出して当然なんてマッチョな考えもわかりますが、結果を出すのと承認するのはまた別です。結果に対して、その結果を出すに至った相手の強み、もしくは感謝の気持ちを伝えましょう。

僕が自戒したのは「さらに結果を出すには、◯◯が足りない!」と叱咤激励をしてしまうことです。高みを目指すこと自体はよいのですが、まずは「今、ここ」の結果を承認し喜び合おうということです。
じゃないと、息切れしてしまいます。さすがに疲れてしまいます。途中途中で承認というガソリンを補充しないと、走ることはできません。人はそんなには強くない。

あとやってしまいがちなのが、何か結果が出た時に、称賛する前に結果が出たことの要因を質問したり、その結果がすごいか?すごくないかを?判断するための質問を投げかけてしまうこと。例えば部下が「新規提携先1件獲得できました!」と報告してくれた時に、称賛より前に「お、旗色悪かった気がしたけど、どうやって挽回したの?」「その先の規模はどんくらいだっけ?→カクカクシカジカ→期待値は低いかもね」「もう1件クロージング間近だった案件はどうなっている?」「これで見込み案件がゼロになったな次どうする?」みたいな発言です。無関心ではないのですが、称賛はしていないですね。まずは喜ぼうよ称賛しようよということです。僕やりがちです、僕の上司も僕にやりがちです。

結果を出して意気揚々と報告したのに、そこには承認がなく、できていないことばかり批判されたら、そのGAPも相まってやる気は地に落ちてしまうんでしょうね。自分もそうなのにね。なんで人にやってしまうんだろう。

2、相手が行った行為(まだ結果が出ていなくても)に対して承認す【行為承認】
ここ大事ですね。結果を出すには行動が必要です。望ましい行動を増やしてもらいたいなら、望ましい行動に対して承認をする必要があります。これがあるかないかで結果に到達するスピードも変われば、走り続けること自体への粘り強さも変わります。行為も承認対象であれば、一気にフィードバックできる対象は増えると感じませんか?

3、相手の存在を承認し、大切に扱う【存在承認】
「疲れているみたいだけど大丈夫?」「何か手伝おうか?」といった気遣いの一言です。さらには、笑顔で挨拶するとか、アイコンタクトをとる、そういったことも含まれます。これまた大事です。キーボード打ちながらパソコンの画面に顔むけたまま、会話するとか愚の骨頂です。存在承認の反対は無関心です。別のある本に、ネガティブフィードバックと無関心であれば、ネガティブフィードバックのほうが数十倍マシという研究結果がありました。それくらい無関心は悪なのです。

部下は最悪のシナリオを考えなちなものなので、少し多目くらいの存在承認がいいらしいです。ここで気をつけないといけないのは平等性です。「◯◯さんには声掛けているのに私にはない…あの人は私のことは嫌いなんだ」最悪なシナリオを考えがちな部下はこんなことにもなってしまいます。

挨拶・笑顔くらいは何があってもできるはず。存在承認を「忘れずに」そして「全員に」が合言葉です。

4、将来(未来)の可能性について信じ、期待し、それを肯定的に応援する【可能性承認】
未来に対する改善ですね。ネガティブフィードバックとセットであるべきものです。未来に対する相手への期待があるからこそ、こうなってほしい、こうしたほうがいいという改善のフィードバックがあるのです。ネガティブフィードバックをする時はかならず、「期待しているから」「信じているから」と可能性承認を伝えましょう。

このネガティブフィードバックについてはいろんな書籍があります。ちなみに僕のおすすめは
「フィードバック入門」「マネジメントの正念場」「まずちゃんと聴く」の3冊です。ネガティブフィードバックは本当に難しい。ポジティブフィードバックは続けることさえできれば、質の面での難しさは大したことではない気がします。ポジティブフィードバックは頻度が肝です。ネガティブフィードバックは反対に質が肝になりそうです。

本書では、ネガティブフィードバック時の気をつけるべきポイントは2点で、感情的に叱らないと、他人と比較しないことを挙げています。他人との比較ではなく、その人の過去と現在での比較に目を向けましょうとのことです。

ポジティブフィードバック

効果をあげる5つのポイントもあります

①頻度高く、②行為のすぐあとに(リアルタイム性)※反応もすぐしましょう。報連相に対しslackであればスタンプひとつでもいいのでまずは反応しましょう、③場所にこだわらず(歩きながらでも、リモート会議でも、会議室でも)、④具体的に、なぜを明確に、⑤ポジティブに(笑顔で明るく)

ポジティブフィードバック

気負うことなく、息を吸うようにポジティブフィードバックせえということです。最初は訓練です。その内、習慣になる。習慣まで昇華したら無敵のスキルの1つになりますよね、きっと。

最後に7つのコツを意識しましょう

1、承認と改善点の割合は8対2で行う
→ほっとくとネガティブが増えていくので、めちゃくちゃ意識してポジティブいれていかないと8対2にはなりません
2、ネガティブをポジティブで包む
→これは賛否ありますよね。ポジティブで包むとネガティブが伝わらないという言説もあります。僕は色々考えて実践もしてみてそっち派です。期待している信じているという想いや言葉があればネガティブなことを話す時はネガティブなことだけをしっかり逃げずに伝える方が効果があると感じます。もちろん「これからどうするか」をともに考えることまでがセットです。
→ポジティブな他の事象でネガティブを挟むと論点・焦点がブレるのでそこは勘違いしてはだめです。
→期待しているからこそ言う(ポジティブ)、◯◯を直してくれ(ネガティブ)、どうしようか~うんそうしよう~困ったことあったらHELPしてくれ(ポジティブ)
→このようにネガティブをポジティブで挟むという意味で捉えよう
3、ではどうするかと未来思考で考えさせる
→先程述べたことと同じですね。過去の事象の指摘に夢中になりすぎても先はありません。あくまでも次どうするかのインプット材料としての過去の振り返りであることを忘れずに。
→ここらへんは「マネジメントの正念場」という本に詳しいです。
4、改善点は相手との期待とともに伝える
→2で述べたことですね。上司からの指摘は自尊心を傷つけます。そんな意図はなくても。それくらい上司というポジションはすごいのだと、心得ましょう。上司のみなさん。
5、言葉使いや言い方をポジティブにする
→YES、but話法ってのは商談でも、フィードバックでも、使えないんです。「すごいね、でも」はだめ。「すごいね、そして」とか「すごいね、次は」とか「すごいね、ところで」とかにしよう。
6、一緒に考えて、相手の答えを出してもらう
→自分で考えたアイディアの方がコミットは高まります。
→ここで一つ注意は、こういったコーチング思想への傾注は気をつけようということです。新しい分野や部下の知識・経験が足りない部分はティーチングした方が話は早かったりします。
→ここらへんは、「まずちゃんと聴く」という本に詳しいです。
7、「どう思う?」と聞いてみる
→6と一緒ですね。
→決めつけて、答えを与えすぎると、たしかに部下は考えないようになります(どうせ上司の考えになるのだからと)、もしくは上司の正解を探ろうとしてきます。ここはほんとに難しい問題ですね。「どう思う?」と聞くのと聞かないのでは、聞いた方がいいに決まってますが、結局はどう思おうが、上司の思いに、誘導していく、説得していくことって結構ありますよね。ここらへんの悩みに対しても最近よんだ「まずちゃんと聴く」が一つの答えを出してくれたように思います。まあ、そこまで思い悩む必要はないってことですかね。

ポジティブフィードバック





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