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日本はなぜ新築信仰されているのか

家を買うときって、皆さんは新築と中古どちらが良いと思いますか?

皆さんの周りで新築住宅、中古住宅を購入した人、どちらが多いのでしょうか。

実際の所、中古住宅はなんか怖いし…

誰かが住んだ後の住宅は何か嫌だし、周りの知り合いは皆新築買ってるし、新築の方がキレイなイメージがある人が多いのではないでしょうか。


実は、他の先進国では圧倒的に中古住宅の市場が大きいという事実があるのです。

ここで主要な先進国の新築と中古住宅のシェアを確認してみます。

大きい市場のアメリカを筆頭に日本以外の3カ国ともズバ抜けて新築より中古住宅のシェアが多いですね。

少なくとも半分以上は新築でなく中古住宅を選んでいる人が多いと言えます。

イギリスなんか殆ど中古住宅ですね。

逆に日本は中古住宅市場は小さいままです。
これでも徐々に増えてきてはいるのですが。

何故このような構図になっているのか。

アメリカやヨーロッパも昔は人口が増えてきて住宅が足りなくなったので圧倒的に新築が多かった時代はありました。

ですが住宅を作りすぎてはいけない、限度を作ろうということでどの国も住宅総量規制をかけています。

ヨーロッパなんか旅行すると古い街並みが残っており統一感のある景観となっている為日本とは違う独特な感じがありますが、まさしくその理由と自治体によっても住宅の外壁で使ってはいけない色を設けたり、建物外観の規制は厳しいのです。

相対的に日本では雑多な景観というか瓦屋根の古い家と新しい家が混在して周りを電柱が囲んでいます。統一感があるかといえばそうとは言いにくいでしょう。

日本は現在も住宅総量規制を設けていません。

戦後、高度経済成長にて人口急増で新築バンバン増やすまでは良かったのですが、少子高齢化を迎えて大きく時代が変わってしまったのにまだまだ新築は毎年100万戸近く増え続けています。

こうなれば空き家はどんどん増える一方であり管理に困る所有者や要らない空き家を息子の代へ相続してどうすれば良いか分からなくとも、ひたすら無駄に固定資産税は払い続けなければいけないし、敷地内の草も茫々になるし、といった人達はこれから確実に増え続けること間違い無いです。

先程欧州の街並みを良い例として挙げましたが、空き家が増えると周辺の景観も乱します。また管理もしていないと屋根瓦が強風で落ちてきてしまったり、周囲を危険に晒す恐れもあります。空き家の増加はその町全体の価値を減らすといってもおかしくはないので自治体も何とか空き家を解体して欲しいといった所です。

日本は新築作り過ぎです。 そこは他国を見習い総量規制を設けなければ、いつまで経っても新築を推し進める業者は居なくならないし、私達の心持ちも変わりません。

それでも日本で新築信仰が止まない理由は何故かというと、

新築と比べて、中古住宅市場環境はまだまだ不完全

であることが大きいと思います。

中古住宅販売でよくあるのが、表面上はリノベーション済物件と謳っていたとしても、中の配管等は30年程度で交換時期なのに目に見えない所は手をつけてなかったりします。

その中古住宅の管理が行き届いているかどうかは、当然その後の維持管理費に大きく影響しますが、素人が目視するだけでは結構それを判別するのは難しい。
できれば第三者として住宅診断士(インスペクター)を入れるべきです。

そしてアメリカやヨーロッパのように中古住宅市場が活性化するということは、今所有している住宅の資産価値がより市場に反映されやすくなるということです。

マンション一室を売りに出すときに新築モデルルームのようにリフォーム&家具や雑貨等でデフォルメしてお客さんにアピールすることは中古住宅市場が欧米では当たり前に行われているみたいです。

私も先日、近くで築5年目のマンション一室が売りに出されていたので内覧してみましたが、掃除もされてない、クロスも汚い、水垢バンバン付いてるし売る気ないだろと思いました(笑)
売る側の動機は、転職や離婚等思いもしない理由が割と多く、売る物件へそんなに時間もかけてられないのが本音かもしれません。

日本ではそのようなお客さん向けに工夫してある程度手を入れて売りに出すという文化はまだまだ珍しいように思います。なるべく高く売りたいという方はそのような労力を費やすのも一つの手ではないでしょうか。

中古住宅市場が活性化するのは人々が自分の資産を大切にしようという気持ちの表れかと思います。そしてそれが自分の住んでいる街並みを作ることになる、とも思っています。これから人口減少により、どんどん自治体格差が広がる主な要因としても十分なり得ます。

マンションの管理組合と自治体は同じようなものだと言われています。自分が一員となって声を上げなければ、どんどん価値を維持していくやる気も削がれるし街としての評判も変わってくるのです。

「もったいない」文化と言われている日本ですが、住宅にもその目をもう少し向けていれば、日々の暮らしがもう少し豊かになるのではないかなと思います。これは経済的な話だけでなく、もっと広い意味でも言えることではないでしょうか。

私は仕事柄、賃貸物件の退去部屋を数多く目にしていますが、自分が退去するのをいいことに何も掃除せずに出て行く人達、意外と多いです(笑)

持家ならそうはしない、と思われる方も多いかもしれませんが、そうした日々の行いが将来的に自分自身の資産価値にも現れてくるのでは?とも思います。

何はともあれ、モノは大切に扱うことだと思いますし、こう考えてみると自分も再認識させられます。

ここまでお読み頂きありがとうございました😊



画像出典]日本:住宅・土地統計調査(総務省)、住宅着工統計(国土交通省)/米国:Statistical Abstract of the U.S./英国:コミュニティ、地方政府省ホームページ(既存住宅流通戸数はイングランドおよびウェールズのみ)/フランス:運輸、設備、観光、海洋省ホームページ


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