足りない

私学校でイメージっていう授業受けてるんですよ。

映像とか物語とか表現方法を理解する授業。そこでホワイトボードを使って自己紹介する現場があったんです。14人生徒がいてみんなすごかった、色とりどりって感じ、

フランス生まれで好きな哲学者について話してくれた子とか。

すごくセンスがあると思ってた子が今スランプで絵も言葉も出てこないとか。

中国留学生の話とか。

完璧主義が故に間に合わなくなって不登校になった経験がある子とか。

とにかくいろんな人がいたみんな濃かった。

私は半生をふりかえりながら好きなものについて話した。昔私は誰にも知られずに死ぬのが怖くて有名人になりたかった。バンドを始めたけど陽の目を浴びずすぐに解散した。ミュージカルの世界を志したが受験に失敗して諦めた。そのあと芸人になろうと思ってた大手養成所の願書を取り寄せたけど我に返って芸人にはならなかった。ラジオが過ぎて放送作家になりたい時もあった。でも全部諦めて今はデザインを学んでいる。

っていう話をした。みんな笑ってくれたし興味深そうに聞いてくれて嬉しかった。でも私は限られた時間の中でこれだけを話して大事なことを言えずに終わってしまった。これらの夢は諦めた。諦めたけど全部中途半端な気持ちで取り組んでたわけじゃない。全部本気でなりたかった、これ以外にもなりたいものはいっぱいあって全部試してるってこと。合わないって気づいたのに、それを続けてたら他が間に合わないって、だからすぐに切り離してしまうけど早く本当に自分ができるものに出会うためだって。言えたらよかったな、って後悔してる。

それでも全部終わった後先生は自己紹介しなくても個人を読み取るためにこの授業があるって言ってたから。

そうなるといいなぁ。


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