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バルト旅 2020.2.17~2.28

 ちょうど一年前の2020年2月17日、バルト三国の一番南の国リトアニアに降り立った。それから約10日間にわたってラトヴィア、エストニアと北上し、最後にフィンランドを訪れた。人も街も食べ物も空気も、すべてが美しく新鮮だったこの旅を機に、バルト三国の魅力にのめり込んだ。以来毎日のように旅の写真を見返し、思い出を反芻し、日々バルト三国の情報を集め続けている。

 この旅を何か記録に残したいとずっと思っていたけれど、記憶の温度が高すぎてうまく文章に消化できない感じがして、頭の中で旅の記憶に浸っては今すぐあの場所あの空間に戻りたい!!!という発作を起こしていた。1年後の今となっては、あの一瞬一瞬の驚きや感動を自分がしっくりくるように記録するのは難しい。でもさすがにこれ以上経つと忘れてしまうので、もう書くことにする。

 そもそもなぜバルト三国に行こうと思ったのか。はっきりしたきっかけは覚えていないが、大学の図書館の地理コーナーでリトアニアの本を手に取ったことが始まりかもしれない。この地理コーナー(民俗コーナーも)、世界各地の暮らしや料理、手仕事などに焦点を当てた面白い本にあふれていて本当に楽しい。ここで出会う本の数々が私の好奇心を大いに刺激している。

 それはさておき、とにかくそのリトアニアの本でリネンや蜂蜜、夏至祭、黒パン、じゃがいも料理、夏の豊富なベリーやきのこ、籠や木工品などを見て、途端にリトアニアだけでなくバルト三国全体に興味を持った。
 もともとリネンの手触りや質感が好きだったし、木工品のぬくもりや籠のたたずまい、それらでできた台所道具や生活雑貨が好きだった。蜂蜜は(マヌカハニーなど規格に基づいた上質なものに限るけど)栄養価が高いことや殺菌・疲労回復など様々な効能があるのを知って関心を持っていた。(白く濁ったやつが特に美味しい。) ブルーベリー・クランベリー・カシス・ブラックベリー・ラズベリーなど、上げたらきりがないほど色々あるけどベリーの酸味と美しい色も大好き。そして極めつけは黒パン。自分のパンの嗜好を語ると長くなるが、第一に真っ白ふんわりしっとり系は興味がない。ライ麦の酸味や全粒粉のコク、ナッツやドライフルーツが所狭しとごろごろ入ったザクザク食感のパンが好きだ。表面は焦げ茶でガリガリと固く、小麦粉がまぶしてあり、中はずっしり詰まっていて全体的に茶色いものが好み。カンパーニュとか、まさに黒パンとかがどんぴしゃなのだ。そんなわけでバルト三国は私の好きなもので溢れていることが判明し、これは行くしかない!と早速計画を立て始めた。

 東欧(とあまり括りたくないけど)に行くのは初めてだったし、海外旅行ってそう気軽に何回も行かれるわけじゃないので、バルト三国の他に寄りたい国も考えた。NHK BSの世界ふれあい街歩きが大好きでよく観ているのだが、それにも影響されて世界中のあちこちに訪れたい場所がある。この旅でついでに行くならポーランドやチェコ、ルーマニアあたりかなぁなんて夢を膨らませて色々調べていたら、「ついで」に寄って満喫できるわけがないくらい行きたい所や見たいもの欲しいもの食べたいものにあふれていて、寄り道候補からは却下した。またお金貯めてちゃんと時間をとってじっくり旅しよう。
 次に検討したのは北欧。エストニアの目と鼻の先だし、一度は行ってみたかったし、ちょうどいいじゃないかということで、一番近いフィンランドに決定。(早!) そもそも日本からバルト三国への直行便がなく、いずれにせよヘルシンキを経由することになるので都合もよい。

 そんな感じで 成田→ヘルシンキ→ヴィリニュス→リガ→タリン→ヘルシンキ→成田 という順に巡る約10日間の旅が決定した。
 それぞれの国での思い出は、また別に投稿していく。写真中心のメモのようになるかも。

 最後に、旅に行く前に読んだバルトの本を載せておく。大学の図書館で出会ったのはこれ。
・『旅するリトアニア 』口尾麻美 https://www.amazon.co.jp/dp/476612720X/ref=cm_sw_r_li_awdb_imm_c_H4Y8FD8KFSH0T8NVAMBM
 著者の口尾麻美さんは、リトアニアだけでなく中央アジアやジョージア、トルコ、モロッコ、台湾など世界各地の料理を作り紹介している料理研究家・フォトエッセイストだということを後々知った。ほかにも素敵な本を出されているので要チェック。

そして、もっとバルトについて知りたくて、数少ないバルト三国のガイドブックの中から選んだのがこれ。
・『バルト三国 愛しきエストニア、ラトビア、リトアニアへ』 Sanna
https://ajirobooks.stores.jp/items/5e952cde34ef01789c2082f2



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