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ハト男のA君

 ハトってすごいよな。
 人にこんなに近づかれても容易くは逃げないし、飛んだとしてもそんなに遠くに逃げない。人付き合いが得意だ。ハトのくせに。野生のくせいに。

 春が近づく4月の土曜日の朝、天気がよかったのでなんとなくスーパーにあえて歩いて行ってみた。普段はそんなことしないのに。片道20分ぐらいかかる。暇じゃないんだけどなぁ。今週やりきれなかった仕事が溜まっている。その往復40分の間にハトを8羽みた。
 最初にみたのは公園沿いの遊歩道の茂みの中。つがいなのか2羽いた。土をつついていた。何か探しているのか。次に見たのは、スーパー近くの駅の改札の広場。5羽ぐらいだろうか。人がうろうろと動く中、ハトたちもうろうろしていた。電車に乗る訳でも何のに。
 最後にみたのは、スーパーの植木。パンジーの中にいた。花の中に堂々とハトがいた。折角植えている花をつついている。咲いている花をわざわざつついてる。でも、俺の他に誰も気づいちゃいない。やるな。ハト。華やかな特等席で華を突くなんて。ハトとは少し目があったが、俺が何もしないことが分かったためか、俺は無視されハトはパンジーをつつき続けた。やるなハト。

 散歩から帰ってきたら、仕事なんてなんだかどーでも良くなって、とりあえず寝た。目が覚めたら日曜日になってた。仕事をやっていなくて焦ったけど、カーテンを開けたら今日も天気が良くて。パンジーのなかにいたハトの顔を思い出し、笑ってしまった。

今日は人にもハトにも会わない日にしようと思う。

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