Kohei

書評、映画評書きます

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最近の記事

【映画評】ミッドサマー 社会の外側としての祝祭

祝祭と法外がメインのテーマだなと思ったので一度それらについて説明します。 祝祭、つまり祭りの歴史は古く、ほとんど人類の誕生と同時に存在しました。しかし、現在のような 形となったのは大規模定住社会が始まって以降です。 大規模定住社会、つまり農耕社会が始まってから祭りが必要になった理由は“本来の我々”性を思い出すためです。 説明します。そもそも我々の体は農耕社会でなく狩猟採集社会に適するようにできています。人類は約 500 万年前に誕生したけど農耕が始まったのは早くても 2

    • 【映画評】 すずめの戸締り

      なぜ、草太は椅子に変えられてしまったか?  草太はなぜ椅子に変えられてしまったのか。 まず、シーンをさかのぼってみよう。すずめは痩せこけた大臣を窓辺に発見。煮干しのようなものを与え「うちの子になる?」と聞く。大臣はそれに「すずめ 好き」と応える。そしてこの間何も喋らず微笑ましく見守っていた草太が椅子に変えられてしまう。完全なとばっちりである。 なぜ草太は椅子に変えられなければならなかったのか?2通りの説が考えられる。 1つは至極単純に作劇的に必要だからだ。幼いすずめに

      • メルカリで哲学

        3ヶ月ほど前、使っていた財布に飽きてきたので新しいのを買おうと思い立った。 向かう先はメルカリだ。 ブランド物の財布でもある程度の値段で買うことができる。 中古など、特に気にしないのでメルカリはよく利用する。 そんな中ボロボロの財布を見つけた。 「なんだこれ?」と気になり目を止めた。 値段は「11900円」である。 「高っっ!!こんなにボロボロなのに!?」 と思ったが、ブランドをみて納得した。 メゾン・マルジェラである。 言わずと知れた世界に名だたるハイブランドだ。 1

        • 『すし、うなぎ、てんぷら』林修著で唯一絶版の名著

          林修氏は言わずと知れた日本一有名な予備校講師である。インテリを鼻に掛けているがどこか愛嬌のあるキャラクターでタレントととしても人気を博している。 当然、そんな彼が書く本は飛ぶように売れ、その多くがベストセラーとなっている。 そんな中、彼の著作で唯一重版されず絶版になってしまった作品が今回取り上げる『すし、うなぎ、てんぷら』だ。 内容はいたってシンプル。すし、うなぎ、てんぷら、それぞれの職人へのインタビュー本だ。各職人の暑苦しいまでの思い、こだわりが綴られている。 コンビニ

        【映画評】ミッドサマー 社会の外側としての祝祭

          利他的な行為とは利己的な行為である

          利他的行為とは相手の利益を優先すした行動だ。 電車で席を譲るなどの行為がそれに当たる。 しかし、これは本当に利他的な行為なのだろうか? もしかしたら譲った本人は承認欲求や自己肯定感のために席を譲ったのかも知れない。 すると、周りから利他的に見える行為も、行為者からすると利己的な行為であるといえる。 そうすると利他的な行為は不可能なのではないかという疑問を抱くが、そんなことはない。利他は可能である。行為者がその時に与えていることを意識しなければ利他的な行為となる。 例えば

          利他的な行為とは利己的な行為である