爆走 鉄道マンとの合コン

以前バスの運転手さんと合コンしたことのある私。

今回は、電車編だ。昔の小学生が一度は憧れる、そして鉄道マニアも大人気の運転士や車掌さんの方だ。別に私の職業柄乗り物系が集まってくるわけではないのだが、なぜか続いてしまった。そして男性陣が憧れるスッチー合コンみたいに、パイロット合コンはなぜか縁がない。地を張って生きてゆけという神の思し召しなのだろうか？

名古屋で中央線やら、東海道線といえば、もーどこの会社かは一目瞭然であろう。そして、何よりも新幹線も走らせているこの会社　結構女子の間でも人気の企業なのだ。実際は大卒出の幹部候補が、断然人気があるのだが、あえてというか、やはりというかよく言えば親しみを込めて、在来線の運転手さんや車掌さんが参加することとなった。ちなみに幹部候補のイケイケ系は必ず新幹線の車掌さんや運転手さんも経験するらしい！

で、集まった女子４人＆男子４人。フツーの居酒屋で、フツーに始まったこの合コン。

パッと見の男子は、普通だ・・・特急でも特別快速でもなく普通列車だ。話もとりとめないし、女子あるあるの黙ってつまみを食べる図になってしまっている。

だめだ・・・これでは・・・　盛り上げねば！駆け込みならぬ、盛り上げるための飛び込め乗車だ！モグモグしているウサギの様な(いやうさぎのように可愛くはない）彼らに声をかける。

＜そうだーせっかくだから、車内アナウンスやってよーー！得意でしょ！＞得意も何も、彼らにとっちゃ業務のひとつなんだから　やれて当たり前だ。

男子ときたら、＜いやーこうゆうところではちょっと・・・なー＞
って君たち！せっかく人が助け船出してやったのに、気取っていやがる・・・

ところがちょいと可愛いＬちゃんが、＜えー！聞きたい！聞きたい！＞なんんて言いだしたら、

急に男子たちは＜えーしょうがないなー少しだけだよー＞とデレデレしながら口の端をニヤニヤしてやる気満々ではないか！

なんだよ！やっぱり顔か！顔なのか！だから私が電車に乗ろうと思ったら、目の前で扉閉めちゃうのか？！この前可愛い子がいたら開けてたやんけ！！と心の中で悪態をつきながら、＜ほらみんな拍手拍手！！＞と不屈のサービス精神で盛り上げた。

＜えーじゃあ僕から＞とはりきって、中央線君がアナウンスしだした。

＜まぁもぉなぁくぅー２番線にぃー各駅でんしゃぁーコウジョウジ行きがまいりやぁす～ヒャクセンの後ろに下がってお待ちくださーーい＞

ひゃくせんってなんだよ！白線だろ！高蔵寺だろ！コウジョウジってどこだよ！って突っ込み満載のアナウンスの後、おもむろに・・

＜ピーーーーッ♪＞

っていきなりポッケから笛まで取り出して吹いちゃってるじゃないかっ!
おいおい、ここはホームじゃないし、居酒屋だし！誰も白線なんかから出ないよ・・

アハハハハハ・・・・
Lちゃん以外の女性陣の乾いた笑い声も彼らには響かず、
＜よし次僕ね!＞
頼みもしないのに張り切って、中央線の車掌君が指差し確認をしだし、
＜はいードア閉まりますーご注意ください＞と言い、なんかボタンを押すふりをして、＜あーこれはねドア開閉スイッチて言うのがあるんだよ＞と聞いていもいない解説などを交えながら、＜えっ！ちゅぎはーかにゃやみゃーかにゃやまーどぇーす＞と、どんどんボルテージは上がっていき、女子そっちのけで男子たちは電車ごっこをはじめてしまった。

もー誰も止められない。特急を越えて新幹線だ 

N700系　のぞみ　名古屋を出ると次は新横浜まで止まりませんだ・・・

喜んでるのは言いだしっぺのＬちゃんだけ、そのころ私は中央線沿線に住んでいたので、＜かにゃやまー＞が金山っていうことも知ってるし、別にこんなところでそんなにしつっこく聞かなくても毎日いやと言うほど聞いていちる。まさか居酒屋で毎日の通勤電車状態を経験するとは思いもしなかった。

名古屋発、各駅停車の高蔵寺行きまで実況アナウンスと途中のホームでのやり取りなどを聞かされ、もちろん本来の目的であるカップル性rつなんてあるわけもなく、ぐったりして会は終了した。

盛り上がった男子陣は、折り返し今度は、東海道線までやろうかーなんて言い出してるから、さすがにＬちゃんも岐阜まではついていけなかった。

後日、いつものように名古屋駅から中央線に乗ろうと階段を駆け上がり、ちょうど電車が来ていたので、後ろから猛ダッシュで乗り込んだ時、

＜えーそこのお客さんー駆け込み乗車はおやめくださいよー道場長さん～＞

と車掌さんに名指しで言われ、私？！名指し？！なんでやねん？？？と
びっくりして振り返ると、なんと中央線 車掌君だった！！

テレビドラマや小説なら、そこから恋が始まっちゃったりなんかしちゃったりするかもしれないが、もう中央線オンパレード車内アナウンス終点まで聞く不屈元気がない私には、ハハハいやーすんませんねぇとへこへこ頭を下げるしかなかった。

その日を境に二度と、駆け込み乗車をせず、後ろの車両に乗らないよう＆後ろをなるべく振り返らないようにした私なのであった。