仁義なき鳩との闘い ベランダの陣

麗しのベランダライフ

暑い、最近特に暑い…私が住んでいる名古屋は特にジメジメ感が半端なく、５月でも気温２８度、湿度７０パーセントなんて言うのもざらである。
もともと東京の川沿いに住んでいたので、そんな数字とは無縁。川沿いからの風に夕涼み、ユーミンの歌にも出てきそうな爽やかな風と共に、ベランダでビールをたしなむのが私の素敵時間だった。

今 名古屋に住むようになり、私のベランダライフは川沿いではないものの、最上階のため若干ではあるが風を感じることができる。

ベランダは昔から私の憧れの場所だった。
どちらかと言えば一軒家より、遠くが見渡せるマンションの一番上でそれなりの広さのベランダがあるのが良い。まさにマイスイートベランダだ。しかも自慢しちゃうが、夏には距離は遠いが花火も見えちゃったりする。夜景もなかなかきれいで、マンハッタンならぬ、ナゴハッタンだ。あくまでも自己満足。家なんてそんなもんだろう。

少々広めのベランダのため、グリーン菜園としゃれこんで、名前は無いが
わしゃわしゃ生えてくるシソや、つまみにと枝豆、自分のモヒート用に
ミント、冷ややっこ用にオクラもいる。そう全て酒と私とベランダライフのためだ。

しかしある日 奴はいきなりやってきた

いつもなら、朝日が気持ちよくさすそのベランダにチュンチュンチュンとスズメが軽やかに私を起こしてくれるのに、その日は猫がのどを鳴らすような声で＜グルックー＞＜ゴロッポー＞とバサバサーと音がする。まさかと思い、ぼっさり頭とのったり身体でベランダにでてみると、全身灰色、首のあたりは青とか紫ともうよくわかんない光沢色、手羽先にしても絶対美味しいわけがないギスギスした足。そしてデビルマンの敵の悪魔が人間から変身して正体あらわす時の様な、真っ赤な目。それは誰だー誰だー誰だー　それは鳩だー鳩だー鳩だー！！
しかもベランダの防火扉からくぐって入ってきたのである。なんじゃその入り方は？余計にムカムカ。

こんな感じで、こんにちはと来たよ。可愛いなんて思うなかれ、鳩は一度
その場所が気に入ると何度でもやってくる。落とし物と称する害的要素もすごいしていくし、ひどい時はこっそり巣なんか作っちゃったりする。しかも帰巣本能も非常に優れており、ここの住人は大丈夫そうだぞと鳩判断すると、毎年多くの家族と仲間を連れてやってくるのだ。

前のマンションの時もあの手この手で応戦したが、五分五分の引き分けで終わってしまったが、私の大事なおつまみたちを死守するためにも、今回は
絶対勝たねばならぬ。食べ物と酒の恨みは半端なく恐ろしいのだ。

鳩対策グッズを試してみた

今までこんな目玉の親父や

こんな きらきら光るCDをつるしてみたり

はたまたこんなカラスのそっくりさんを吊るしてみたりした。
そっくりさんは＜からべえ＞と名付けて毎日鳩を追っ払うようにと、
叱咤激励していた。

鳩は自分より目玉が大きいとかキラキラしてる物体や、カラスが苦手だと聞いていたので、全て試してみたがうちにやってくる＜ゴロッポー＞にはそんなに効果がないみたいだった。

どっちかというと 私の方が目玉やカラスに驚かせられ、ベランダに出る度に

＜誰怖い！私を見てる？！ひぇーなんだ目玉親父かびっくりさせないでよ＞

とか、

＜ぎゃーーカラス！怖いー！ひぇーーなんだ からべえか、驚かさないでよ＞

と、鳩より私の方が毎度驚いていて、その隣で＜馬鹿だなーお前は＞と薄ら笑いのデビルマンの敵キャラモンスターが真っ赤な目で私を見て、いつもの通り＜ゴロッポー＞や＜グルックー＞といいながら、害を落としていくのだ。

復讐するは我にあり

もうこうなったら何が何でも奴らを追い出したい！でも私には永井豪先生もアキラ君もデビルマンもそばにはいない。
こうなったら自力で戦うしかない！驚き大作戦は失敗に終わったので、地祇なる方法を考えないといけない。テグスを張り巡らせるといいという情報があったが、万年家庭科は白鳥の２だった私には手先の器用さを必要とする作業は到底無理な話だ。もう次のコンパでは、鳩撃退が特技ですっていう彼か、テグスを張らせたら、俺の右に出る谷内はいないぜ！って人を探そう。

もう自分の声で威嚇するしか方法はないのかと思っていたその時に、ふと目に飛び込んできた。

なんでも、地磁気を読み取って飛行方向を判断する鳥類の習性を逆手にとって、強力な磁場で鳥類の体内にもつ生物磁石を狂わせる事で、磁気感知能力に影響を与え、磁石周辺から鳥を撃退するのだそうだ。
すごいじゃないか！磁石！砂鉄の実験や、どっかお土産物の裏についているマグネットや冷蔵庫にメモ張るだけの役目じゃなかったんだ！

で、置いてみた。まだまだ置いたばかりなので、効果はわからないが私達の新たな戦の火ぶたは切って落とされたのである。我が家のベランダでの夏の陣、結果は鳩のみぞ知るのである。