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定年後フリーランス☆趣味をマネタイズするということについて(3)

 フリーランス仕事の〈頻度〉と〈連続〉を確保して、加えて〈一案件あたりの取引金額〉のボリュームをも考えるにあたっては、それぞれ仕事との相性の合う合わないがあるだろう。私に限れば、発注者と受注者をつなぐ場を利用しての案件獲得はまったく駄目である。具体的にはストアカとビザスクとココナラとワッカス(趣味なび)。もう随分と前(いちばん古いので7、8年前)に役務提供者側の登録をしたが、まだ1件も成約、役務提供がない。ということはつまり、この類の仕掛けからはびた一文収入がない。やはり8年ぐらい前に配信者としての登録をして、3年ぐらい前まで続けていたメルマガでさえも微微たるものながら振込が発生していたというのに。よほど相性が悪いのだろう。ただどの場もなにがしかのマネタイズの期待をもって利用登録したわけではない。素直にこれらの仕掛けを体験したかっただけだ。

発注者と受注者をつなぐ類のこれらの場は、何かしら全体的にフワフワしている。たとえば何かトラブルが発生した際に、仕切ってくれる具体的なセクションや担当者が不鮮明な印象だ。あるいはトラブルへの介在を避けている。「当事者同士でケリをつけてください」というスタンス。まあもともとこのビジネスモデルをもってしての商売はそんな程度の刹那なもんなんだろう。期待するほうが悪いのかもしれぬ。

そもそもからしてフリーランスの仕事など刹那的なものだが、これらインターネット上の場を利用して発注、受注のやりとりをする仕事はひとしお刹那で儚い感じである。大方、案件が単発だから概ねその場限りで終わる。発注者には〈使い捨て〉の意識さえもないだろう。点は点のまま。あまたの点ができても点は点のまま。ただの点。ときに特定の案件発注者に注目されて、仕事に〈頻度〉と〈連続〉が生じ、点が繋がって線になることはあるだろうが。そんな事はほぼ稀だ。珍事の部類と言ってよい。

一発きりの案件には契約書が無い。不都合な事が発生するとだいたい受注者が損して泣き寝入りして終わる。(一九七〇年代後半、大学生の頃、胡散臭い日雇いバイト斡旋所経由の単発バイトで、ときどき騙されてタダ働きさせられたことを思い出した。今となっては懐かしい。)

刹那な案件であっても、発注者ときちんと業務委託契約書なりを交わしてからサービスの提供をおこなったほうがよい。それも極力、リアルに顔を晒しているまっとうな発注者とだ。私は専らカルチャースクールの講師をしているのだが、複数のカルチャースクール運営会社(全て法人)と、互いの署名、捺印を入れて責任の所在をはっきりさせた業務委託契約書(その名称は、委嘱契約書、協定書等いろいろあるが)を、サービス提供前にしっかり交わしている。カルチャースクール運営会社との業務委託契約は、多くは2年単位の更新である。つまり保証されていないとはいえ、2年は業務委託契約をしたカルチャースクールのどこかの教室の講座において喋ることができるということだ。もちろんその先、カルチャースクール運営会社の期待に沿えれば、契約更新はされる。私はいちばん最初に業務委託契約をしたNHK文化センター(京都教室)とは、すでに8回(2年単位の更新)の契約更新を重ねている。単発案件を刹那に繋いでゆくよりも〈連続〉の度合はつよい。

そこに案件発生の〈頻度〉が絡んでくる。〈連続〉と〈頻度〉は併せて考える必要がある。〈連続〉しているが〈頻度〉が少なければ満足できる収入は得られない。極端なはなし、年に数回しか発生しない案件が〈連続〉しても、よほど取引金額が大きくない限りたいした収入にはならない。私がやっているカルチャースクールの講座の俳句というジャンルで言えば、ひとつの講座でせいぜい月に2回(つまり隔週)が限度である。同じ受講者で月に2回も同じ講座に足を運んでくることはカルチャースクールにおいてはまず無い。俳句結社(俳句に特化したサークル)ならば、より高い志とそれなりの野心をもったひとが少数ながら存在するから、そういうひとは毎週(つまり月に4回)でも、有料で開催される句会(カルチャースクールで言うところの講座)に出席する。しかしカルチャースクールに来る受講者は、もっと気楽に俳句を楽しみたいひとで、かつ、他のいくつかの趣味と並行してやっているから、ふつうは月に1回で十分である。仮にひとつの講座について月に2回、実施することとした場合は、それぞれの講座実施日について別々の受講者を集客しなければならなくなる。ということで現実には、ひとつの講座(俳句)については、月に1回の〈頻度〉が、取りあえず24ヶ月〈連続〉するということになる。

だからどこかのカルチャースクールに一つ、二つ講座を持っても、〈頻度〉が限られてくるためたいした収入にはならない。もちろんもうひとつ別の要件として、受講者ひとりあたりについての受講料をべースとした講師の取り分、つまり歩合がある。これについてはカルチャースクール全体の昨今の集客状況をみて、実現ぎりぎりのところで、講座実施時間内(だいたい一講座、90分〜120分)で最大ニ十数名の集客(つまり同時受講)が可能だが、じっさいには一講座で十人も受講者が来てくれたら万々歳である。
受講者一人当たりの歩合ならびに講座実施時間内での集客可能性を、楽観的に考慮してもさほどの収入にはならない。

では、この状況下でどうやって、或る程度のかたまった収入をつくるかといえば、やはり特定期間(たとえば月間)における〈頻度〉をかなりあげてこなければ駄目だ。とはいえ一つの講座については月中の標準講座実施回数が1回、せいぜい2回までという限界があるから、あとはひたすら講座自体を増やす、つまり講座(集客の器)を新設してゆくしかない。

ひとつのカルチャースクール運営会社の運営する教室はかなりの数があるとはいえ、ひとつの教室(支店、支社のイメージ)でひとりの講師が開設できる講座数、講師が通える場所かどうか等を考えると限度がある。ということは複数のカルチャースクール運営会社と並行して業務委託契約を結び、その資源(教室)をフルに利用させてもらって、スケジュール調整を緻密におこないながら、喋ることができる講座を増やす、つまり有償案件の〈頻度〉をあげてゆくしかない。私の肌感覚では、月間だいたい30講座を、どかしらのカルチャースクール運営会社の運営する、どこかしらの教室で実施するのが望ましい。











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