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不動産DXのイノベーターとして未来を切り開く。目指すは「真のプラットフォーム」

GOGENが2024年4月に運用開始した『レリーズプラットフォーム』は、不動産取引に関わる手続きや情報管理をワンストップでデジタル化する「不動産売買支援ハブ」。

不動産業界はもちろん、保険や住宅ローンなどの関連業界をも巻き込みながら、不動産取引のあり方を変革していくことを目指しています。

単なる「業務のデジタル化」とは一線を画す、当社のビジョンとは? 代表取締役CEO・和田浩明のインタビューをお届けします。


不動産取引に関わる各企業と連携し、「本質的なDX」を促進

ーーまずは不動産業界のDXの現状を教えてください

不動産業界は主に「新築」(自社で建てた物件を売主として販売)と「流通」(不動産仲介)に分かれていて、いずれの領域も社会全体のDX推進の流れやコロナ禍などをきっかけにデジタル化が大きく進みました。

以前は対面での商談や紙の資料が当たり前でしたが、昨今はオンライン化が浸透し、VR体験型のモデルルームなども増加。マーケティングや営業戦略といった、顧客接点以外の部分でのデジタル活用も進んでいます。

一方で、「本質的な意味でのDXが進んでいるか」という観点でいえば、「これから」だとも感じています。

経済産業省が定義するDXは、要約すると「データとデジタル技術を活用し、事業や経営を変革して、競争上の優位性を確立すること」。つまり、単なる業務のデジタル化ではなく、ビジネスを拡張させていくことが大きなテーマ。そこまで見据えてトライできているかを考えると、まだ企業によって差があるのが現状だと思います。

ーー本質なDXが進みにくい理由はどんなところにあるのでしょう

さまざまな理由がありますが、「DXの必要性・価値」に気づきにくい商材でありビジネス構造である、という点が大きいと思っています。

不動産は単価が高く流通量が少ないため、「売上を1円単位で積み上げていく」という視点を持ちにくい業界。流通量が少ないぶん取引に関わる人数も少なく、業務は属人的になりがちなので、それで高い成果をあげている企業や社員からすれば「業務の再現性を高める」ことの必要性も感じにくい。つまり、「ビジネス拡張のためにデジタルを活用する」という発想になかなか行きつかないのです。

また、不動産取引は銀行や保険会社などとも密接に関わるため、不動産会社が単体でDXを進めるだけでは限界があります。本来なら、取引に関わる全プレイヤーをプラットフォームとして集合させていかなければなりません。でも最近は、各社がそれぞれ個別にデジタルツールを導入し、エンドユーザーの体験が分断されてかえって不便になるという課題も生じています。

ーーその現状をふまえ、GOGENが本質的なDXに向けて取り組んでいることを教えてください

当社が目指しているのは、不動産取引における顧客体験を変革し、新しい取引モデルを生み出すこと。

日本の人口減少が進む中で、この先も不動産市場を活性化させていくためには、顧客一人ひとりのLTVを高めることが不可欠だからです。「家は1回買ったら終わり」ではなく、ライフステージに応じて不動産を柔軟に活用していく。そんな価値観を当たり前にするには、何度も取引したくなるような顧客体験の創出が必要です。

これは先ほどお話ししたとおり、不動産会社1社1社のDXだけでは到底実現できないこと。関連企業間で連携して業界全体を変革していかなければなりません。当社がそのハブとなり、イノベーターとして変革を進めていきたいと考えています。パートナー企業との協業の強化をはじめ、私個人としては不動産テック協会理事の活動などにも力を入れています。

ーー現在、具体的にどのような企業と協業を進めていますか

「流通」領域では、野村不動産ソリューションズ株式会社と2022年から業務提携させていただいています。不動産売買手続きにおける新しい顧客体験の創出を目的に、「何をどう変えていくべきか」という議論を徹底的におこなってきまして、実際のプロダクトへの落とし込みについても近々お話できるようになると思います。

「新築」領域では、穴吹興産株式会社と2023年に業務提携させていただき、不動産販売の事業構造変革に向けて共同で取り組んできました。現在は新築分譲マンション販売のオンライン化を目指し、サービス開発を進めています。

不動産業界以外ですと、キャッシュレス・非対面決済サービスを提供する株式会社エスクロー・エージェント・ジャパンと業務提携させていただいています。今後は火災保険や住宅ローンなどの領域とも協業を進めていきたいです。

業界全体の流れを変えるには大手企業との協業が欠かせませんが、それ以上に重視しているのは、志をともにできるかどうか。いまお話しした企業はいずれも、「新しい顧客体験をつくる」「ビジネスモデルを変革する」といったビジョンに共感し、ともに挑戦していくパートナーとして当社を選んでくださっています。当社のような立ち位置のスタートアップはほかにあまり例がないので、イノベーターとしての価値を発揮できているのではないかと思っています。

LTV向上を目指すGOGENモデルは、グローバルでも通用する

ーー不動産という商材やビジネス構造自体がDXの障壁になっているというお話がありましたが、GOGENのサービスの導入先拡大にあたっては、どんな営業戦略を描いていますか

まずは、業界の流れをつくっていけるような大手のプレイヤーに、私たちのサービスを選んでいただくところから注力していきたいです。

不動産業界は属人性が高いと言いました。それは、ものすごく優秀な営業がいたとしても、組織として再現できていなければ会社の優位性にはならないということ。お客さまはリピーターでない限り営業個人のことを知りませんから、もし組織全体でレベルアップを図る他社が現れた場合、明確に劣後してしまいます。そのため大手企業はお互いの動向を常に意識していて、A社があるサービスを導入したらB社C社も追随する…という流れが生まれやすいのです。その際、アーリーアダプターとなる企業に当社を選んでいただくことが、目下の目標です。

属人性の高い不動産取引業務の中でも、『レリーズプラットフォーム』がカバーしている「契約」は比較的、全社で統一してデジタル化を進める意義が大きいと感じていただきやすい部分。契約書のフォーマットや取り交わしの方法が人によってバラバラなのはリスクが大きく、会社としてルール化しやすいからです。

そういう意味では最初に『レリーズ』を導入いただくのがスムーズかもしれませんが、入口はほかのプロダクトでもコンサルティングサービスでもいいと思っています。私たちの価値をきちんと感じていただき、長期的にお付き合いして裾野を広げていけるような関係性を築いていきたいですね。

ーーグローバル展開についてはどう考えていますか

チャンスは十分にあると考えています。日本は「人口減少社会の中で不動産市場をいかに維持向上させていくか」という課題の最先端を走っていますから、当社が挑んでいるようなコンセプトは海外ではあまり発想し得ない。実際、海外のSaaSをリサーチしても当社のようなプロダクトはなかなか見当たりません。いずれ人口減少に直面するであろう国々では、当社のモデルは需要があると見込んでいます。

あるいは別の考え方もあります。たとえばアメリカの不動産売買は、仲介会社ではなくエージェント経由が主流。個人のエージェントが新規を獲得し続けるのは難しいため、リピートや紹介を大切にする慣習があり、エージェント自らが顧客の誕生日に花を贈ったり、物件のある街をインスタで紹介したりしています。いわば属人化の極みですが、彼らは自らの努力でLTVを高めているんですね。

ただ、そうした努力をバックアップするようなツールは、現状あまり普及していません。DXで取引管理や関係性構築がよりスムーズになれば、エージェントの生産性向上につながるはずです。つまり、商慣習は違えど、「LTVの向上」や「不動産取引の拡大」に取り組んでいる国や人々にとっては、当社のモデルは価値があるということ。ですので、将来的にグローバル展開はぜひ狙っていきたいと考えています。

「総合的な売買体験」を提供する、真のプラットフォームへ

ーー4月に『レリーズプラットフォーム』の運用を開始し、現在も開発を進めていると思います。今後どんなプロダクトにしていく予定か、ビジョンを教えてください

まずは、契約から引き渡しまでの一連の不動産売買取引をデジタル化するSaaSとして、対不動産事業者・対顧客の範囲で開発を進めています。「流通」領域も「新築」領域も、不動産売買を全方位的にカバーできるよう汎用的な設計をしています。

その次のステップとしては、保険や住宅ローンなど、不動産事業者・顧客以外のステークホルダーも対象としたプロダクト開発。不動産取引を変革するにはプラットフォーム化が必要と言いましたが、プラットフォームと呼べるようになるには、さまざまな事業者・顧客・サービスの「活動の場」として機能している状態にまで持っていくことが重要です。そのためにも現段階から協業先を拡大し、パートナーを巻き込んで「総合的な売買体験」づくりの準備を進めています。

ーー不動産取引のプラットフォーム化を通じて、エンドユーザーに対しては最終的にどんな世界観を実現したいと考えていますか

「不動産を買う・売る」という行為を、エンドユーザー起点でおこなえる社会にしていきたいです。

たとえば、ひと昔前は服でも家具でも、自分で買ったものに対しては自分で責任を負わなければいけなかった。でも『メルカリ』の登場によって、たとえ買ってみて気に入らなくても8割くらいの金額で誰かに売れるし、次の商品をまたすぐに買える、といった体験が可能になりました。ものを買ったり売ったりするハードルが下がり、エンドユーザー自身が選択肢を持って行動できるようになったわけです。

不動産が完全にそうなるかはさておき、プラットフォームが浸透すれば消費行動は確実に変わるでしょう。広告を見て「家を買おうかな」「売ろうかな」と検討し始めていた時代から、自分の人生の中で不動産をどう活用していくかを主体的に考えるようになる。自分の不動産がデータ化されることで、次のアクションも起こしやすくなるでしょうし、エンドユーザー同士のマッチングも加速するかもしれません。

そこまでたどり着くには、まず「不動産を買う」という体験がよいものであることが必須。その最初の体験を最大限に向上できるよう、プロダクトを磨いていきたいと思います。そして将来的にはプラットフォーム化を実現し、誰もが不動産を通じて人生を豊かにできる世の中へ――。それが私たちの長期的なビジョンです。

最後に


「語源になる」ために、「あたらしいやり方で、人々によりよい不動産を」を最初のMISSIONとしてプロダクト開発を行なっています。

創業から2年と5ヶ月目を迎えたGOGENでは、バラバラに分断された不動産売買の体験を、よりなめらかな体験に変えるため、さらなる開発体制と採用の強化に取り組んでいます。

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