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「プロダクトで勝つ」。CEO×CTOが語る、価値ある不動産バーティカルSaaS開発とは

不動産取引に関わる手続きや情報管理をワンストップでデジタル化するサービス、『レリーズプラットフォーム』を開発運用するGOGEN。

エンドユーザーの「顧客体験」、不動産事業者の「業務体験」を革新するという使命のもと、GOGENならではの価値を徹底追求したプロダクト開発に挑んでいます。

今回は、代表取締役CEO・和田浩明@kiarohidawa)とCTO・楠本朋大@zabio3)の2名が登場。開発で大切にしている考え方や戦略について話を聞きました。


「価値あるものをデリバリーする」ために


――GOGENでは、どんなフィロソフィーに基づいてプロダクト開発を進めていますか。

CTO楠本:前提として大切にしているのは「価値あるものをデリバリーする」という考え方。

僕らが開発しているプラットフォームは、不動産事業者やエンドユーザーが煩雑な取引をワンストップでおこなえるというサービスなので、開発すべきものが多岐にわたります。そのため、自分たちの限られたリソースを「GOGENとしての価値を発揮できるもの」に投資していく、というスタンスで開発に取り組んでいます。

――「GOGENとしての価値」とは?

CEO和田:
当社が目指しているのは、単に手続きをデジタル化することではありません。「家を買う・売る」という顧客体験、あるいは不動産事業者の業務体験を向上させ、不動産取引そのものを変革していくことがゴール。私はよく「総合的な売買体験をつくる」と表現するんですが。

楠本:
いま和田が言った「総合的な売買体験」こそ、僕らがリソースを費やしてつくり込むべきGOGENの価値だと思っています。単に機能の振る舞いだけを見るのではなく、不動産取引の全体の流れから逆算したり、今後さまざまなプレイヤーが使うプラットフォームとして進化した際の最終形態から逆算したりしながら、どんな価値を提供できるかをチームみんなで考えていますね。

例を挙げると、家の売買では多くの書類への情報記入が必要となります。これを単にデジタル化するだけではユーザーの体験は変わりませんので、手続き全体を通して繰り返し入力される名前や住所などの情報の扱いを工夫し、ユーザーがストレスフリーに進められるようにしています。具体的には、情報をどのように効率的に取得し、いつどのように更新・反映させるべきかを細かく検討しています。

同時に、「総合的な売買体験」を俯瞰的に捉え、従来の枠組みにとらわれない新しい価値の創出にも取り組んでいます。このように、「細部にわたる改善」と「より大きな革新」の両方を一つひとつ丁寧にやっていくことが大事だと考えています。

――「体験の向上」という視点は、エンジニア自身に不動産取引の実体験がないと持ちにくいようにも思いますが、そこにはどう取り組んでいますか。

楠本:
「エンジニアに“体験”を注入する」ことは、まさに力を入れて取り組んでいる部分です。

まず、当社には初期フェーズからCXO(Chief eXperience Officer)というポジションがあり、金子@tsuyoshi_osiire)という人間がいてくれるのが大きな特徴。単に目の前の価値をデリバリーしていくのではなく「総合的な売買取引」の体験をどうつくっていくか、エンジニアの視座を「体験の先生」のような形で高めてくれています。

不動産業界に精通している和田やその他メンバーが勉強会を開くこともありますし、業務提携しているパートナー企業から学ばせていただくことも多いですね。先日は、香川にあるあなぶき興産さんの本社にエンジニアたちがお邪魔して、業界の方々のリアルな働き方や課題感について勉強させていただきました。

和田:
不動産業界を知るための合宿なんかもしたよね。

楠本:
そうですね。新しいプロジェクトのキックオフのタイミングで、みんなで缶詰になって勉強したりディスカッションしたり…。不動産取引の一連の体験をなめらかにしていくには、基盤の部分をどうつくるかがとても重要なので、そこには時間をかけるようにしています。

――和田さんはCEOの立場から、エンジニアのみなさんにどんな働きかけをしているのでしょう。

和田:
いちばん重要だと思うのは、会社がやろうとしているミッションを、いかに自分ごとに変換して向き合ってもらうか。ですので、それぞれの興味関心や仕事のスタンスと合致するポイントを見つけてもらいやすいように、できるだけ多くの材料を提示したいなと思っています。

いまはまだ組織が小さいので、週1回はエンジニア全員と私で直接コミュニケーションをとって、都度いろんな話をしていますね。リアルな現場を知るという意味で、パートナーやクライアント企業の生の声を聞く機会を設けたりもしています。

ちなみに楠本さんは、GOGENに入社してから家を買ったんだよね? 実際に体験してみてどうだった?

楠本:
家を買う前から「違和感のあるプロセスが多いな」とは思っていましたが、改めて体験すると、やっぱり新しい気づきがありましたね。より自分ごととして捉えられるようになったと思います。

和田:
ちょっと思ったんだけど、いま導入している「一律月3万円の住宅購入補助」を、「先着○人には月10万円、次の○人には月5万円…」みたいにするのはどう? 早く買ったほうが得をするという…。

楠本:
斬新ですね(笑)。でも、けっこういいんじゃないですか?「“体験”を注入する」取り組みの一環ということで。住宅購入を考えている社員の背中を押す制度になりそうです。

不動産取引の中の「不変」に着目したバーティカルSaaS


――「GOGENとしての価値」にリソースを投資するためには、それ以外の部分の見極めも重要になってくると思います。その取捨選択はどのようにおこなっていますか。

楠本:
常に意識しているのは、「不動産業界のバーティカルSaaS」としてどうあるべきかということです。

「総合的な売買体験」をどう実現していくか。なめらかな取引をどう可能にするか。不動産事業者の方々が、事業の差別化につながる本質的な業務により多くの時間を費やせるようにするためには何が必要か。――つまり、不動産業界特有のニーズにいかに応えていくかを考え、そこに注力することが重要だと考えています。

だからこそ、ホリゾンタルな機能自体を提供することが当社の価値だとは考えていません。既存のホリゾンタルSaaSを活用することも、必要に応じて自分たちで機能を開発することも、その選択肢の一部だと考えています。たとえば『レリーズプラットフォーム』では、電子契約部分にクラウドサイン、本人確認部分にTRUSTDOCKといった既存のホリゾンタルSaaSを活用しています。重要なのは、これらの機能を単に提供することではなく、それらを活用して不動産業界向けにフィットさせていくこと。これこそが僕らのすべきことです。

一方で、バーティカルの中にあるホリゾンタルな部分をいかに抽出するかも重要。どの不動産事業者にも共通して必要な機能というのは必ずあるはずなので、そこを見極めて形にすることは僕らならではの価値だと思っています。

和田:
バランスの取り方は非常に難しいところですよね。各業務のやり方は事業者によって微妙に違ってきますが、そこを追求しすぎると結局は個社対応になってしまう。どの事業者にも合うように機能の種類を増やしたら増やしたで、オーバースペックになって使いこなせないという状況に陥ります。

とはいえ、不動産取引の手続きの流れそのものは、基本的にずっと変わっていません。不動産という大きな買いもののやり方が短期間でコロコロ変わっていたら、誰も安心して取引できないですよね。その「変わらない部分」をきちんと押さえることが、私たちのものづくりの肝なのかなと思っています。

――手続きの流れや発生するタスクをすべて洗い出して、どこをどうプロダクト化していくかを一つひとつ整理する…。ものすごく大変な作業ですね。

和田:
不動産会社から情報を集めたり、ほかのサービスからヒントを得たり、実体験に基づいて考察したりしながら、みんなで地道にやっています。法改正も大きく影響してきますので、いまどんな議論がされているか、改正されたら取引がどう変わるか、常にアンテナを張っていますね。

楠本:
当社の場合、コンサルティングサービスで入らせていただいている企業や業務提携させていただいている企業と並走して事業に取り組んでいるので、リアルなニーズや課題感を把握しやすいというアドバンテージはあると思います。開発に入る前に、アイデアを絵にして「こんな感じはどうでしょう」と意見を乞う、みたいな動きもクイックにできています。

プロダクトの価値を感じてもらえる確度を最大限に高めた状態で開発に入れることは、「価値あるものをデリバリーする」うえで大きな強みだと思いますね。

「従業員の体験」を向上させるための投資


――開発の生産性を上げるために工夫していることはありますか。

楠本:
これはエンジニアチームに限らず会社としてのスタンスですが、自分たちの生産性が上がるようなツールは積極的に導入するようにしています。Slack AIやChatGPTは早い段階から全社的に使っていますし、エンジニアでいえばAIコードレビューのCodeRabbitを導入していたり。

もちろんSaaS料金はかかりますが、生産性と天秤にかけてメリットがありそうであれば投資する。そういう思考を経営陣はもちろん、現場も持ちながら開発に向き合っています。

――和田さんとしては、こうしたツールに投資する背景にはどんな思いがあるのでしょう。

和田:
私が顧客体験の次に大切にしたいのは「従業員の体験」。従業員が顧客と向き合う時間を、デジタルを使っていかに増やしていけるか。それが結果的に顧客体験の向上につながっていくと思っているので、そのためにできることをまずは社内からやっていく、ということです。今後組織が拡大しても継続していきたい文化ですね。

デジタルツールへの投資メリットは生産性だけではありません。新しいツールに触れるという体験を通じて、そこから学びや気づきを得ることは、「体験をつくる」立場としてとても重要だと思っています。

楠本:
ツールのユーザビリティや構造からヒントを得ることはもちろん、課金体系などのビジネスモデルから気づくことなんかもありますね。ちなみに、『Chat管理人』というGPT-4を用いたマンション管理サービスは、ChatGPTを導入して触れていたおかげで早々にリリースできたものです。

――自社のプロダクトに直接活きている例もあるんですね。

楠本:
はい。ツールからヒントを得るだけでなく、実際にプロダクトとしてアウトプットできているのは、当社のユニークな点かなと思います。

あとは、プロダクトの運用や監視まわりでも積極的にツールを活用しています。たとえば、GOGEN社内向けの管理画面はデザイン性が不要なので、Dashcombを使ってローコードで開発していたり、監視や分析にもSaaSを使っていたり。自分たちでつくり込む部分と、ツールなどに頼る部分のすみ分けは、かなり意識しています。

――なるほど、ありがとうございます。最後に、GOGENのプロダクトづくりにかける意気込みをお願いします!

楠本:
プロダクト開発に対する僕らの考え方や戦略についてお話ししてきましたが、すべては「プロダクトで勝つ」ための手段です。『レリーズプラットフォーム』というプロダクトに唯一無二の価値を感じて、GOGENを選んでいただく。そんな未来の実現に向けて、エンジニアとデザイナーで一丸となってしっかり頭を使いながら、新しい顧客体験づくりに注力していきます。

和田:
さまざまなサービスがあふれる現代では、同じようなプロダクトが追随してイタチごっこ状態になることが往々にしてあります。プロダクトそのものの価値ではない部分で勝敗が決まることも多いです。

でも、バーティカルSaaSで勝負する以上はホリゾンタルSaaSより絶対に優位性があるべきですし、同じバーティカルSaaSの中で見ても「GOGENのプロダクトは“ここ”が違うよね」と言語化してもらえるものをつくりたい。“ここ”というのが「顧客体験」という軸であれば私たちとしてはいちばん嬉しいので、それがきちんと伝わるようなプロダクトづくりを進めて、楠本の言葉どおり「プロダクトで勝つ」を体現していきたいと思います。

最後に


「語源になる」ために、「あたらしいやり方で、人々によりよい不動産を」を最初のMISSIONとしてプロダクト開発を行なっています。

創業から2年と5ヶ月目を迎えたGOGENでは、バラバラに分断された不動産売買の体験を、よりなめらかな体験に変えるため、さらなる開発体制と採用の強化に取り組んでいます。

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