日本語の自由度の高さを歌詞に活かしてください。
今最も注目してる作詞家は乃紫と恵土友梨です。2人ともあらゆる意味で素晴らしいんですが、乃紫はリズムにおいて、恵土友梨は比喩的表現において、目を、そして耳を、見張るものがあります。
例を挙げます。まずは乃紫から。「A8番出口」から引用しました。
この(サ)際この(サ)最低(サ)最悪な日々を
(サ)サボって(シ)渋谷でデート(シ)したっていいんだよ?
「サ」と「シ」がアクセントとなって見事にリズムを作っています。子音を揃える、子音の行を揃える(サ行)で言葉が音楽になっています。母音ではなく子音というのがポイントです。
英語では言葉のアクセントの場所は決められてます。そこを外すと妙な発音になってしまう。日本語はアクセントから解放されてる言語なのでそのぶん自由度が高いんです。それを意識的にか、無意識的にか、どちらにしても天才的ですが、乃紫は日本語の特性を見事に使いこなしてる。
比喩的な表現が見事なのはITAZURA STOREのYURNSHI(恵土友梨)です。「モンスター」という曲は大半が比喩的表現で出来てます。具体的で現実的な表現はラップのところにまとめてるのがまた粋なこだわりにみえます。日本語は比喩的な表現も自由度が高いのかもしれません。造語のようなものも他の言語に比べて容易に思えます。
「モンスター」という曲は、「地球から木星に向かって星間100号線の坂を10年選手の錆びた自転車で必死に漕いでる」という比喩的表現を使ってます。実際の自分達の気持ちをSFの域まで達してるような物語によって表現してます。見事としか言いようがありません。過去の栄光にしがみつく様を「町で2番のスペックで古いトロフィー片手に抱え」という表現も情緒的です。ぜひITAZURA STOREの「モンスター」を聴いてみてください。また彼女はヴォーカリストではありませんが、実際に歌われた時のサウンドへの拘り方も素晴らしいです。その拘りがリズムに繋がり言葉が音楽になっているんです。
日本語ほど自由度の高い言語はあるんでしょうか。少なくとも英語よりははるかに自由です。その日本語の特性をどうか存分に使って言葉を音楽にしてください。
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