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松任谷由実「深海の街」アートワーク秘話(ユーミンとの出会いからも添えて…)

松任谷由実さん39枚目となるニューアルバム「深海の街」が12月1日発売決定!

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愛しか残らない~
深い海の底で 僕たちは気づいたんだ

あの時、世界が海に沈んでいくのが見えた
ゆっくりと、でも目にみえるような速さで
暫くは息を止めていた
でも苦しくなって息をしてみると
呼吸が出来ることがわかった
進化してくる前の原始生物だった自分を思った
様々なものとの共存の意味がわかった気がした
もうすぐ水は引いていくだろう
あれは夢だった、などと思うのだろうか
いや違う
私にはわかったことがある
愛しか残らない
原始生物としても
人間としても

特設サイトより引用)

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松任谷由実が、前作「宇宙図書館」から約4年振り、通算39枚目となるオリジナルアルバム「深海の街」を12月1日(火)にリリースすることが決定。また、今作を引っ提げた全国ツアーも開催。
アルバムのタイトルとなっている「深海の街」は、2018年にベルリンを訪れた際、“脳内リゾート” というアイデアを元に発想し仕上げ、昨年9月に配信リリースとなった楽曲。浮遊するようなメロディに、〈無限〉を信じて〈永遠〉で閉じる歌詞の詩情が音楽ファンに高い評価を得た作品である。この楽曲を表題に、そこから今日までに創り上げたニューアルバム「深海の街」は、コロナ禍が訪れた今年、これまでの長いキャリアの中で経験する事のない環境の中、創作活動を行い完成させた渾身の作品。
1972年のデビューより様々な時代の空気を、楽曲やアルバムという形で表現してきたユーミンだからこそ、地球規模で人類に影響を与え、世界史に残るような2020年、この時にこそ、楽曲をアルバムとして記すべきという強い想いからリリースされる超意欲作である。このアルバムでユーミンは、今をどの様に捉え、何を届けてくれるのか期待が高まる。アートディレクター森本千絵による、アルバムジャケットと新ビジュアルも本日公開。
収録楽曲は、表題のテレビ東京系WBS(ワールドビジネスサテライト)エンディングテーマ曲「深海の街」、ハウス北海道シチューCMソング「雪の道しるべ」、刀剣乱舞-ON LINE-新主題歌「あなたと 私と」、そして10月23日(金)22時よりスタートするTBS 金曜ドラマ「恋する母たち」の主題歌「知らないどうし」他、話題のタイアップ曲を多数収録。
商品形態は、通常盤(CD)、初回限定盤(CD+DVD)に加え、アナログ盤を収納した完全限定盤クリスマススペシャルBOX(CD+Blu-ray+2LP+Art Book)の3形態でリリースされる。初回限定盤付属DVD及び、クリスマススペシャルBOX付属Blu-rayには、特典映像「ドキュメントof 深海の街」 を収録。誰もがStay Home期間を過ごしていた今年だからこそ、これまでほとんど公開される事が無かった、ユーミンが楽曲を生み出す自宅での制作風景、ジャケット撮影、インタビュー等をドキュメンタリーとして記録した作品となっている。
特設サイトより引用)


深海の街の撮影

2人が昔会っていたかもしれない橋、崩れかけた街灯、パリやロンドンのようにも見える街並み、沈んだ振り子時計…
深海作りから始まりました。レタッチャーの首藤智恵さんにアトリエに来ていただき、私がコラージュし、その横で合成をしてもらいながら進めました。

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同じ空間でSURF AND SNOWのようなキスができるかなど白いツナギをスタッフが着て、実験しました。(なぜか、2人以上みんなでツナギを着ています。)
goen°では「やってみなきゃわからない」精神で撮影前になると混沌とした不思議な光景が繰り広げられます。(笑)

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時代感がわからないように過去のものや現代のものなどを組み合わせて考えられた潜水服。2人は結ばれても離れていく運命かもしれない大切なコード。
松任谷正隆さんから広がる物語を形にしていきました。

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撮影は写真家TAKA MAYUMIさん。私は初めてご一緒します。艶があり揺れている作品に一目惚れしたからです。

TAKAさんは、実際ゆらゆらと真髄を掴んでいきます。その姿は美しく、水の粒が見えるような写真。今回のアルバムの撮影には欠かせない方です。

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潜水服の2人は本当に背中を引っ張られながら撮影をしました。前も見えず、音も聞こえない状況です。

深海の中で発光するヘルメット、中にはうっすらSURF AND SNOWのような?2人が透けて見えます。まるで現代(未来?)の2人です。

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その光の中で生まれたアートワークは、
まさに深海の中、コロナ禍の中見つけた愛のカタチでした。

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ユーミンは、深海にいる人ではなく時代を行き来する時間旅行?深海旅行?の操縦士のような存在。
衣装は「POP CLASSICO」も手掛けた北澤”momo”寿志さん。(以下.momoさん)最初は船長のようなタキシードなどアイデアを出してたんですが、momoさんがこのアイデアで美しく強く見せるにはドレススタイルの方が良いと考えてくれました。結果的に深海越しの円窓の撮影となりその判断は大正解でした。

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(momoさんのデザイン画、オールハンドメイド)

momoさんは、いつも人物のあり方、佇まいから見えないところまで細かく拘ります。撮影した状態で成立する作り方でなく、実際に着心地、マテリアルすべてが芯から美しく仕上げてくださいます。
ユーミンが着たら、まるで元々そうあるべきだった運命のようなものを感じました。
ヘアメイクは、冨沢ノボルさんです。ノボルさんも、POP CLASSICO、宇宙図書館とご一緒させていただきました。何案もアイデアを出してくれつつも、その日のユーミンをみて、衣装をみて、一瞬で決めていくのです。

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それぞれの想いが集結し、ユーミンが描かれます。

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深海の街のユーミンのポートレートの誕生です。
私は我ながらうっとりするくらいに、この写真が好きです。

深海の街のアルバムで、たっぷり沢山の写真がみれますので、ぜひ楽しみにしていてください。

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今作を引っ提げた全国60公演に及ぶコンサートツアー『松任谷由実 コンサートツアー 深海の街』が決定。コロナ禍の影響により、リリースより約10カ月後の2021年9月30日(木)、10月1日(金)よこすか芸術劇場よりスタート。以降、2022年7月8日(金)、9日(土)神戸国際会館こくさいホールまでのロングランとなる。 
ニューアルバム「深海の街」の商品3形態全アイテム共通の特典として、購入者限定ツアーチケット先行応募抽選シリアルコードが封入されている。また、クリスマススペシャルBOX購入者対象に抽選でユーミンの直筆サイン入りの商品をお届けするクリスマスキャンペーンの実施も決定。
(公式HPはこちら

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スペシャルボックスをユーミン自らご説明いただいているスペシャル動画がコチラ ↓

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初回限定版は宝石のように穴が空いていて、海を潜るように進んでいく歌詞カードとなっています。ぜひ手に取ってお楽しみください。

そして、本日(発売日)からタワーレコードではなんと、深海の2人の衣装も展示した上で発売開始です!陸に登場した2人とアルバムを垣間見て涙が出そうになりました!ぜひ!こんな時代だからこそ手に取ってその重力を楽しんでいただきたいです。

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おめでとうございます‼️
私が今もっとも愛して敬愛するアルバムの発売日を
迎えました。ずっと聴いてます。
アートワークを手がけていると発売日というのは、眩しくて目を開けれないぐらいの衝撃です。
皆様の手に渡りそれぞれの物語が繰り広げられることを心から嬉しく思います。

出会い

ここからは、あらためて、これまでの出会いから振り返ってお伝えします。

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(2012 高野山にて、神々しい記念写真)

出会いは、Leslie Kee に紹介いただいた後、NHKの番組「ユーミンのSUPER WOMAN」(ユーミンが初ホステスを務めたインタビュー番組。毎回、各界で活躍する女性を迎え、ゲストの興味を抱く様々な事柄について、ロケーションをしながら見つけ出す。)で、第一回目ゲストで招いていただき、いきなり高野山へ旅をご一緒したことがはじまりです。カトリック系の女子校から美大へ進学というルーツが近い私たちは、その後地元で何度かお会いするようになりました。話をしていると、いろんな色が見えてきて頭の中を水彩絵の具が駆け巡ります。

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ユーミンは、常に何事も真剣に向き合い、時代の変化や身の回りの出来事に響きながら揺れながらメロディや詩を作られている姿に胸が熱くなります。
そして私はユーミンと出会ってから、絵を描くこと、色を使うことを楽しむようにもなりました。
そんなユーミンが、私が企画をはじめる前に「アルバムジャケットは時空を超えて、護符のように勇気を与えてくれますね。」とおっしゃってくれたことから、アートワークへの向き合い方が変わりました。
護符になれるよう全力を尽くす!ただそれのみです。デザインで迷った時、音楽が導いてくれます。
絵と音と言葉が響き合い、導かれながら進んでいけることは美しい在り方だと思います。

「宇宙図書館」(2016年)

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歪んだ本棚を実際つくり、床には墨汁をまぜた水面の上での撮影。(撮影/瀧本幹也、衣装/ひびのこづえ)

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「宇宙図書館」アナログサイズ豪華版
布で覆われた箱に48ページ撮り下ろしのアートブック入り
(撮影/Leslie Kee、デザイン/高橋亮)

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「POP CLASSICO」(2013)

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11文字の中に25人のユーミンが潜んでいます。一つずつ原寸大のオブジェ空間を作り撮影。Lは実際に水の中で撮影。
(撮影/Leslie Kee、衣装/北澤”momo”寿志、美術/佐々木尚、絵/森本千絵、デザイン/宮田佳奈)

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「POP CLASSICO」アナログ盤豪華版
開くと海の中の珊瑚と旅するユーミンが現れる

(撮影時のメイキング。ユーミンがとってもチャーミングです!)

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(「POP CLASSICO」は、バーニーズニューヨークのディスプレイとなり、ユーミンが一日店長になったり、ANREALAGE森永邦彦さんがアートワークをさらに万華鏡のように展開しファッションが生まれるなど多彩な展開を描きました。)


ユーミンの音楽、存在は私にとってかけがえのない宝物です。これからも、時空を越えて一緒に旅を続けたいと願っています。
「深海の街」は、今だからこそ聴いて欲しい最高のアルバムです。音の始まりから物語が見えてきます。ぜひその物語を楽しんでください。
わたしも、その世界の中へ。愛をみつけに旅立ちます。

(goen°森本千絵)

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「深海の街」アートワークスタッフ

Creative director:森本千絵 (goen°)
Designer: 高橋亮 (goen°)

Photographer: TAKA MAYUMI 
Hair & Make-Up: 冨沢ノボル 
Dress designer: 北澤“momo”寿志(band)
Costume design: 佐藤健一郎 池田名穂(LOUU)

Set work: 尾島隆

Retoucher: 首藤 智恵(株式会社アマナデジタルイメージング) 

Production Manager / Prop designer: 尾島隆
Production manager: 塩崎史乃(goen°)

Jacket editer: 川端昭雄, 斎藤周馬 (T&M Creative)

Aquarium:株式会社アクア総合企画MUKASA
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(写真. TAKA MAYUMI )

 
【goen° と 松任谷由実 】
「POP CLASSICO」「宇宙図書館」「深海の街」アートワーク
「Baby is a popstar」「宇宙図書館」MV

【森本千絵プロフィール】
1976年青森県三沢市で産まれ、東京で育つ。
武蔵野美術大学 視覚伝達デザイン学科を経て博報堂入社。
2007年、もっとイノチに近いデザインもしていきたいと考え
「出会いを発見する。夢をカタチにし、人をつなげる」を
モットーに株式会社goen°を設立。
現在、一児の母としてますます勢力的に活動の幅を広げている。

最新作にniko and...の菅田将暉・小松菜奈のビジュアル、演出、
松竹映画100周年記念 山田洋次監督作品『キネマの神様』ポスターデザイン、
winter rize2020 二子玉川における12mの巨大クリスマスツリーのプロデュースなど、
広告の企画、演出、商品開発、ミュージシャンのアートワーク、
本の装丁、映画・舞台の美術や、動物園や保育園の空間ディレクションを手がけるなど
活動は多岐に渡る。

現在、青森新空港のステンドグラス壁画を制作中。
また未来に向け、空を走る車「SKY DRIVE」のブランドデザインを手がけるなど
イノベーションにおけるデザインに尽力している。

【受賞歴】
N.Y.ADC賞、ONE SHOW、朝日広告賞、アジア太平洋広告祭、
東京ADC賞、JAGDA新人賞、SPACE SHOWER MVA、
2011年にはサントリー東日本大震災復興支援CM「歌のリレー」の活動を評価されADCグランプリ、
日経ウーマンオブザイヤー2012なども受賞
他にも、50th ACC CM FESTIVALベストアートディレクション賞、
伊丹十三賞、日本建築学会賞など

【著書】
「GIONGO GITAIGO J゛ISHO」
(ピエ・ブックス/2004年)
作品集「MORIMOTO CHIE Works 1999-2010 うたう作品集」
(誠文堂新光社/2010年)
ビジネス本「アイデアが生まれる、一歩手前の大事な話」
(サンマーク出版/2015年)
絵本「おはなし の は」(講談社/2015年)
絵本「母と暮せば」(講談社/2015年)








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