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存外この季節を気に入っている

何を書こうか、どんな言葉になるのか…と延々と考えていたにも拘わらず、外で作業をしていたら、寒さですべて吹き飛んでしまった。

足元が冷えきっていたので、ハロゲンヒーターのスイッチを押した。

さて、何を書こうか。と考えて「寒さ」について考えてみようと思い立った。

ハロゲンヒーターが足元をあっという間に暖かくして、眠気を誘ってくる。

眠気に負けないように、暖まりきらないうちに書いてしまおう。


私はほどよく寒い季節を気に入っていて、秋から冬に変わりつつある朝晩の寒さが辛さと同時に楽しいものだと思っている。

そうはいっても、寒さが厳しくなると寒い冷たいといった辛さが目立ってきてしまうので、まだほどよく寒いうちに、思いつくままに冬の気に入っている事をかいて楽しもうと思う。


寒い寒いと外から帰って囲むストーブや炬燵が楽しい。ストーブの暖風を独り占めしてぬくぬくと出来る謎の優越感。

薪ストーブなんて物は冬にこそ相応しい。ちらちらと燃える暖かな炎を眺めながら、何も考えずにぼうっとしたり、時々パチンと弾ける様を聞きながら、本の世界に没頭できる穏やかな時間と薪の燃える匂いの言葉にできない何とも言えない非日常感。

毛布を肩にかけ、熱いお茶を注いだマグカップを手で包み込むようにして温まりながら無言でいる時間。この時間は無言でありながら空気の冷たさと熱いマグカップの温度差をどう埋めようかと葛藤しているので音のない戦いが続いている。

顔に触れる冷たい空気と熱いお湯のギャップを楽しみながら、強張っていた身体がほぐれていく時間が格別の癒しとなる温泉。寒くて熱い湯に浸かったのに、湯上るころには暑くて冷たい飲み物を煽るその単純さが愛おしくもなってくる。

普段は人間とはそれなりに距離感のある猫や犬も、寒さに負けて暖を求めて人間にすり寄ってくるこの空間。この時ばかりは普段触れさせてもらえない人間にも触ってよいという空気があり、おこぼれに預かるようにその権利を享受しては触りすぎてより一層鬱陶しがられるのだ。

鍋で煮込まれたスープやシチューの湯気が漂うリビングも中々いいものだと思う。部屋の中に漂う湯気が煮込まれた野菜のにおいが、外の寒さと家の中の温かさを思わせ、冬らしさを無意識のレベルで感じ取っている。

誰かが言っていた、「シチューって冬のにおいがする」とはまさに名言だと思っていて、シチューを見る度に思い出す。

そう、シチューや薪ストーブからは冬のにおいがするのだ。


だからという訳ではないが、兎にも角にも私はこの季節を存外悪くないと思っている。だから数か月間だけ味わえる空気を、においを、あともう少し楽しみたい。

そんなことをつらつらと書いていたら足元の暖かさにより、眠気がたえられなくなってきている。

そろそろ立ち上がらなくては。

冷たい空気を吸い込みに、外にいくのだ。

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