新型コロナが世界の秩序を変えたと、いわれる時が来るのでしょうか?5月3日放送サンデーモーニング風をよむを参考に

世界を揺るがす新型コロナウイルスの感染拡大。
各国のリーダーにとって政治姿勢が問われる正念場ともなった。

ドイツ・メルケル首相
「開かれた民主主義では政治の決定は透明でなければならない」
東ドイツ出身のメルケル首相は、
国民に強く自由の制限を求めざるを得ない状況を前に、
その苦渋の選択を、こう国民に語りかけました。

「旅行や行動の自由を苦労して勝ち取ってきた私にとって、
国民に不自由な生活を強いるなどということは、
絶対に必要なとき以外、正当化できるものではありません。
苦難の時こそ、お互いに寄り添いたいものですが、
今は、その反対のことを、しなければならないのです」

この演説は、世界に伝えられ、
国の内外から共感の声が上がった。

しかし、その一方。

ブラジル・ボルソナロ大統領
「新型コロナウイルスは、ただの風邪だ」
と耳を疑うような発言をした


ブラジル・ボルソナロ大統領
「国民の7割は感染するだろうが、そんなことより大事なのは経済活動だ」

ボルソナロ大統領は、
隔離政策は、経済破綻を招くと主張。
自分を支持する経済界や富裕層の期待に応えた。

フィリピン・ドゥテルテ大統領
「警察と軍へは、射殺してもかまわないという指令を出した」
フィリピンのドゥテルテ大統領は、
都市封鎖に批判的な勢力を念頭に、
「過激な行動をとれば射殺する」と国民に警告。

その結果、先月21日、
ケソン市で検問を担当していた警察官が、
威嚇するような言葉を叫んだ男性を、その場で、射殺した。

国の指導者の資質が問われる、新型コロナの爆発的感染。
その影響は一つの国にとどまらず、
世界全体の仕組みに、大きな変化をもたらすのでは、という指摘もある。

その一人が、アメリカの国際政治学者、イアン・ブレマー氏。

イアン・ブレマー氏
「各地で『権力の真空状態』が発生し、
世界的リーダシップがない、状態に陥るだろう。
そしてそれは、アメリカ主導の世界秩序を、
構造的に大きく変化させるだろう」

「世界秩序が変化する」という警告の背景にあるのは、
新型コロナで、最も深刻な影響を受けたのは、
他でもないアメリカである、という視点。

すでに、新型コロナによって、
GDPが年率換算でマイナス4.8%と、
11年ぶりの低水準まで落ち込むとされる、アメリカ経済。

そればかりか、
新型コロナは世界最強のアメリカ軍にも襲いかかる。

米軍・ミリ―統合参謀本部議長
「セオドア・ルーズベルトに感染者が出たことがニュースになっている。
確かに重大な出来事だ」

太平洋に展開中の空母
「セオドア・ルーズベルト」で集団感染が発生。
さらに、横須賀に配備されている空母「ロナルド・レーガン」や、
アメリカ西海岸にいる「ニミッツ」「カール・ビンソン」でも、感染者を確認。

これら4隻の空母が身動きが取れなくなったことで、
アジアにおけるアメリカ軍の存在感が低下している。
 
このタイミングを見計らったように動き出したのが、中国の空母。
新型コロナによる、アメリカの軍事力への打撃。
この時とばかり、中国人民解放軍の公式サイトで軍事評論家は
「太平洋地域において米国の空母の作戦能力が縮小。
今後、海上でのコントロール能力は急速に低下するだろう」と考察。

実際、先月11日、中国海軍の空母「遼寧」が、
沖縄本島と宮古島の間を南下し台湾付近を通過。
太平洋に抜ける示威行動を実施した。

河野太郎防衛相「何を考えているのか、というのが率直な思いだ」
新型コロナを巡っても、米中の姿勢の違いは鮮明でした。

アメリカ・トランプ大統領
「WHOは進んで中国の言い分を額面通り受け取り、
その中国の『透明性』を称賛さえした。どうかと思う」

トランプ大統領は、
新型コロナに関するWHO・世界保健機関の姿勢を中国寄りだとして
拠出金の停止を宣言。

さらに「新型コロナは中国が流出させたと」発言するなど、
世界のリーダーとしての姿勢に、疑問符がついています。

対する中国は、これまでに、11か国に医療チームを派遣し、
127か国に医療物資を輸送したと発表。
新型ウイルスに苦しむ国々への支援を、アピールした。

そつなく覇権の拡大をうかがう中国。
そして自国第一主義を押し通すアメリカ。
その狭間で方向軸を失い、混迷をさらに深める、世界。

いずれ、新型コロナが世界の秩序を変えたと、
いわれる時が来るのでしょうか?

→アメリカVS中国。
今回の放送だけにフォーカスすると
コロナの影響をきっかけに中国が優位なポジションに
立ちかけている印象を感じた人も多いのかなと思います。

かといって、
仮に世界のリーダーが「中国」となり、
「中国についていくか?」と聞かれると、
「ついていきたくない」と回答する人は多いのかなと思います。

嫌な表現ですが、
「コロナを上手く活用している中国」
「活用できていないアメリカ」
という感覚です。

一方、日本も含めて両国の覇権争いについて、
どっちが勝つのか。どっちに媚を売ろうか。
など考える余裕は現状ないのではないか。
今は自国VSコロナとの戦いに100%意識しなくてはならないのは
誰もがイエスと答えると思います。

であれば、中国が「コロナを活用した」アメリカへの攻撃は
アメリカ国内へのダメージはあると思いますが、
世界へのインパクトは低く、各国の関心も低いのではないことから
アメリカが弱っている印象は薄れるとも思います。
気づいたら「アメリカは自己治癒していたのか」という感覚です。

なので、番組が最後に投げかけた
「新型コロナが世界の秩序を変えたと、いわれる時が来るのでしょうか?」
という問いに対しては
各国が平穏な日常を取り戻したいという意識が消えない限り、
秩序は変わらないと私は考察しています。

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