感染症と差別 2月23日放送分サンデーモーニング「風をよむ」を参考に

新型コロナウイルスの感染拡大で、
混乱が続いていた今月4日、
中国政府から「今回の肺炎が発生して以来、
日本政府や日本社会が中国に同情、理解、支持を与えてくれました」とコメント。

日本から送られたマスクや防護服などの支援物資に、
中国の外務省が謝意を示した。

日本の自治体や企業が、
その支援物資を中国に送る際、使った段ボール箱。
その中には、漢詩の一節が書かれた箱があった。

山川異域 風月同天
（さんせんいきを、ことにすれども、ふうげつてんを、おなじうす。）
「住む場所は違っても、風月の営みは同じ空の下」という意味。

中国に支援物資を送った、
日本青少年育成協会は
「生まれたところは違っても、
『仲間だぞ』という意味を込めて送りました」とコメント。

この詩は、中国で大きな話題になり、
ＳＮＳ上には、
「寄付の温もりを感じました」
「詩を引用してくれて感動した」などコメントする人も。

日本青少年育成協会「リアクションが予想外で、びっくり。
おとといには、『日本も不足してるんじゃない？』ってマスクまで送られてきたりして」

思わぬきっかけで始まった、日本と中国との交流。

しかし、その一方で、
２０日、ウクライナでは、新型肺炎を巡って激しい衝突が発生。

中国・武漢市から退避してきたウクライナ人を含め、
およそ７０人を乗せたバスの行く手を阻もうと､
地元住民が、火を放つなどした。

ウクライナの地元住民「感染が怖くないのですか？ なぜこの村に来るのか分からない」
ウクライナの地元住民「ここが第二の武漢になったら困るだろ」

世界各地に拡大する新型肺炎を巡る混乱。
ヨーロッパでは、オランダのラジオ局が「感染拡大は中国人のせい」だとする歌を放送した。

また、パリにある、中国人が経営するレストランに書かれた落書きに
「コロナウイルス、出て行け」と書かれた。

差別的な動きが、外交問題に発展したケースもあった。

中国外務省「人種差別を生む見出し。謝罪と責任者の処分を求める」

10日、中国外務省は、
アメリカのウォールストリートジャーナルが掲載した
「中国はアジアの病人」という記事に対して激しく抗議しました。

差別的な動きは日本国内でもあり、
２１日、京都市東山区で、
「感染した中国人は来るな！」と書いたビラを、
電柱に貼った男が逮捕されました。
「来て欲しくないという思いを抑えられなかった」と供述している。

同様に、ネット上には、「中国人は日本に来るな」などという書き込みが多数、
投稿されている。

各国の事態を受けて、ＷＨＯ（世界保健機関）
のテドロス事務局長は
「我々が直面する最大の敵はウイルスではない。
最大の敵は､我々を対立させる差別だ」

新型コロナウイルスに、切り裂かれていく世界。

ここ数年、人種、民族、経済格差などを背景に、
繰り返される、世界的な、差別・分断の動き
そして今、「感染症」により、新たな差別や分断が、生まれようとしている。

感染症の歴史を見れば
14世紀、ヨーロッパでペストが流行した際には、
スペインやフランスなどで「ユダヤ人が井戸に毒を入れたからだ」との人種差別による、
デマが飛び交い、ついにはユダヤ人虐殺という惨劇を招いた。

日本でも、明治時代、ハンセン病患者の隔離政策が実施されて以来、
患者だけでなく、その家族までが、「差別と偏見」の対象とされ、
厳しい視線に曝された。

さらに、エイズに対する偏見から、
HIVに感染していることを理由に患者だけでなく、
その家族までが、「差別と偏見」の対象とされ、
仕事を解雇されたり、医療機関での診療を拒否されるなど、
深刻な人権侵害も起きた。

感染症の流行が、偏見や差別を生み出してきた歴史。　
今また、同じことが繰り返されてしまうのでしょうか。

→僕個人としては
本当の敵は「差別」ではなく「ウイルス」であると思います。
先日も人間vsウイルスについてリポートしましたが、
今はウイルスの攻撃に対して
人間は必死に守らなければいけない時期。
ウイルスが人間の中にある「差別」意識をうまく利用しているのではないか。
そういうように想像してしまうほど、うまい具合に「差別」が起きている。

歴史や今流れているニュースを振り返ると、
人間の中にある差別意識からくる2次的な影響ははかりしれません。

感染症の流行からくる偏見や差別は繰り返されてしまうか。

その答えは「人間vsウイルスの決着をつける」か
もしくは「お互いがお互いを受け入れ共存する意識」を持たない限り、
人間側の嫌な歴史は繰り返されてしまうのではないでしょうか。