おそらく世の中には「芸術家」予備軍が腐るほどいる。
生意気な後輩
「サクッと、言いたいことだけ書いて寝よう」と思ったので、書く。
卒業直前、ある後輩と飲んだ。その後輩は生意気だけれど、とても活動的な奴で、尊敬する後輩だった。
その後輩もnoteを書いており、積極的に更新をしている。
書くことへの愛もあって、僕とも話が合った。
(ちなみにフォロワー欄にいます。めちゃくちゃ少ないから、特定されちゃうかもね。)
その後輩ちゃんと、以下のような会話をした。卒業前の飲みの席でだ。
「先輩と僕のnoteの違いは、芸術家寄りかどうかじゃないですか?先輩、前、note嫌になって消しましたよね。めちゃくちゃ読まれてた記事もあったのに。」
「僕は芸術的な感じ好きですけど、それでもビジネスライクな香りが残っていて、先輩はそうじゃない感じがするんですよ。」
だいたいこういう旨のことを言われた。
軽いショックを受けた。このショックとは、ネガティブな意味ではない。自分の意識していないこと・考えていないことを、急にねじ込まれて、困惑(かつ高揚)したのだ。
前書いていた僕のnoteを知らない方が殆どだと思うので、軽く紹介させていただきたい。
僕のnoteで、かつて一番読まれたのはオランダでの旅行記だ。オランダのアムステルダムに旅行に行った時、寛容さとおおらかさを感じ、それを言語化した。
そして、その寛容さとおおらかさと対比して、「僕らは寛容に他者を受け入れることが、できているだろうか?」みたいなことを書いたのである。
分かりやすい内容かつ、理想論で、甘ったれた内容だった。
だが、それは僕史上初めての数千viewを記録した。この記事を見てフォロワーになってくれた方も大勢いた。
しかし、僕は大学の卒業論文にとりかかった段階で、それをすべて消した。甘ったれ且つ、何も分かっていないくせに饒舌に語る記事が、気持ち悪く感じたのだ。
卒業論文を書く中で、衝動的に書かれた文章を嫌うようになっていた。
しかし、今は後悔している。
「気持ち悪い」という理由だけで、即消ししたアカウントを、復興したいと思っている。
だが当時は、衝動的に消してしまったんだ。
「芸術家」予備軍
僕が「芸術家」予備軍と呼びたいのは、吐き出すように何かを作り、筋が通らない・気持ちが悪いと思った瞬間に消してしまう、どこにでもいるインターネット・チルドレンたちのことだ。過去の僕だ。もしかしたら、今の僕でもあるかもしれない。
「芸術家」予備軍は、ツイッターにもたくさんいる。
「何書いているんだ私」
「何投稿しているんだ私」
こうやって不快に思えば、すぐに消す。
自分のアカウントを、精巧なひとつの彫刻のように扱う。
少し粗雑な部分があると、気になって、削る。磨く。
自分のタイムラインをひとつの物語として綺麗に構成したい。
自分のアカウントを、ひとつの作品として、均整の取れた形にしたい。
「芸術家」予備軍は、「本当のあるべき私」に向けて、せっせと毎日制作を続ける。
だが、ビジネスライクに、戦略的に言い切ってしまうならば、これは(たいていの場合)無駄な作業だ。
削る・磨く過程においてそぎ落とされるのは、読者(ある種の顧客)の獲得可能性である。
私たちが「芸術家」になりたいにしても、読者やviewを増やしたいだけだとしても、この消す作業はマイナスにしか働かない。
消すことに慣れすぎている
僕らは、消すことに慣れすぎた。
消すことで、過去をなかったことにできると、勘違いするようになった。
だが、基本的に自分が放った言葉には、責任が伴う。
どんなに恥ずかしいものでも、どんなに粗雑なものでも。
なんとなくだが、今の社会、僕らは「アカウント化」してしまい、自分の過去を編集可能なモノのように考えてしまっている気がする。
リセットボタンが、とてもお手軽に感じられている。
でも、本来そんなことはない。
自分の過去は、自分の放った言葉は、
いくら画面上で消えても、変わることなく、
あなたの中に、それを読んだ数少ない人の中に、残り続けていく。
そして、それが火種となって何が起きるかは、誰にもわからない。
だが、自分が放った言葉なのだ。責任がある。
何が起こるのかわからないから責任なんかとらないか、
何が起きても、最大限責任を取ろうとするのか、
どちらをとるかは僕らの自由かもしれない。
でも、僕は責任感のある大人になる道で、これからは行こうと思う。
要するに何が言いたいか。
僕は、これからnoteの記事を、消さない。
なぜなら、
それがインターネット社会の中で、「アカウント化」せず、責任感ある大人へと進んでいくための手段であると考えるからだ。
そして、資本主義社会の大人になるために、自分を見てくれる人の獲得可能性は消さないでおこうと思う。
自分を求めてくれるなら、まずそれを、歓びをもって受け入れる。
そこから始める。
無駄なプライドは、持たないことにした。
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