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誰も自分を知らない場所に行く。

先週土曜日から、三連休があったと思う。僕はたまたま振替休日もあわせて四連休だったため、今日はゆったりと過ごした。その前の三連休は、福島県に行ってみた。

福島県に所縁はない。強いて言えば祖母の出生地が福島らしいが、自分は祖母の所縁の地には行かなかった。福島第一原発の関連資料がある資料館があると聞いていて、いつか行ってみたいなという気持ちがあったことから、今回行くことにしたのだ。加えて、誰も自分を知らないところでゆっくりしたいという気持ちもあった。

「旅行を楽しまなきゃ」と思わない。

旅行はひとりが好きだ。ひとりで、ホテルにいて、そこで寝転がるのが好きだ。気が向いたら外に出て、普段と違う景色を眺め、人っ子一人いない場所に座って、ぼーっと遠くを見る。

楽しむ、ということを頑張る人として休日を過ごしたくない。普段の仕事で、苦しい、楽しい、悲しいなど、感情をどんどん揺さぶられている。僕は福祉職(感情労働)だから、特にそういうところがあると思う。

だから、休日は感情を休ませたい。何かやりたいこと、見たいものが出てこない限り、普段と違う寝心地の良いベッドの上にいたい。

今回、実際にそういう旅行をして、いくらか日々の自分から遠ざかれた気がする。本を開けば、その本の登場人物・作家との2人きりになれる。気に食わなければ、本を閉じて、寝転がって、自分に都合のいいキャラクターを探してネトフリを開く。何もしたくないときは、ひとりで何もしない。ひとりで、自分とだけ話す。

地理的にも、精神的にも、普段の自分の生活から遠い場所へ行き、いっそのことここで行方不明になってもいいんじゃないかくらいの気楽さで過ごしてみる。

こういう時間、これからも定期的にとっていければと思います。

以下、行った先の情報。

福島県 双葉郡 富岡町

富岡町は福島県東部の海岸沿いに位置する町である。
東京からでいうと、特急ひたちに乗って数時間で着く場所にある。
自分はいわきで乗り換えて、そこからJRで数駅乗って到着した。

富岡町
福島県(赤いピンの場所が富岡町)

自分の調べた限り、富岡町は東日本大震災における原発事故の影響を受けた市町村の中でも、比較的南に位置している(と思う)。

富岡駅に着いて、目の前に広がるのは人通りのないタクシー乗り場。少し歩けば、住居が整然と並んだ住宅地が広がっているのみであり、コンビニなどはほとんど見られない。

駅から少し歩くとショッピングモールがあり、スーパーとドラッグストア、簡単なフードコート、日用品などが売られている。二泊三日しかいなかった自分から見ると、周辺に住んでいる殆どの人がここのモールで買い物を済ませている。基本的に、富岡町は住宅街である。

さくらモールとみおか

飲食店も何軒かあったのだが、残念ながら自分の旅行期間中には開いておらず、このモールで食事はお世話になった。食事目的で来たわけでもないので、十分だった。コンビニは少し歩いたところにあるが、24時間営業ではない。

さくらモール手前の通りをずーっと辿っていくと、「東京電力廃炉資料館」があり、原子力発電のメカニズムと、東日本大震災当時の状況、廃炉の進捗などについての展示を見ることができる。
自分は係員の方に1時間ほど展示を案内してもらった。とても分かりやすいが、資料や展示が豊富にあるため、頭に入れるのにはかなり苦労した。(原子炉建屋の仕組みや汚染水・燃料処理などについては本当に丁寧に説明がもらえて、理解も深まるのでおすすめ)

この他には、「とみおかアーカイブ・ミュージアム」という場所があり、ここでも東日本大震災、原発事故の被害について展示がされている。こちらは富岡町に暮らす人々の状況について細かに展示されているため、上述の「東京電力廃炉資料館」と併せて行ってみるのがおすすめではある。

津波に巻き込まれたパトカー
歩道橋に掲げられた横断幕

ふらっと旅行へ、と言うには少し特殊な場所だったかもしれないけれど、学びが多い機会だったし、散歩しているだけでも落ち着ける地域なので、ぜひ気が向いたら行ってみて欲しい。

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