記憶があやふやなので感想を書きます。

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Morning routine

 薄暗い湖に朝日が差して水面がきらきらと輝きはじめた頃。湖の岸に建てられた木組みの小屋からひとりの少女、ヨウコが現れた。ベッドに入った時と同じ寝間着姿のままで、ショートヘアのきれいな白髪はあちこちが跳ねている。ひとつ大きなあくびをした。まだ半分ほど夢のなかにいるようだった。  そんな寝ぼけた頭とはうってかわって、ヨウコの身体はきびきびと動き、朝の習慣をこなしていった。小屋の裏にあるガンロッカーからよく手入れされたモシン・ナガンを取り出して、すぐそばにある手作りの射撃場へ向か

    • 切羽が詰まる

      とある締め切りを前にして、いつも通りではあるが進捗がよろしくなく、切羽詰まっている。計画性というものを小学校に置いてきてしまったのだろうか? みんなはそれを持っているらしいが、ぼくだけ受け取っていないようである。不登校児だったせいかもしれない。 いやしかし、今回は比較的順調に進んでいたはずだったのだ。数か月前から締め切りの存在を意識して、コツコツ作業してきたつもりだった。しかし直前で考えていたストーリーにほころびが見え始めてきて、それを取り繕うために、まだ見通しの立っていな

      • 『走馬灯のセトリは考えておいて』/柴田勝家 の感想

        『走馬灯のセトリは考えておいて』/柴田勝家  の感想。 (試してみたけど、ハヤカワ・オンラインの作品ページはいい感じに埋め込めないんですかね……) Introduction本作は、SF小説家・柴田勝家による短編集である。 6作品が収録されているが、表題作である『走馬灯のセトリは考えておいて』(以下『走馬灯』)が特によかったので、その感想を。 著者、柴田勝家について 変なペンネームだけれど、戦国武将の柴田勝家の輪廻転生というわけではないらしい。 時代小説を書いているわ

        • 『君が見たのは誰の夢? Whose Dream Did You See?』/森博嗣 の感想

          『君が見たのは誰の夢? Whose Dream Did You See?』/森博嗣 の感想である。 Introduction本作は、ミステリ小説家の森博嗣によるSF連作、WWシリーズの7作目である。 前身となるWシリーズも含めると17作目となり、だいぶ大規模になってきた(真賀田四季をハブとする森博嗣ワールドの一部でもあるので今さらな気もするが)。 本シリーズの舞台は現代から二百年ほど先の未来社会。ウォーカロンと呼ばれる人造人間と、人工細胞により半ば不死となった人類、そし

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