茶柱が立つと

『茶柱が立つと』(数年前の文章を改稿)

 お茶を商う仕事をしているので、「茶」のつく言葉には敏感です。実際、日常生活で使う言葉で「茶」のつく言葉は意外と多いものです。「お茶の子さいさい」「お茶目」「茶番劇」「茶々を入れる」などなど。
 そうやって気にしていると「チャレンジ」や「チャンス」といった外来語の音にも反応してしまうので不思議なものです。

 還暦、古希、喜寿、傘寿、米寿など歳を祝う呼称のひとつに「茶寿」という呼称があります。「茶」の字を分解すると草冠の旧書体が十と十、下の部分が八十八、すべてを足すと百八となります。「茶寿」は百八歳というたいへんな長寿を祝うおめでたい呼称です。

 また「茶柱が立つと縁起が良い」という言葉もあります。
茶柱とはお茶の葉の茎の部分で、お茶を淹れたときに、この茶柱がスッと立つことはたいへん珍しいことです。
 この言葉の意味合いについては諸説ありますが、『茶柱に限らず、日常生活の些細な変化を吉兆と捉え、日々を前向きに過ごすことが、縁起の良いことを招く』と私自身は解釈しています。

 『朝茶は福が増す』とも言います。
朝のお出かけ前、急須から湯呑みへと落ち着いてお茶を淹れてみると、
「あ!茶柱が立った。」ということがあるかもしれません。

 新茶の季節が近づいてます。

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