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「株式会社ではバイトしない」私は、なぜポリシーを曲げてまでGOBでインターンを始めたのか

GOBでインターンをしている森野純夏(もりの・すみか)です。現在は高知大学地域協働学部の4年生として生きづらさを抱える子どものケアや、ソーシャルサポートの研究などをしています。

GOBには2020年の11月からインターンとして参加しています。現在は、大手企業が取り組むアクセラレーションプログラムのサポートや、GOB主催のイベントの企画運営などに携わっています。

そのほか、奨学金を希望する学生とそれを提供する企業や大学などをつなぐプラットフォーマーであるCrono(クロノ)でインターンをしたり、NPO法人カタリバのオンラインプログラムで子どもたちとミーティングをしたりしています。中学から続けている陸上競技は大学でも続けています。

市場経済にのせた価値の届け方がわからない......

GOBを知ったきっかけは、2020年夏に開催していた「Get Out of Summer vacation(以下、GOS)」という学生向けのアクセラレーションプログラムです。ソーシャルビジネスを専門に起業支援などに携わるゼミの先生から「国内で一番おすすめのプログラム」と案内がありました。

高校生の頃から、子ども福祉や教育に対する課題意識がありました。今のゼミを選んだのも、これらの課題解決につながる社会の仕組みを勉強したいと思ったためです。

採算が取りにくい、つまりビジネスになりにくい福祉的機能のサービスを社会にどう生み出すか、そしてどう存続させていくか——。

ゼミでビジネスプランコンテストに応募したこともありましたが、自分が考える「こういうサービスがほしい」という理想とそれを実現するビジネスモデルが両立できないことに、もどかしさを抱えていました。

慶應大学医学部が主催する「第4回健康医療ベンチャー大賞」に応募したアイデア
そのときのビジネスモデル。事業として成立するビジネスモデルを作ろうとするほど、顧客像やニーズがかい離してしまうような感覚があり、迷いながら制作していた

はじめて腑に落ちたビジネスモデルづくり

そんな中で参加したGOSは私にとって刺激的でした。

プログラム中は、事業開発フォーマットというワークシートを活用。徹底した事業開発の「型」があったおかげか、これまでで一番サクッとプランを作ることができました。

ワークシートにしたがって項目を埋めていくことで、自然と事業の形が見えてきた

また顧客の設定、価値の提供チャネル、参入市場など事業に必要な1つひとつの要素を検討するワークの根底には、常に事実(ファクト)に立ち返ることがありました。

GOBは「起業家の世界観に投資する」と言っているように、事業の起点には個人の思いや価値観があります。しかし、それをビジネスとして成立する形へと育てていくためには、決して「思いこみ」であってはいけません。

重要なのは事実を捉え、それを軸に据えることだと学びました。そうすることで、例えば誰かからアドバイスをもらったり、新しい機能を追加したくなったりしたときに、それが本当に「顧客の課題解決につながるか」を正しく検討できました。

その後、GOSでお世話になったGOBの奥平真央さんからインターンの誘いを受け、二つ返事で了承。高知に住みながら、リモートでインターンを始めることになりました。

「株式会社」への懐疑も忘れて

そもそも社会課題の解決とビジネスモデルの両立に悩んでいた私にとって、資本主義と、その中で生まれた株式会社という仕組みには漠然とした不信感がありました。

会社が利益を追求するから、副産物として社会課題が生まれるし、会社にとって顧客は金づるという考えが根底にはあるのだろうといったある種の諦めがあったのです。

実際、株式会社へのささやかな抵抗として、大学3年の夏まで一度も株式会社でアルバイトやインターンをしたことはありません。会社の経済活動の一端を担いたくない、という思いがありました。

一方GOBは株式会社でありながら、同時に資本主義のアップデートを提言しています。当メディアでも掲載した「倫理資本主義」です。社会価値(社会にとってよいこと)と経済価値(利潤)は両立できるという考えのもと、これからの経営モデルとして「見識業」を提案しています。

この考え方に希望を感じたこと、そしてこの考え方がどのように生まれたのか知りたい、という知的好奇心がかきたてられたことが、インターン参加の決め手となりました。

もちろん倫理資本主義がすべての事業の正解とは言えないかもしれません。今の社会でそれを実現することも決して簡単ではなく、あまりにも“きれい過ぎる”と感じることもあります。

それでもGOBで働いていると、「稼ぐこと」が目的だと思っていた会社の「稼ぎに直結しない」一面を見ることができました。

Slackには誰かが投稿した写真に対して「ボケ」をひたすら投稿する「ボケてるかも」チャンネルがあるし、何に使うかまったくわからない数々の(余計と思われる)スタンプが用意されています。最近ではオフィスを銭湯にする動きも始まりました。

仕組みの中にある明らかに稼ぎには直結しない冗長性が、私の中にあった会社像に対するアンチテーゼになったのです。

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