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私がギフテッドを応援する理由

京都大学 教育学研究科 認知心理学講座の修士課程を休学し、京大生で運営するGOALOOK学習塾の副代表に就任。現在はギフテッド教育に関心を持ち、オンライン教育サービスdialogueの立ち上げに取り組んでいます。(サービス概要はこちらから)

私たちは上記サービスを通して、いわゆるギフテッドと呼ばれる特異な才能を持っているお子さんの生きづらさを解消し、自身の強みを発揮したその人らしい生き方が出来る社会の実現を目指しています。
(ギフテッドとは?:https://miraii.jp/others-19

今回はギフテッドのお子さんとの個人的な出会いと、そこからギフテッド教育のためにサービスの立ち上げに至る経緯をご紹介させて頂きます。

教育活動での葛藤

私はGOALOOK学習塾の副代表として、子どもの興味をくすぐるトピックを対話形式でお届けする「白熱教室」という授業の企画・運営に取り組んできました。(GOALOOK学習塾に就任するまでの経緯はこちらの記事から)

研究室の先輩で俳句の美しさを研究する
じんぺーさん による「白熱教室」の様子

過去の講座例:俳句の美しさについて
https://www.goalook.net/post/today-slecture_worldof17letters

ここでは参加者の興味関心や知識レベルに合わせた授業作りにいつも苦労しています。

白熱教室では知的好奇心が強く、幅広い知識を持つ京大生が基本的に講師を担当しますが、いわゆるフツーの中高生の興味関心や知識レベルに寄り添った授業作りを意識しないと、参加者は内容についてこれず活発な議論も生まれません。

一方で議論の抽象度や知識レベルを落とすと、今度は私たちが伝えたい学問の本質的な面白さが表現できない、こういう葛藤をいつも感じています。

学問に深くのめり込むが故に、それを多くの人にわかりやすく伝えることの出来ない特異な個性を持つ京大生は、教育者に向いていない、もっと言えば社会で生きていくのに向いていないのかもしれない、とまで思い悩みました。

ギフテッドのお子さんとの出会い

そんな葛藤に悩むある日、ギフテッドのお子さんの居場所作りをする「ギフテッド応援隊」という団体さんとのご縁があり、そこのお子さん向けに白熱教室をした時の驚きと興奮を、私は今も忘れられません。

ギフテッドのお子さんとの白熱教室の様子

普段の教室では到底出来ないような抽象的で難解な説明を、驚くべき理解力の高さで汲み取り、それに対して自分はこう思う!みたいな意見を、これまた驚くべき頭の回転の速さで次から次へと発言してくれる。そんなギフテッドのお子さんとの白熱教室では、文字通り議論が白熱し、過去最大の盛り上がりを見せました。

その経験を通して、この子たちになら私たちが伝えたいと思う学問の面白さを伝えることが出来るし、私たちみたいな京大生が持つ尖った個性と才能が存分に活かせる教育を作れるのではないか、そう思いました。

ギフテッドのお子さんが抱える苦悩

また驚いたのは、それだけではありません。ギフテッド応援隊の親御さんに話を聴く中で、上述のような素晴らしい才能を持つが故に社会と軋轢が起き、様々な問題が生じていることを知りました。

簡単すぎる学校の授業を毎日受けるのは苦痛でしかないし、退屈でじっとしていられないと多動性障害だと(本来ネガティブな意味はないのに)ネガティブなレッテルを貼られてしまう。

興味のあることを友達に話してみても全然伝わらず、少し変わった子だと距離を置かれてしまうから、周りの友達の関心があるゲームやテレビの話に必死に合わせるあまり疲れてしまう。

学校のルールや先生の指示に関して、疑問に思ったことを先生に質問すると、いいから黙って従いなさいと注意される。それでも黙って従うことがどうしても出来ず、先生からさらに怒られる。周りの友達は従順に従っているのに、どうして自分はそれが出来ないんだと自分を責めてしまう。

このような経験を繰り返す中で、色々なことに興味や疑問を持ち、それを追求したくなってしまう、また決められたルールに従うことの苦手な自分は、社会に馴染めないダメな人間なんだと思い込まされ、周囲から孤立して不登校になり、うつ病や心身症などの二次障害の発症へと繋がっていく。こんな状況があることを知りました。

オンライン対話サービスdialogueの立ち上げへ

そんなギフテッドのお子さんたちですが、私たち京大生と出会い、興味のあること、普段考えていることについて議論するだけで、明らかに目の輝きが変わります。

例えば、妖怪は人間の負の感情から生まれたという説を実証するために、妖怪の歴史と、日本語の発展との関係を調べているんだ、という中学二年生の女の子がいました。

私はその豊かで自由な発想力にただただ感嘆し、「それは面白いね、もっと聴かせて」とか「妖怪だと分野としてニッチすぎて文献が少ないかもだから、もっと大きな宗教で信じられている神様に注目して宗教学の文献に当たると面白いかもよ」などと好き勝手に返すのですが、そのような対話が彼女に与える影響は私の想像を超えるものでした。

元々は友達や先生との人間関係に悩み、ストレス性の嘔吐や発熱がひどく、学校に行きたくても行けない日が多い状態でした。しかしこのような対話を週一回 1時間程度行うだけで、その症状が軽減し、学校を休む日も減り、友達とのコミュニケーションも上手く取れるようになってきたと彼女は嬉しそうに語ってくれました。

私は、自らの感性を追求するあまり研究者の道も挫折し(その経緯はこちらに書きました)、成績向上など数字で測れる成果にしか価値が付きづらいビジネスの論理にも嫌気がさし、また学問の本質を伝える事へのこだわりから聞き手を置いていってしまう教育者としての自分にも失望し、と八方塞がりな状況に陥っていました。そして程度の差はあれど、同じような葛藤を抱える人間が、京大という閉鎖的なコミュニティの中にたくさん存在していることも知っています。

そんな中で、自らの哲学、感性、世界観を追求するあまり社会に馴染めない私たちのような人間との関わりを、切実に必要としてくれる子どもたちの存在は、私自身に対しても生きる意味と活力を与えてくれました。

このような経緯からオンライン対話サービス dialogue を立ち上げるに至りました。(詳しいサービス内容はこちらから)

お子さんが興味あることに関して広くて深い知識を持つ人間が、お子さんの考えていることただ聴き、思ったことを返す。そんな対話を提供しています。

これを通して、一人でも多くの特異な才能を持つお子さんが、健やかに成長できるお手伝いができれば良いと思います。

オンライン対話サービス dialogueについて

お子さんの成長を見守る中で こんな悩みはありませんか?

「知的好奇心の高さから日常がちょっと物足りない」
「興味のあることが周りの友達や 先生に理解されない」
「物事の考え方や感じ方の違いから話が合わない」
「人間関係がうまく築けず、周りの人から孤立しがち、、」

こんなお子さんを対象に、親でも先生でもない、少し年上でナナメの関係を築けるメンターによる「傾聴」「対話」を提供します。

子供の興味関心に対して本格的な専門知識で応えられるメンターとの対話により、知的好奇心を満たして、更なる学習意欲を引き出します。

またそのような対話を通して信頼関係を築いたメンターは、日常生活での悩みを打ち明ける相談相手となれることもあるかと思います。

無料体験も可能なので、お気軽にご連絡ください。
詳細はこちらから


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