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ゴーリーコーチの野本経歴編②(FALCONS)

ゴーリーコーチの野本です。

前のnoteに対してレスポンスくれた方ありがとうございます。

今回は岩手大学を卒業して、FALCONSに入団してから退団するまでを綴る。
岩手から上京して日本のTOPチームに入団する事が、こんなにも刺激的で辛いものだとは思わなかった。

井の中の蛙が大海を知るとこんな風になるのだと知る。

それでもこの2年間で学んだことは数知れず、自分のコンフォートゾーンを出て挑戦的な環境に行く事が大事なのだと身を持って知ることになる。
 

【チーム選び】


 
そもそも就活から東京でラクロスする事を考えて企業を選ぶ。
部活引退後からどの社会人チームに入ろうか
考えて、その当時選んだのはVALENTIA。

日本代表のゴーリーがいる事と、陽一さんの後輩にあたる早稲田のスタープレイヤーが在籍していたので岩手にいながら親近感を持っていた。
それと同時にひょんな繋がりから『獨協大学』のゴーリーコーチの依頼を受ける。
 
上京したての僕の考えはこんな感じ
 
社会人チームで日本代表のゴーリーから学び、自分も同じレベルになる

・コーチをする事で社会人の練習がない時の練習環境を整える
 
そして上京してすぐ参加した獨協大学の練習で、FALCONSのプレイヤー2人とたまたま出会う。
 

【FALCONSとの出会い】

先にも書いたが、学生時代に参加した代表練のシャトルランで早々に潰れて怒鳴られていた姿をFALCONSのプレイヤーが覚えていてくれた。

DFの代表選手で、ビジュアルからプレーまで完璧な選手。
ロングでここまでシュート打てるプレイヤーは中々いないと思う。この選手が日本で一番強いロングだった瞬間は間違いなくあると思う。
 
ただ獨協の練習で会った時は、こんなに厳ついシュートを打つことを知らず、軽い気持ちでシュート打ってくださいとお願いする。知らないという事は時に良くて、時に愚かだとも思う。
 
結果、何本かセーブしたもののシュー練の後半にもろにヘルメットにシュートを受けて練習が終了する。

ゴーリーならわかると思うが、脳震盪のような頭がボーっとする感じ。

頭を打ちぬいた後ろめたさもあってか、ちょうどその時期練習に毎週参加できるゴーリーがいないという事でFALCONSに誘われる。

もちろん嬉しさもあったが、まだ肝心のVALENTIAの練習にも参加したことが無かったので一度保留。
まだその時は大学時代には無かった自分より上手いゴーリーがチームにいる環境が大事だと思っていた。
 
ただ、そのVALENTIAには練習に参加してアップのランニング中に目標としていた代表のゴーリーに入団を反対される。

理由はシンプルでVALENTIAに入団しても絶対的なゴーリーがいるので入団しても試合には出れない。

シュートのレベルもFALCONSの方が高く、試合に出て上手くなった方が代表への道は近いとの事。
この考えが本当に大事。今でも心に留めている。
ゴーリーは試合に出ないと上手くはなれない。
いかに出場時間を確保するのかが大事。
優しい助言を貰い、日本一のチームであるFALCONSに入団する。
 

【FALCONS入団~乞食と呼ばれる野本~】


 
忘れもしない初めて参加した練習。
農大での練習なので、用賀駅で待ち合わせをする。
合流しグラウンドについて練習着に着替えたタイミングで先輩から
 
お前の恰好、乞食みたいじゃね??
 
と想像もしていなかった一言を頂く。
自分では初めての練習なので、気合いをいれていたつもりが相当やばかったらしい。(今ならわかる。相当やばかった)
練習着に始まり、移動着やラクロスバッグ、スパイク、グローブ、シャフトの色に至るまで全部が全部外していた。
 
ただそこから練習着を貰ったり、
練習終わりにデートがあると言えばアウトレットで私服を選んで貰う、
合コンに行くと言えば『ワニワニパニックを持っていけ』などと貴重なアドバイスを貰い、東京に適応できたのはFALCONSのやさしさだったと思う。


(なぜかアウトレットの店員と撮った写真が残っている。練習後で合コン前)


 
学生やラクロス関係者に観られるチームなのでダサいのは個人だけじゃなくチームのブランディングにも関わることだったと思う。
強いチームにはそんな観点があるのだと学んだ。
 
 

【開幕戦出場、そしてピークアウト】


ゴーリーの枚数が少ないこともあり、4月からリーグ戦の開幕までほとんどの練習試合に出ていた。

その甲斐もあり、リーグの開幕戦にスタメンで出場することが出来た。
僕以外のメンバーは全員日本代表経験者だったので、twitterで『ゴーリーはサプライズ起用』と揶揄されたのを覚えている。
ただここで試合に出れたことはラクロスを続けた中で数少ない嬉しかったことの1つ。


(もっと良い姿で写真に写りたかった)


記憶が確かではないが、試合の前週くらいに『開幕は野本でいく』という言葉を聞いた時はめちゃくちゃテンションが上がったのを覚えている。
2Q出てそこそこの活躍は出来た思い出がある。
この試合だけは2年間在籍して自分がゴーリーで出ている意味があったと思う。
この試合から移籍するまでは自分がゴーリーとして出ても出なくても結果に影響がないくらいのプレイヤーだった。
 
毎日朝7時30分から24時まで働き土日も練習が終わればすぐに出勤していたためラクロスに割く時間が必然的に少なくなるのとは反面、
周りのプレイヤーは開幕から全日決勝にかけて、えげつないくらい仕上がっていった。

僕はそのスピードにまったくついて行けず、リーグ戦の開幕はスタメンで迎えたものの全日決勝をプレー時間0分のベンチメンバーで終える。
 
リーグ戦中盤から終盤にかけては、試合中ベンチでトレーナーと一生アジリティをしていた。
試合を観ていても上手くなれないので、その時間にどうにかなりたいと考えていた。
全日決勝が終わった後に、1年間で少し増えたラクロスの知り合いから

『試合中ベンチでずっとアジリティ頑張ってたね!』

と労いのLINEが届く。
 
この瞬間、FALCONSを辞めて試合に出れるチームへの移籍を決意した。


(試合中クロスも持たずベンチの裏でトレーナーに色々教えて貰っていた)

 




【FALCONS2年目 そして転勤】

 
移籍を決意したものの、結果として残留する。
電話をかけてくれた本人は覚えていないと思うが、ATの先輩から

試合で年に2回FALCONSと勝負するよりも毎回の練習でFALCONSと勝負した方が絶対に上手くなる

と声をかけて貰ったのがキッカケ。
 
毎回の練習でFALCONSに勝つことが出来れば間違いなく試合にも出れる。
試合に出ないと上手くなれないと考えていたものの、半端に上手くなるではなく代表を目指すならやっぱりFALCONSしかないと考え直した。

FALCONSに勝つ事だけを目標に社会人2年目をスタートする。
 
1年目よりも仕事が落ち着いたこともあり、平日にもラクロスが出来るようになる。
月曜→神奈川大(隔週)
水曜→保土ヶ谷(隔週)
金曜→日本体育大学(毎週)
土日→FALCONS
 
多ければ週5回、少なくとも週3回はシュートを受けられるので1年目とは全然違う環境になった。
また2年目のタイミングで同期Gの小畑(慶應大学出身)が入団した事もあり、身近にライバルが出来たのも大きかった。


(全日決勝戦 小畑を真似してクロスもスパイクも同じ。今もクロスを編んで貰っている)


 
同期の小畑がスタメンで出て、点差がついたら僕を含めて残りのゴーリーが試合に出る1年だった。
この時くらいから試合に出るゴーリーと出ないゴーリーの違いが何なのか考える。
その答えはFALCONSの先輩から言われた『信頼感』という言葉に集約されている。
 
言われた事としては、
「試合に出ているプレイヤーだけでなくチーム全体が『こいつがゴーリーで決められたらしょうがない』と思えるような信頼感があるゴーリーが大事な試合に出る」 
 
これは今でも本質だと思っていて、ゴーリーは『印象ゲーム』だと思う。
どこかの試合だけ切り取ったセーブ率とか練習量とか関係なくて、チームが認めるゴーリーになれば良いだけ。
 
ただその信頼感をどのように得るのかは、自分とチームの兼ね合いがあるので一概に答えはない。
 
この年僕は全日決勝の慶應義塾大学戦に10分弱出場して0セーブ、2失点という成績を残しシーズンを終える。
ただ1年目とは違い、FALCONSと勝負し続ける事が出来た1年間だったのでシーズンを通して些細なモノだが小さな成長実感はあった。


(FALCONS同期。プレイヤー側の顔がイモすぎてイモ世代と言われていた)


 
 

【僕が思うFALCONSというチーム】


 
2回日本一を経験しているが、正直僕がいてもいなくてもFALCONSは優勝している。
在籍当時自分がいる意味とかを考えるタイミングが無い訳では無かった。
 
ただ何かの記事で確かサッカーのブラジル代表が大会で優勝した時に試合に出ていないベンチメンバーも惜しげもなくメダルを自慢すると書いてあったのを当時読んだ。

試合でパフォーマンスを発揮した訳ではないが、チームに居続けて練習相手としてスタメン選手を支えたのは自分なので自分の優勝でもある。みたいな事を書いてあったと記憶している。

自分としては考えた事もない考え方で印象に残っている。

 
プレイヤーとしては満たない部分が多かったが、僕は今でも2年という短い期間だったがFALCONSで学んだ事や感じた事を大事にするし、コーチとして発信する。
 
色々なことが印象に残っているが、僕が特に印象に残っているのは

『円陣とハイタッチ』

試合前やタイムアウト明け、試合後などラクロスは色々なタイミングで円陣を組むがFALCONSの円陣は最高だった。
小さくて固い円陣。その中で話される事も気持ちが満ちていてこのチームで良かったと何度も思った。


(2014年全日決勝の円陣)


 
後はハイタッチ
得点後やナイスプレーの後に色々なところでハイタッチや感情を爆発させるシーンがあるが、このアクションがめちゃくちゃ強い
それだけ1つ1つのプレーに懸けているから、あんな強いアクションが生まれるのだと思う。

ハイタッチで思い切り振り上げた手に同じ強さでハイタッチが返ってくると、みんな同じくらいラクロスが好きだし懸けてるんだと思っていた。


(同期の小畑の活躍が嬉しくてアメリカ人みたいな喜び方 全日決勝)


 
2019年からコーチをしているが、プレイヤーを辞めた今でもこの時感じたことは自分の中に生き続けている。
 
こんな学びを得て、大阪転勤になりFALCONSを退団する。
 
次回は『大阪でラクロスする野本~やっぱ好きやねんACL~』について綴る。
 
読んでくれてあざっす!
 
 
 






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