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3.11 あの日、私は 【前編】

生きていく上で、楽しいこともあれば悩ましいこともたくさん。そんな女性の悩みを、専門家に質問していくYoutubeチャンネル「GOAL IN TV」。番組を盛り上げてくれている出演者の一人、マルチタレント・わさびさんのコラムです!自分の人生を楽しく生きるためさまざまなことに挑戦する彼女の生き方についての連載。

私がこの記事を書いている今日は、2021年3月11日。東日本大震災から10年経った日です。

上空カメラから中継放送された、津波が街をのみこんでいく映像を、私はおそらく今後忘れることはないでしょう。

あの日皆さんは、どこで何をしていましたか。

10年前の3月11日、私は幕張メッセのイベント会場で仕事をしていました。まだ芸能には足を踏み入れていなかったものの、マイクを持って喋る仕事がしたくて、大学卒業後は就職せずにキャンペーンガールをして食いつないでいたのでした。

その日の現場が、たまたま幕張メッセだったのです。何百人もの中からたった4人だけ選ばれるオーディションを勝ち残り、いただいたイベントのお仕事。

着物の衣装でのお仕事。とても張り切っていました。

14時46分、地面が大きく揺れ、パニックになった人々が小さな出口に殺到しました。会場には1000人ほどいたでしょうか。

隣の人を突き飛ばして我先に脱出しようとする人、自分だけ机の下に逃げ込む人がいる中で、何人かの男性が声を張り上げて人々を誘導しているのが見えました。

私は着物を着ていてとても逃げづらかったため、丁寧に対応してもらったのを覚えています。私も人を思いやる側の人間でいたい、そう思いました。

やっとの思いで外に出ると、道路の至る所から水が吹き出していました。幕張は埋め立て地なので、液状化現象が起こったのです。

すぐに電車も動かなくなり、自宅に帰るすべがなくなってしまいました。

私たちは、近くに宿泊予定だった社員さんのホテルのワンルームに合計8人で入れてもらい、一晩過ごすことになりました。

エレベーターが動かなくなっていたので、38階まで階段で上がりました。

1階のロビーは、部屋がとれなかった人で溢れ、ロビー横のコンビニの陳列棚にはもう何一つ商品が残っていませんでした。

足がちぎれるほど階段を上って辿り着いた1人用の部屋で、8人がぎゅうぎゅうになりながら見たテレビ。そこにあの津波の映像が映っていたのです。

「え? これ本当? 映画?」みたいな感じでした。誰も何も言いませんでした。

その部屋で朝まで過ごすということが決まった頃、私の横に座っていた女の子が言いました。

「私、持病があって、家に薬を置いてきちゃったんだ。朝までに家に帰れないとまずいかもしれない。」

え、何それ嘘でしょ……?

「本当。さっきお母さんと電話つながったんだけど、薬、自宅の机の上にあるって……。」

どうしよう。どうしよう。そう思いながら、私は自分の携帯を掴んで外に出ました。

【来週に続きます】

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