スループット会計【前編】
渡辺薫のこれまでのコラムは、以下のマガジンからご覧いただけます。
ここまでに、以下の客観的法則性を紹介してきました。(復習です)
そして、TOCでは、このTheorem 1の環境において全体最適(生産システム全体で業績を向上する)を実現するための二つの手法(技術)を開発しました。「スループット会計」と「5 Focusing Steps」です。今回は「スループット会計」の基本についての説明です。
企業の業績は最終的には財務会計によって評価されるもので、この会計手法は企業の事情によって変えることはできません。(上場企業の場合は、公認会計士によって監査された「損益計算書」「貸借対照表」「キャッシュフロー計算書」を公表する義務があります。また上場していなくとも納税のために財務会計によって所得を計算しなければなりません。)
「スループット会計」は管理会計の手法(正しくは「考え方」)です。管理会計は企業における計画立案や意思決定のための手法であり、企業が自分で自由に選択することができます。つまり管理会計は財務会計とは「異なる目的で」かつ並行して使うものということになります。もちろん「当社は全てを財務会計の考え方で行っており、他の管理会計の手法は一切使わない」ということも可能です。しかしながら私の知る限り、ほとんどの大規模な企業は、計画立案や意思決定に向けて何らかの管理会計の手法を取り入れています。
【財務会計とスループット会計における「利益」】
財務会計においては、利益を以下で計算します。
以下のように表記するとより分かりやすくなります
以下の2つのポイントを押さえておいてください。
財務会計の利益計算では、
スループット会計においては、利益を以下で計算します。
財務会計との大な相違点は以下のとおりです。
このように「在庫」を、どう評価するかが最大の相違点です。
スループット会計における利益「稼いだお金」の考え方は、財務会計の「キャッシュフロー計算書」の中の「営業活動によるキャッシュフロー」における「増えたお金」の考え方と同じです。ただしキャッシュフロー計算書では「キャッシュの移動(簡単に言えば銀行口座のお金の出入り)」を厳密に反映する計上方法となりますが、スループット会計では「現実に購買や販売が行われた時点で計上する」発生主義をとっています。
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