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ドリルとkiss 愛に禁忌がないならこのまま眠りたい

長いこと性風俗産業の中にいた割に俺の性経験はいたってまともなものばかりで、女の子からお客さんの話を聞くと自分には強い性願望がないんじゃないかと不安を覚える。

女の子の口から「ドリル」って言葉が出てきてびっくりしたことがあった。

ドリル??え?ドリル?計算ドリルとかのドリルじゃなくて?えっ?ドリル?!!!神秘的な場所に工具???

ゲームボーイソフト魔界塔士Sa・Gaのラスボス「かみ」にチェーンソーを使い一撃で倒した記憶がよみがえる。

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正攻法で倒せずに泣きそうになってたところに即死技チェーンソーでクリアしたあの瞬間嬉しかったな。。。。そういうことか。神秘には工具か。

一聴しただけでは理解できないものも、自分の体験した何かに置き換えると見えてくることもある。

なんとかフェチも自身の体験に紐づいて生まれるものと考えると、俺は生きることとエロスをまだリンクできていないのではないだろうか。

リビドーとタナトス、それを結ぶエロス。サイン、コサイン、タンジェントみたいなものなんだと思う。最終学歴、高卒(偏差値38)の俺はそう思う。数学はいつも0点だった俺が見つけた公式。

公式、それは物語。


20XX年、人工知能によるシンギュラリティを迎えた人類。ここ日本もまた例外なくロボットによる統治が行われていた。地球上の資源を確保するため人口抑制の布告のもと、限られた人類を除き男と女は完全に隔離されていた。

かつて東日本と呼ばれた地域には男が、西日本と呼ばれた地域に女が強制的に移住させられた。

滋賀県。ここはロボットによって定められた東日本と西日本の境界エリアである。

琵琶湖の畔に立つ男の影。

男の名前は山崎竜二。

かつてドリル職人として東京オリンピックの建設ラッシュを支えた彼だったが最新の中央演算処理装置の前では竜二はただの中年男性であった。

(俺のドリルが必要とされないなら俺は何のために生きているんだ)

伸びた爪が目立つ指の先にはmakitaのドリルがあった。

憔悴しているのは生きる目的を見失っただけではない、竜二は岐阜県食用コオロギ第三飼育工場から脱走しロボットに追われていた。

「ここまでか。。。」

「あんた何してんだい」

女だった。

「うう、もう動けねぇ。俺のことはほっとけや、この波の音悪くねぇ」

女は何も言わず、竜二の口に干しコオロギを入れた。

「ぐほっっほっ」

女は何も言わず、干しコオロギを咀嚼しそのまま唾液と共に竜二の口に入れた。

「う・・・うまい(テーテッテレー)」

竜二はそのまま女の家へと転がり込んだ。


ハイツ湖畔。

男と女は息をひそめ互いを求め合った。


「あんたのドリル。あたいに使いなよ」

「使うっておまえ正気かよ。工具だぜ?」

「あんたにとっちゃただの工具じゃないんだろ、いいよあたいに使いな」

「でっ。でもよ」

「来なよ。自分で決められないならあたいが決めてやるよ・・・」

まっすぐな瞳を前に竜二の身体は動かない。

「そのドリル。ただの工具なのか、あんたの一部なのか。あたいが感じてやるよ」


白んだ空を見つめながら竜二はハイツ湖畔を出た。

そのドリルで自由の為に。

そのドリルで愛の為に。

そのドリルであなたの為に。


そのドリルで。

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えっ?俺をサポートしたいって?いいぜ。やっチャイナ♪