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何階ですか? エレベーターのボタン前に陣取った背の高い少年は半分だけ体を捻ると、私の心に…
サワジータの部屋は、小さな通り沿い。昼間は子供達が路面に丸や三角や四角をかいてケンケン…
ある日美しい夕焼けの河原にて。 彼女はバッグをぎゅっと僕に押し付けて見ててねと笑うと少し…
2年半、ひたすら想い続けた人がいま僕の隣にいる。 昨日彼女にはじめて声をかけられた。それ…
「カサモリさんにアタックしているのでしょう?私、協力しますよ」 互いの自己紹介のあと、す…
一人、ブランコに揺られている。足を伸ばす。足を曲げる。足が地面につかないように気をつけ…
彼との別れは突然やってきた。 じゃあね。 彼が背を向けた瞬間、悲しみレベルが急上昇し、私はぐっと歯を食いしばる。うっかり彼をひきとめてしまわないように、ぐぐっと。 私はよく我慢したと思う。ただ、ドアをあけるのに手間取っている彼に手を貸したのがまずかった。 だって、彼も泣いていたのだ。 途端に私は何としてもどうしようもなくなっちゃって、去ろうとする彼の背中から彼の気配だけをするっと剥がして、奪ってしまった。剥がしたての気配は透明なマネキンくらいの大きさがあったが、すぐ
おじいちゃんが死んだとき、やっぱり問題になったのはピアノだった。焦げ茶色のアップライト…
部屋を出る。 昨晩、ナオくんは突然切り出した。もう決めてしまったのなら一刻も早く出て行っ…
妻が入院した。今日は手術の日。 僕と娘は病院の廊下のかたくて背もたれのないベンチに並んで…