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書けるときに日経日記 2021年8月15日

■全体感
コロナの影響で苦しむ社会と特定の企業、そしてコロナによってさらに業績が良くなる巨大IT企業を中心とした集団。きれいに2極化が進んでいる。そして、巨大IT企業を中心とした勝ち組の集団においては、その中においても2極化が進む。
勝ち組の集団においては、倫理的な観点からの動きが出ている中で、社会全体としてはコロナに苦しみ続け日本でも米国でも感染者数が急増している。とても同じ時代に同じ国にいるとは思えない様相を呈している。


■今日の数字
・300件→ IT企業の働き手が集団で行動し、経営陣に要求をぶつける動きが活発化している。この5年間で300件の集団行動があった。
資本主義の論理で動く個別の企業の中に、民主主義が生かされるとするとこのような集団行動がその具体的な手段になる。

・3倍以上→アマゾンにおいて、データサイエンティストの年収が倉庫の従業員の3倍以上。一人当たり付加価値を考えると妥当ではあるものの、これは資本主義が構造的に二極化を進める根源となっている。労働分配率を一定にすると、1人が生み出した付加価値の一定割合が給料として支払われるため、生み出す付加価値の差によって格差が生まれるのが必然となってしまう。

・20,000人超→国内における新型コロナウィルスの感染者数が連日20,000人を超える。重傷者は1521人で最多の更新が続く。米国では、300,000人に迫る新規感染者数となっている。コロナも変異によって段階が変わってきている様相。

・90社→コネクテッドカーをサイバー攻撃から守るために自動車メーカーやIT企業など90社が連携する。IT化やコネクテッドが進むにつれて、サイバーセキュリティーの重要性が増してくる。サイバーセキュリティーの懸念が排除できない以上安心して自動運転車に乗ることができない。

・7県14河川→停滞する前線の影響で日本列島の広い範囲で大雨となり、河川の氾濫が相次いでいる。毎年のように現れる災害は、カーボンニュートラルの意識を高めることにもつながるだろう。

・6社に1社→上場企業の6社に1社が2020年度に雇用調整助成金を受け取っていた。コロナの影響が大きい空運や鉄道など非製造業を中心とした622社。受給総額は4500億円を超えた。受給した企業の最終損益は2兆円を超える赤字。

・7割の壁→コロナワクチン接種をめぐって、海外で接種率が7割を超えると伸び悩むことが課題となっている。日本は接種開始から半年でいまだに5割未満。

・290,000人→米国における新規コロナ感染者数。デルタ株の猛威によって一気に増加している。米国の感染者数も1桁違った増加を見せている。ワクチン接種が5割を超えた国においてこれだけの増加を見せるのは脅威である。もちろん、米国では州によって接種率も考え方も異なっているため、複数の国が存在する一体の存在と言うようにとられた方が良いかもしれない。

・4000円→米国でのライドシェアの運賃が急騰している。都市部で運転手の時給を4000円前後に高めても人手が集まらない。一時的かどうなのか、ここにもインフレの傾向が出てきている。

・120兆ドル→世界の株式時価総額。過去最大を更新し続けている。コロナ感染拡大においても金融緩和の継続を市場が意識している。もはや経済は実体だけでは動かず、政府の政策と密接に関連している。


■所感
今日の数字に少しだけコメントを付すようにしてみた。取り上げる記事の数が限られる分、多くの記事に対して簡単なコメントを残したいと思う。

米IT改革、働き手が促す
「集団行動」5年で300件、倫理や差別も問う

民主主義的な資本主義は、そのまま放置していると2極化につながることが明白になってきている。
特にAIやロボットなど、付加価値を生み出すために人ではないものが貢献をする度合いが強くなってくると、その傾向はますます強化されてくる。

この記事における集団行動についても、中身を見てみると例えばUVERテクノロジーズなどでのデモは、宅配サービスで働く約2000人によるもの。これは、2極化で言うと下のほうの極の人たちのデモと言えるだろう。

アマゾンドットコムでは、データサイエンティストの年収が倉庫の従業員の3倍以上にのぼると言うことが書かれているが、それは1人が生み出す付加価値を考えると必然的なものと思われる。

以下が、この記事における図の抜粋。


やはり、実質的には給与や手当、労働条件や環境など満たされてない部分をデモによって是正していく動きが中心ではある。
巨大IT企業が格差を広げているが、巨大IT企業の内部や周辺の下請け企業のエンジニアなど巨大IT企業の中や周辺においても格差が広がる。

経済的に満たされた、または労働条件と関係のないデモは、このグラフで言うところの倫理や差別などに対してのデモに該当するだろう。
確かに2001年から2010年までにはそのようなデモは存在しなかった。それが、2016年から2020年にかけておそらく累積100件程度にはなってきていると思われる。

民主主義的な資本主義は、個別の企業においては資本の論理で動く。一方で、資本の論理で動いている個別の企業は民主主義で動く社会の中に存在する。
資本の論理で動いていけば、構造的に2極化はますます進むが、民主主義がそれに歯止めをかける流れとなるか。巨大IT企業は、そのインパクトや社会に与える影響から、もはや単なる個別の企業ではなく社会の中の公器としての存在を担っていると言っても過言ではない。巨大IT企業を含めて、そこから広がる個別企業の中における民主主義の動きに今後も注目していきたいと思う。

この中に、ほっておけば二極化が進む民主主義的な資本主義の自浄作用が含まれていることを期待したい。

車乗っ取り防止へ連携
トヨタなど90社、サイバー攻撃に備え

生産性を上げるためには、IT化の推進が欠かせない。またコネクテッドによる双方向性は、車をさらに次の次元にシフトさせることになる。

今でも金融機関などのセキュリティーに多大なる影響があるシステムは、クローズドなものとなっておりネットワークとつながっていないものが中心となっている。

車や医療など、人の命とつながるシリアスな事業については、単純な生産性の改善だけでは済まされない安全性の確保が求められる。
失敗しても修正すれば良いようなシステムのためのシステムではなく、失敗をした段階で人の命に影響が出るようなことについては失敗そのものが許されない。

このシリアスな事業とネットを合わせて安全性の高い社会環境を作る事は今後の社会を左右する最優先事項であると思われる。

2020年に、中国のテンセントがトヨタのレクサスの脆弱性を指摘し、ソフト改修を迫られたと言う。システム研究者が自動車を遠隔操作したり、専用アプリをハッキングしたりする事例の共有がなされて相互に安全性の向上が図られる事は非常に良い動きだと考える。

今回の連携は、日本国内の企業を中心とした連携であると思われるが、国家を超えた連携を強化することができればさらに良いと思う。もちろん、国家の安全保障上の問題もあるため、安易に民間だけのつながりを持って是とするわけにもいかない分野であろう。

敗戦の教訓は今の日本にも通じる

日経新聞の高潔な思いを感じる。戦時中において、新聞の位置づけは確かに戦意を高揚させて国民を一致団結させる機能も必要ではあったのだろうが、それを自ら新聞の立場として反省をすると言う姿勢は非常に潔いように思う。
日経新聞といえども、ネットニュースなどに押されて運ぶ数が伸びていない状況の中で、オンデマンドでないメディアの重要性は消えるものではないと考える。

民主主義を支えるものは、適切な情報と適切な教育であると考える。戦後の教育は、ウォーギルトインフォメーションプログラムWGIPによって不当に捻じ曲げられてしまった感があるが、改めて日本を適切な民主主義の国にするためにも、教育の見直しが必要だと考える。またそれと同じく適切な情報を提供するメディアとして新聞にはがんばり続けてほしいと思う。

特に、今の民主主義は偏った情報によってポピュリズムが加速しやすい状況を生み出している。そしてその偏った情報をさらに片寄らせるためのサイバー犯罪などが大規模で横行している。
国家間の中でも、サイバー戦争はリアルにバチバチで起こっている。このような中で、民主主義を構成する人々の判断材料となる情報が捻じ曲げられる事は、民主主義の機能不全につながりかねない。そういう意味では、上を中心とした切り離された媒体としての新聞や、テレビ等は引き続き一定の存在感を持って存在し続けることが民主主義社会でおいても必要なのだと考える。

雇調金、上場620社受給 6社に1社
昨年度4500億円超 サービスや空運下支え

雇用調整助成金の支給先を見てみると、コロナの影響が特定の業界に偏っていることがよくわかる。

リアルで人の接点を持たざるを得ないサービス業は、その最たるもので、リアルでの移動を伴うものもやはり感染につながるため多大な影響を受けている。

雇用調整助成金は、上場企業の中でも4500億円超支給されているが、これらの企業は累計2兆円超の赤字となっている。雇用調整助成金でカバーできた金額は5分の1程度といったところであろう。
これらの企業は、コロナについては運が悪かったと言わざるを得ないが、今後の社会においてもコロナは全くなくなると言う事はなく、継続的にワクチン接種をコストをかけてやっていく社会が継続することだろう。
これらに備えて、会社の方向付けを戦略を考えていかなければならない。

雇用調整助成金のような、有事における助成金は経営を次の社会に向けて立て直すための時間を提供してくれるに過ぎない。

中には雇用調整助成金を受け取って、その上で配当に回した企業も存在する。
これは、国家の税金を株主に還元すると言うよくわからない動きになっている。
上場企業であるからには株主からの目も気にする必要があるのだが、道義的にいかがなものかと思う。
コロナがある程度継続する今後の社会を見据えた上で、必要だ落ちて、投資を行う事に活用するべきで、株主還元に活用するのは道理に反していると言わざるを得ないだろう。

コロナ後の社会に向けて適切な戦略を描き、投資を行うことによって株主が当該企業に対する期待値を持って株価を評価する。これが本来の姿であると思われる。

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