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【経営をするように生きる】その日一日に集中して生きればいいのか、を考える

人生いろいろと悩みがつきません。
いきなり何だ、という感じだと思いますが、皆さんもきっとそれぞれに悩みを抱えていらっしゃると思います。

きつい時は、その日一日区切りで生きる。エネルギーがあるときは、中長期を意識して経営をするように生きる。
というようなことを考えてみました。


今日一日に集中して生きる


デールカーネギーの「道は開ける」に、こんな言葉があります。私はこの言葉にいままで随分と救われてきました。

まだ生まれていない明日──を閉め出すのです。そうしてこそ、諸君は今日一日安泰です。過去と縁を切ることです。息絶えた過去など、死者の手に委ねましょう……愚か者たちを不名誉な死へと導いた昨日など閉め出すべきです……明日の重荷に昨日の重荷を加えて、それを今日背負うとしたら、どんな強い人でもつまずいてしまうでしょう。過去と同様、未来もきっぱりと閉め出しなさい。未来とは今日のことです……明日など存在しないのです……人が救われるのは今日という日なのです。エネルギーの消耗、心痛、神経衰弱は、未来のことを気遣う人に歩調を合わせて、つきまといます……そこで、前と後ろの大防水壁をぴたりと閉ざし、『今日、一日の区切りで生きる』習慣を身につけるように心がけるべきでしょう

D・カーネギー、香山 晶, 道は開ける

「今日、一日の区切りで生きる」こと。先のことなど気にしないで今日一日を精一杯生きていけばよいということでしょう。先のことをいろいろと考えてしまうから、悩んでしまうのです。先のことは切り離して、今に、今日に集中して生きることで悩みがなくなるということです。

私は主に中堅中小企業さんをお客様としたコンサルタントをしています。
会社の経営については、あれこれ先を考えて今できることを行っていく必要があります。会社の経営をその日一日だけを考えてやっていくわけにはいきません。
仮にその通りにならなかったとしても(その通りにならないことが圧倒的に多いのですが)、仮説を立てて会社がありたい姿(ビジョン)に向かって、日々の執行と経営を両立させていくことが必要、といつも伝えています。
それが、お客様である会社のお客様や、社員の皆さんへの貢献を続けるために必要だからです。
事業が、会社が、健全に続いていかないようではお客様や社員の皆さんへの責任を果たせないですから。

一方で、個人の人生においてはどうなのでしょうか。と最近よく考えます。D・カーネギーが言うように、その日一日を生きていけばよいのでしょうか。


社会環境の変化

D・カーネギーの時代と比べると、社会環境が変わってきた面があります。
まず、人間が長寿になってきたことが挙げられます。
それによって、仕事をする人生の期間が長くなりました。特に日本では年金・医療など社会保障の問題があるので、必然的に長いこと健康で働くことが求められるでしょう。

以下は、書籍:ライフシフトからの抜粋です。

国連の推計によれば、 2050 年までに、日本の 100 歳以上人口は 100 万人を突破する見込みだ。第 1 章の 図 1‐1 で示したように、 2007 年に日本で生まれた子どもの半分は、 107 年以上生きることが予想される。いまこの文章を読んでいる 50 歳未満の日本人は、 100 年以上生きる時代、すなわち 100 年ライフを過ごすつもりでいたほうがいい

ー中略ー

人生が短かった時代は、「教育→仕事→引退」という古い 3 ステージの生き方で問題なかった。しかし、寿命が延びれば、二番目の「仕事」のステージが長くなる。引退年齢が 70 ~ 80 歳になり、長い期間働くようになるのである。多くの人は、思っていたより 20 年も長く働かなくてはならないと想像しただけでぞっとするだろう。不安も湧いてくる。そうした不安に突き動かされて、 3 ステージの生き方が当たり前だった時代は終わりを迎える。人々は、生涯にもっと多くのステージを経験するようになるのだ

LIFE SHIFT(ライフ・シフト)―100年時代の人生戦略 LIFE SHIFT

リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット、池村 千秋


LIFE SHIFT(ライフ・シフト)―100年時代の人生戦略 LIFE SHIFTリンダ・グラットン、アンドリュー・スコット、池村 千秋

とりあえず、「長い期間仕事をしていく必要がある時代に入ってきた」ということです。
そして、長い期間仕事をするということは、マルチステージ(仕事の期間でキャリアチェンジを複数行うこと)の人生に備えてある程度中長期を意識して生きていかなければいけないのではないか、ということです。
先のことを考えると悩んでしまうのですが、それでも未来を意識することは大切なことなのではないかと思うのです。

持続可能性(サステナブル)という言葉を最近よく聞きます。マルチステージの人生におけるサステナブルとは何か。そのために必要なことは何か、ということを考えてみたいと思います。


会社経営における経営と執行

経営には「経営」と「執行」の2つの役割があります。厳密なものというよりは考え方に近いかもしれませんが。

執行とは、シンプルに言えば「日々の仕事を一生懸命にやること」です。その行きつく先は「成り行きの未来」です。

経営とは、これもシンプルに言えば「ありたい姿(ビジョン)に向かった考察と活動」です。この二つの関係を図にすると、以下のようになります。

私は、成り行きの未来からありたい姿(ビジョン)とその先のパーパスに向けた「角度をつけた経営」と言っています。


個人における経営と執行

お客様にアドバイスするときは、そのようなエラそうなことを言っていますが「私はどうなんだろうか」とよく思います。

「お客様の会社のありたい姿を実現するためのことを考え、議論し、アドバイスしながら、という活動をその日一日精一杯行う先の未来は、私としてありたい姿につながるのだろうか」ということを、もう少し考えていかないといけないな、と思うのです。

私という個人の中に、経営と執行の役割を設ける必要があるのではないか

そのようなことを考えると、個人も会社と同じように考えていくことでありたい姿に向かって進んでいけるような気がします。

個人にとっての「経営」は、悩みながら不確実な未来に向かって行動をしていくことなのかもしれません。
日常としての執行をしっかりと行うことによって体と心と経済的なバランスをとっていくという考え方も必要でしょう。(これも経営と共通しています。執行ばかりでも成り行きの未来になってしまい、また、経営だけでは売上・利益が生まれずに生きていけません)

経営者の方との個別面談においても、会社の方向付けの話をしてはいますが、結局はそれ以前に個人としての経営者の方と向き合っています。
経営者の方といえども、個人と会社がイコールなわけではありません。


「悩むことができる」価値

あらためて考えると、苦しい時は今に集中して忙しく生きる「執行モード」で生きる。
先を考えて悩める余裕が生まれたならば、「経営モード」で先のことを考えながら、今できることに角度をつけていくことができるのではないかと思うのです。

個人も経営モードと執行モードを、心と身体の状態を見ながらモードチェンジをしていくことができれば、成り行きだけではなく意識をしたありたい姿に向かって生きていけるのではないか。
そして、マルチステージの人生を生きる中で、ありたい姿は柔軟に変わっていくのでしょう。

私などは、俗に言う中年クライシス世代です。
仕事や家庭、これまでもそこそこ長かったですが、これから先の長い人生を考えすぎると時に悩める中年になるわけですが、悩むことができる価値をかみしめてみたいと思います。
元気な時は未来を考えて悩む、逆に元気がないときは今日一日を集中して生きる、このバランスが大切ではないか。


会社経営と個人の人生が近づいてきた

このようなことを考えていると、日々関わっている会社の経営という考え方が個人の人生にもかなり応用できると思うようになってきました。

コンサルティングで考えているようなことを個人の悩みにいろいろと当てはめて考えることができるなと思い、そのような観点からの文章をこれからいろいろと上げていければいいのかな、と思い始めました。

「経営をするように生きる」ということを意識したときに、人生がどのように変化するか、それが個人の皆さんにどのような役に立てるのか、というようなことを考えて取り組んでみたいと思います。

せっかく悩むのであれば、経営で活用しているいろいろな考え方を活かして効果的に悩んでみることができればいいのではないかと。私も書きながら、当てはめながら悩んでみたいと思います。

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