見出し画像

勉強の質と量

勉強の質をあげるにはどうしたらいいですか?

この問いは、教師を続けている中で本当によく質問を受けた内容の1つである。特に受験生にもなれば生徒だけでなく、保護者からも同じような相談を受けることが多い。これは、何も勉強に限った話ではなく部活動の練習でもよく顧問の先生が生徒に「量より質だ!」と言っている場面を目にする。

勉強に関して言うならば、よくある答えは
①学習時間を短くして、休憩をこまめに入れる
➁得意な教科など集中しやすい教科から学習する
③図書館など集中しやすい環境で勉強する
④夜型から朝方に切り替える
⑤時計を見ないで学習する
⑥スマホの電源を切る
⑦コーヒーを飲んだり、ガムを食べながら勉強する
⑧集中しやすい音楽を流す
⑨マーカーを使わずに青色のペンでひたすら書く
など、具体的には色々なアドバイスあるだろう。

しかし、結局のところ正解はない。もし正解があるなら、みんなそれをしているしそもそも生徒は私のところに相談に来ない。

実験結果からわかること

これは依然読んだ本に載っていた、ある実証データである。
クラスを2組に分け、一方は成績を量で評価し、もう一方は成績を質で評価した。「量のグループ」は、たくさんの数の作品を提出する。「質のグループ」は時間をかけて自分が良いと思った作品を提出する。

結果、最も高い評価を得た作品は「質のグループ」ではなかった。
「量のグループ」からの作品であったのだ。
量をこなすことで試行錯誤を重ね、扱いもうまくなったからである。
一方、質のグループは完璧な作品を頭で考えることに時間がかかってしまった。

量より質だが、質をあげるには量が必要

この実験からわかることは、完璧主義を目指すのではなく、進んで失敗をして学ぶ。そこから検証と軌道修正を繰り返して行えばいいということである。

これは、企業などではごく一般的な事である。スピードが求められる現代社会の中では、まずは量から入ることが少なくない。開発のプロセスに早い段階で試作品を作り、実際に使っているところを観察して製品向上に役立てていることも多い。

スポーツでもそうだが、試合をすることで自分の課題がわかるも多い。だから練習する。そして試合をする。これはスポーツ界ではMTM(Match-Training-Match)と言われ一般的な指導方法である。

つまり完璧を求めるのではなく、まずやること。
自分にとって効率の良い学習方法が何か色々試してみればよい。友達と学習しても良いし、一人で学習しても良い。
家でもいいし、図書館でもいい。
朝方でもいいし、夜型でもいい。長い時間でもいいし、短時間でもいい。
色々やってみればいい。
ダメなのは学習しない事。

実際私も教員採用試験と大学受験のときでは勉強方法が違っていたし、数年前に受験した在外教育施設(海外日本人学校)の勉強のときはそもそも働きながらの勉強だったから勉強時間が少なかった。
しかし、夜型から朝方に変えてみたり、仲間と一緒に勉強したり、1日1時間だけ集中して取り組んでみたりと方法は変わっても何とかなるものだと思う。

知っておいて欲しいこと。それは簡単なこと。楽なことはないということ。
トライ&エラーを繰り返して繰り返して、自分に合った学習方法を見つければよい。
逆に自分に合った学習方法が見つかったとき、すでにある程度の学力は身についており、学習にも以前より積極的に取り組めているはず。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?