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おすすめの子ども図書館


今回は番外編で東京都内の子ども図書館の紹介をしたいと思います。親子で、そして大人ひとりでも、きっといろいろな楽しみ方が見つかると思います。もちろん、いずれも無料。心豊かな時間が過ごせるすてきな場所です。

1.板橋ボローニャ絵本館

板橋ボローニャ絵本館は、板橋区平和公園の中にあります。木々の緑の中を歩いていくと、噴水があり、勢いよく水が流れています。真夏のじめじめした空気が一掃され、流れる水の音に心もうるおされる気分です。

公園の先に見えるアーティスティックな建物、そこが板橋ボローニャ絵本館です。外側の大きな窓ガラスごしに、絵本館の中をかいま見ることができました。入り口を入ると、カフェもあります。大人向けの図書館も併設しており、週末だったため、親子連れが多く訪れていました。

建物の1階が絵本館と児童コーナー、2階が一般図書とティーンズコーナーになっています。絵本館へ入ると、子ども用の小さないすとテーブルが並んでいるのが見えました。木のぬくもりを感じる館内、点々ともうけられた小さなスペースでは、本を手に取り、すぐに座って読むことができます。

この絵本館の大きな特色は2つ。1つは世界を知るための本が豊富なことです。日本をはじめ、世界の国々の自然、歴史、人種、民族、生活習慣、食べ物など、様々なジャンルの絵本を取り揃えています。コロナウィルスの影響などで長く海外に行くチャンスもなかったのですが、ひとたびページをめくると、写真やイラストのビジュアルとともにその国の雰囲気に触れることができ、わくわくしてきました。

2つめの特徴は、ほかの図書館にくらべ、マイノリティに関する、子ども向けの本がたくさん用意されていることです。障がい、ジェンダー、セクシャルマイノリティー、世界の宗教についてなどのジャンルの本が数多くそろえてあり、何より書棚の上のおすすめ図書のコーナーに、自然に置かれていたのが印象的でした。これらの本を選んだのはどんな人なのだろう、と思わず興味がわきました。

板橋区とイタリアボローニャ市との交流は1981年に区立美術館が「ボローニャ国際絵本原画展」を開催したことがきっかけだったそうです。その後、交流25周年の年に「友好都市交流協定が締結、19993年には「ボローニャ児童図書展」事務局から海外絵本の寄贈が始まりました。もともと絵本館の開設は2004年でしたが、2021年に今の場所に併設移転されということです。所蔵資料は31,448冊、世界約100か国、3万冊、70言語の絵本が所蔵されています。

世界の絵本に触れたい方は、ぜひ訪れてみてください。


2.国立国会図書館国際子ども図書館

JR上野駅の公園口を出て、国立西洋美術館を通り過ぎ、広場に出ると、目印の大きな噴水を見つけました。噴水の先に東京国立博物館が見ながら、左に曲がり、旧東京音楽学校奏楽堂を通り過ぎ、さらに進むとレンガ造りの建物が立ち並ぶ一角に出ました。街の景色が一変し、歴史を感じさせる建物群を前に、タイムスリップしたかのような感覚になります。まもなくして、近代的な建物が見えてきました。国際子ども図書館です。

この建物はもともと1906年に帝国図書館として開館、その後改修、増築を経て2000年国立国会図書館子ども国際図書館になりました。

外観、そして内観を見て驚嘆するのは、明治時代に創建された、レンガ棟の荘厳さとアーチ棟の近代建築との融合が見事になされているという点です。細かく美しい漆喰装飾、繊細なデザインのシャンデリアなど端正な美しさに心を奪われました。今ではあまり目にすることのなくなってしまった、貴重な歴史の遺産です。

アーチ棟は中庭を中心とした美しい曲線が特徴ですが、全面ガラス張りで図書館内部から見える美しい緑に、しばし、おだやかな気持ちにさせられました。本を読む、という目的だけでなく、歴史を感じ、建築の美しさに触れるという貴重な体験もできました。

ちょうど私が訪れた時期に、「東洋一」の夢・帝国図書館展が開催されていました。創設当時は東洋一をめざしていたといわれ、当時の建築に関する貴重な資料やかかわった建築家の紹介などがなされていました。普段は撮影不可の場所が会期中は撮影が許されており、多くの来場者が、その美しさを写真に収めていました。

本のミュージアム天井の装飾

帝国図書館にかかわった建築家は、帝国図書館新築設計委員を任ぜられた久瑠正道氏、帝国図書館の設計の原案を作成した真水英雄氏、真水氏の辞職後、工事監督を引き受けた岡田時太郎氏です。その後国際子ども図書館に携わったのが、旧帝国図書館の増築・復元にあたり、保存指導を行った坂本勝比古氏、エントランスからカフェテリア、裏外壁の東西を貫くガラスボックスをデザインした安藤忠雄氏でした。

国立図書館ですから、所蔵資料数は国内の本が333,790冊、海外の本が126,304冊という突出した数字になっています。

館内は、小学生以下を対象とした「子どものへや」、世界の国や地域の地理、歴史、文化を紹介する本が置かれている「世界を知るへや」、子どもの本の歴史をたどることのできる「児童書ギャラリー」、中学生・高校生のための「調べものの部屋」があります。

18歳以上の方向けには、児童書研究資料室があり、登録をすれば、だれでも利用が可能です。こちらは他の図書館では見つけられなかった、かなり希少な絵本などもきっと見つけることができると思います。

※以下、国際子ども図書館の子ども用、一般用のHPです。


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