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子どもが権利について知ることの大切さ②


子ども家庭庁による児童の権利に関する条約の認知度等調査での結果が2024年4月に発表されました。こどもも大人も、いったいどれだけの人が子どもの権利について知っているのか見ていきたいと思います。

また子どもの人権について、子どもたちが知ることのできる絵本やサイトを紹介していきたいと思います。年齢や理解度、子どもの興味に合わせて選んでいただけたらうれしいです。

1.児童の権利に関する条約の認知度調査

児童の権利に関する条約の認知度等調査及び同条約の普及啓発方法の検討のための調査研究結果」が今年4月に発表されました。

これによれば、児童の権利に関する条約の認知度は、小学1~3年生が16.8%、小学4~6年生が32.0%、中学生が43.2%、高校生が67.1%、大人が53.2%となっています。この中には、条約の名前だけ聞いたことがあるという回答も含まれており、知っていると答えた大人の半数以上が、名前だけ聞いたことがあると回答をしています。

子ども基本法については、認知度は、小学1~3年生が14.2%、小学4~6年生が15.9%、中学生が38.7%、高校生が57.4%、大人が56.8%となっています。こちらも同様、名前は知っているという人もその数に含まれ、中学生、高校生おとなとも、知っていると答えた人の半数以上が名前だけ聞いたことがあると答えています。

子ども基本法については、これを知ったきっかけについても調査をしています。小学1~3年生、中学生、高校生では、「学校の先生」の割合が他の選択肢と比べて最も高くなっており、小学4~6年生では、「テレビ」や「インターネット」が高くなっています。大人では「テレビ」ついで「インターネットが他の選択肢と比べて高くなっています。

2.人権について知ることのできる絵本

子どもたちが自分の権利について知る機会が増えることを願いつつ、今回は人権について知ることのできる絵本、サイトについてご紹介していきます。

①人間の権利(わたしたちの権利の物語)

この本は、さまざまな人権をとりあげ、その歴史と権利を獲得するために、世界の人々がどのように奮闘してきたのかを紹介しています。

女性の権利では望まない結婚、児童婚、幼すぎる出産について、子どもの権利については、子どもの遊ぶ権利、学ぶ権利について、また児童労働の禁止などが記されています。

自由に考え、自由に意見を言う権利の部分では、人権を制限する政府や権力者に反対する人々への、平和的な抗議行動への弾圧、言論の取り締まりなどが例に挙げられていました。

さらに、従来の枠におさまらない、新しい人権(知る権利、プライバシーの権利、環境権、生命倫理、犯罪被害者の権利など)の一つである「環境権」についても書かれています。環境権は、健康で快適な生活を維持するために、良い環境を享受する権利で、命にかかわる重要な権利として認識され、ここでは気候変動の問題への抗議活動などが取り上げられています。

世界で人権侵害を受けている子どもたち、また権利を求めて活動を行っている子どもたちの姿も描かれており、子どもたちが自分事として権利について考える良い機会になるのではないかと思います。

②ようこそ こどものけんりのほん

せかいじゅうの どんなこどもにも「にんげんらしく いきる けんり」がある。こんな一文からこの本は始まります。

国連の子どもの権利条約で保障された権利について、子どもたちが日常の生活場面のなかで理解できるようになっています。

たとえば、第19条のあらゆる暴力からの保護については、いうことをきかないからとひどいことをいわれたり、たたかれたり、どなられたりしない、まもってもらうけんりがあると書かれています。

また障がい、性の違い、その他の様々な個性にかかわらず、差別されず、自分らしく生きるけんりがあることにも触れられています。

さらに自分の意見をいい、聞いてもらえる権利があること、自分のことを決めるときに自分にとっての最善を考えてもらう権利があること、が記されています。

この絵本では、子どもたちひとりひとりの個性がえがしらみちこさんの絵を通して生き生きと描きだされています。そしてひとりひとりが尊い存在であること、自身の気持ちや意見はとても大切なのだというメッセージが心に残ります。深い学びとともに、かけがえのない自分という存在を再認識する機会になるのではないでしょうか?

国連「子どもの権利条約」については、日本ユニセフ協会による、子ども向け学習サイトもあります。

③こども基本法こどもガイドブック

この本の推奨年齢は、8歳からになっていますが、大人にもぜひ手に取っていただきたい1冊です。

はじめに、こども基本法についてのわかりやすい説明、子どもの権利条約との関係などについて詳しく書かれています。
続いて子どもたちからの相談内容に応じて、権利が守られないときは具体的にどのようにしたらよいか、さらに、実際に困った時の相談窓口についても記されています。

そして権利をどのように使うか、つまり、周囲に向けてどのようにアクションをしていくかについてもくわしく触れています。最後に政府による子ども大綱についても取り上げています。子ども基本法について、さらに子どもたちが自分自身が持つ権利について知り、考え、行動するきっかけとなる本だと思います。

次回は教育現場での人権教育について書いていきたいと思います。



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