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ニューロダイバーシティ

1.ニューロダイバーシティ(神経多様性)とインクルージョン(包摂)

ニューロダイバーシティ(Neurodiversity、神経多様性)とは、Neuro(脳・神経)とDiversity(多様性)という2つの言葉が組み合わされて生まれた、「脳や神経、それに由来する個人レベルでの様々な特性の違いを多様性と捉えて相互に尊重し、それらの違いを社会の中で活かしていこう」という考え方です。これらの発達障害を、能力の欠如や優劣ではなく、『人間のゲノムの自然で正常な変異』として捉える概念でもあります。①

発達障害は発達障害支援法で「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、その他これに類する脳機能障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」と定義しています。しかし、これらの特性を重ねてもつ人も多く、それぞれの障害を明確に分けて診断することは大変むずかしいことが知られています。また知的障害を伴うケースもあります。②

日本自閉症協会HPより

インクルージョン(包摂)とは、年齢や性別、国籍、学歴、特性、趣味嗜好、宗教などにとらわれない多種多様な人材が、お互いに認め合い、自らの能力を最大限発揮し活躍できることを指します。世界でも、そして日本でも発達障害をふくむ、様々なマイノリティ(少数派)とマジョリティ(多数派)がともに社会を作っていくことが求められています。

今、様々な研究の結果、特にデジタル分野で発達障害の人たちを積極的に雇用しようという動きがあります。国内では経済産業省がニューロダイバーシティを推進しています。そして、企業では彼らの能力が発揮できるための環境づくりなど、様々な試みがなされています。インクルージョンにより多様性社会をめざす、さらなる一歩と言えそうです。

歴史を振り返ってみると、分野は多岐にわたりますが、発達障害を持ち、卓越した能力を発揮した人物がたくさんいたことに、あらためて感嘆をおぼえます。トーマス・エジソン、アルベルト・アインシュタイン、スティーブ・ジョブズなどの偉業を考えると、その可能性をうかがい知ることができます。

それぞれに与えられた、特性と才能が生かせる場所がさらに増えていくことを切に願います。

2.ニューロダイバーシティについて知ることができる本

岩崎書店HPより

☆「多様性」ってどんなこと?④ ニューロダイバーシティってなんだろう
著:稲葉茂勝
出版社:岩崎書店

目安の対象年齢は、小学校高学年からになっています。もちろんニューロダイバーシティに興味のある、大人の方たちにも、ぜひ手に取っていただきたい1冊です。

ニューロダイバーシティの推進について (METI/経済産業省)
日本自閉症協会 - いろとりどりにおだやかに。日本自閉症協会の公式WEBサイトです。 (autism.or.jp)

次回は、多様性社会を目指すために必要な、セルフアドボカシーについて取り上げていきたいと思います。


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