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キャッシュプーリングとは

本日はグローバル企業における手元資金の有効活用とキャッシュプーリングについて記載します。

記事の前半部分は下記のサイトに記載していますので、そちらをご覧下さい。

■ 記事の前半

キャッシュプーリングとは

キャッシュプーリングはグループで資金を共有し、資金融通を効率的に行うために導入がされます。

キャッシュプールというグループ共通の池に、参加者全員の資金を集約し、その資金を有効に使えるようにすることで、無駄な銀行借入をなくし、利息負担を削減します。

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企業グループでキャッシュプーリングを作る

キャッシュプーリングは連結ベースでの資金の全体最適の目指すことが目的のため、原則、全てのグループ会社がキャッシュプーリングに参加します。

例えば、日本にあるA社グループのキャッシュプーリングであれば、効果を最大化させるために、本社であるA社の他に連結対象の子会社であるB社、C社、D社などがキャッシュプーリングに参加します

子会社の資金を親会社に集約させるケースが多い

多くの場合、子会社の資金を親会社に集約するスキームで、キャッシュプーリングの導入がなされます。

※詳しくはキャッシュプーリングのスキームの記事を参照

連結子会社の持つ余剰資金を親会社に集約し、親会社が銀行借入を返済することで利息負担を軽減させることを狙いとして導入がされます。

また、親会社から“目の届きにくい”子会社に資金を置かず、親会社に集約してしまうことで、資金に関わる不正リスクを低減する目的もあります。

現在の主流はクロスボーダーのキャッシュプーリング

2020年現在の主流はクロスボーダーでのキャッシュプーリングになります。

日本にあるA社グループのキャッシュプーリングに海外現法であるB社、C社、D社などがキャッシュプーリングに参加するのです。

クロスボーダーでのキャッシュプーリングは「グローバルキャッシュプーリング」とも呼ばれ、資金ポジションのグローバルでの最適化や海外現法の財務リスクマネジメントの導入が進んでいます。

日系企業で導入が進んだ背景はこちらに記載

インターカンパニーローンや配当での集約は手間が大きい

キャッシュプーリング未導入のケースで、子会社の資金を親会社に集約するにはインターカンパニーローン(親子ローン、小親ローン)もしくは配当などにより、資金を動かす必要があります。

しかし、そのためには実務上、多くの手間や時間がかかります。

配当であれば、取締役会の決議等が必要で、インターカンパニーローンでも貸付期間や貸付利息などの諸条件を決定し、決裁権限者の承認が必要です。

また、大企業の場合は決裁権限者の承諾を取るためには、資金計画などの試算や関係各署との調整が必要で決裁権限者に話を持っていく前の事前調整だけでもかなりの作業を伴います。

キャッシュプーリングは資金移動が簡単かつ迅速

その点において、キャッシュプーリングを用いた資金移動はより簡単で、迅速な資金融通が可能です。

詳しくはキャッシュプーリングの仕組み①、②に記載

物理的には毎日単位での資金集約がキャッシュプールでは可能で、子会社に取っては資金を今まで通り銀行口座においておくだけで、必要な時は取り出せ、通常のビジネスの邪魔にはなりません。

手間なく、即時で資金を本社に集約できることがキャッシュプーリングの大きな魅力で、これがグループの資金効率の劇的な改善につながります。

キャッシュプーリングの導入

日本企業でも日本国内においては、すでにキャッシュプーリングを導入し、資金効率を高めている企業もあるのかと思います。

近年、このキャッシュプーリングの技術が進歩しており、国や地域を超えて世界的に資金効率を強化するグローバルキャッシュプーリング(クロスボーダー・キャッシュプーリング)の仕組みができるようになっています。

日本、米州、欧州、アジア地区の全ての資金が1つのキャッシュプールに集まり、グローバルで資金融通をしあうことが可能になっているのです。

大企業ではどのようにクロスボーダーでのキャッシュプーリングを実現しているのでしょう。詳しくは次回の記事をお読みください。

● 次回の記事
キャッシュプーリングの仕組み①

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