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時代の波に立ち向かうものづくり企業とG-net。事業の継承と成長を支えるサポートを。

2021年に設立20周年を迎えたG-net。次の10年へ新たな一歩を踏み出すにあたり、関わりの深い方々にお話を聞きました。今回は、大東亜窯業株式会社の楓英司さんと眞和興業株式会社の眞野祥典さんの対談。ものづくり企業を担うおふたりが、G-netに期待するものとは。

G-netとのチャレンジから得た、刺激と気付き

―それぞれのG-netとの出会いについてお聞かせください。

楓:ちょうど私が大東亜窯業に入社した10年前に、G-netが協力企業を探して訪ねてきました。私も事業内容や趣旨をご案内いただいたのを覚えています。最初の数年は、弊社の常務が担当となりインターンシップを受け入れるなどしました。その後、右腕人材の採用、育成を目指す「ミギウデ」事業に参加した6年ほど前から、私が主担当となって継続的にお付き合いさせていただいています。

眞野:私がG-netを知ったのも、6年前の右腕人材のスカウト型合説がきっかけでした。県主催の中小企業の採用に関するセミナーで代表の南田さんの話をお聞きして。どのように人材を採用するのがいいか分からずにいた時期でもあったので、一度やってみようと参加しました。

―おふたりとも同じ時期にG-netとの本格的な関わりがスタートしたんですね。「ミギウデ」に参加してみていかがでしたか?

楓:合説の前にセミナーがあり、自社の人材や事業について改めて考える機会があったのですが、当時はすごく難しかった。「どんな人材が必要なのか?」「企業の目指すところは?」と問われても、なかなか答えが出ない。頭を捻り言語化する経験をして、考えを明確にすることが、結果的にミスマッチ防止につながると学びました。

眞野:同じものづくりの世界にいる人には伝えられるけれど、学生さんなど一般の人にどう伝えたらいいのか悩んだのは弊社も同じです。コーディネーターさんに随分力になっていただきました。スカウト型合説は、学生さんが企業に自分のプレゼンをするというやり方が新鮮で面白かったですね。一緒に参加した企業の方とお話しして、採用に関する様々な考え方や目線を知れたのも勉強になったと思います。

―「ミギウデ」の後、G-netとはどんな関わりを?

楓:外部人材受け入れプログラムのご案内をいただき、2019年末から2020年春に、3ヶ月のプロジェクトを実施しました。4名の兼業人材を受け入れ、当社の新製品を世に広めるための戦略を考え、実行してもらう。短い期間でしたが、クラウドファンディングへの挑戦と成功、SNSでの情報発信などいくつもの成果が残せました。プロジェクト後も継続的に関わり、事業の基礎を組み立てるお手伝いをしてくださった人もいます。また、コロナ禍においては、収入を失った学生の支援事業をご紹介いただき、リモートで関わる大学生アルバイトを受け入れました。インターンシップも含めて、多様な人材を巻き込むノウハウは蓄積されています。

眞野:外部人材受け入れプログラムは、弊社も2021年に営業力強化のためのプロジェクトを行いました。関東でコンサルティングに携わる営業経験豊富な方とのマッチングができ、精力的に活動していただけましたよ。兼業人材の受け入れは、引き続き前向きに考えていきたいです。

―インターンシップ、右腕人材の採用、外部人材受け入れプログラム。G-netの事業にいくつも関わったことで、ご自身や組織にどんな変化がありましたか?

眞野:G-netのセミナーで「人材をデザインする」というお話を聞いたのが、自社でどんな人材を採用し、どんな体制を整えていくのか考えるきっかけになりました。地域に根ざした中小の製造業者は、かつてのように「地元の高校生を採ればいい」と考えていてもダメで、国籍や年齢層も多彩な人たちを柔軟に採用しなくてはいけません。幅広い人材が働ける環境づくりにも力を入れる必要があります。会社の新しい形を考える際に、G-netの話や、セミナー、合説、交流会などで出会う他社の方々のお話が勉強になりました。

楓:「ミギウデ」や外部人材受け入れプログラムに参加し、たくさんの学生さんや兼業人材の方と出会う機会を得られました。そうした中で、大東亜窯業についてどう伝えるのか、プレゼンの仕方への考えが大きく変化しています。以前は、魅力的で誰にでも響きやすい言葉をつくろうと試行錯誤してきました。ただし、多くの人に興味を持ってもらえても、入社後にギャップが生まれては意味がない。仕事の大変さ、事業の厳しさもリアルに知り、なおも興味を持ってもらえる人を採用したい。G-netとの様々なチャレンジを経て、最適な地に足のついた方向性が見えてきました。

眞野:私もG-netとのやり取りを通して、眞和興業に合う人材採用の方法への気づきや、「こんなやり方もあるのか」と発見を得ています。常に挑戦し続けるG-netさんの姿勢は刺激的なもの。当社は60年続く企業ですが、決して守りに入ることなく現状を乗り越えていく姿を見習いたいです。

持続可能な事業の実現を目指す企業に、寄り添う支援を

―これからの G-netにどんなことを期待しますか?

眞野:働き方も人材採用の仕方も多様化する今の社会で、G-netの動きを見ていると、世の中がどう変化していくのか、その一端を窺い知ることができます。兼業人材、外国人、大学生などが、時代の動きに合った働き方ができるように、新しい価値観が定着するのに一役買って欲しいです。
他方で、ひとりの人材が企業の枠を超えて活躍できる動きが生まれるのもいいと思っています。例えば、総務のスキルに長けた人が、業種の異なる複数の企業の業務を担当するなど。人材活用の選択肢がもっと多様になれば、経済の悪化など苦しい状況も臨機応変に乗り越えていけるはず。そんな可能性もぜひ模索していただけたら。

楓:企業の課題もニーズも様々ですが、やはりG-netさんに大きな期待を寄せているのは、豊富な人材のネットワークを強みとしたマッチングの力だと思っています。その企業に合う人材とのマッチングを実現し、きちんと定着するためのサポートをしてもらいたい。

コロナ禍を受けて、事業のあり方を見直した企業は少なくないでしょう。弊社もそのひとつです。堅実な事業を続けていくために、今ある資産をどう回していくかを考えて、実行しています。生産方法の改善で不良品をひとつでも減らす。残業しなくてもいい中身の濃い働き方をする。無駄を徹底的に削り、利益が生まれる仕事を、適切な計算に基づいて実現していかなくてはいけません。キラキラとした理想を抱くだけでなく、確かな結果を残せるリアルなプロセスを描き、一緒に歩んでくれる人材とのマッチングへの要望は高まっていると感じます。

眞野:無駄をなくし減収しても増益を達成できる仕組みづくりは、今の時代とても大切なことですよね。弊社も「誠実・信用・節約」という企業理念のもと、不要なコストを削る取り組みなどを実践してきました。

楓:現実と真剣に向き合い着実なステップを刻む力は、中小のものづくり企業においてますます必要とされるものでしょう。そんな人材とのマッチング、育成の支援に価値を感じる企業はきっと多い。こうした流れを汲んだ伴走をしてもらえたら嬉しいです。


[登壇者プロフィール]

楓英司(大東亜窯業株式会社 専務取締役)

岐阜県土岐市で和食器生産事業を営む大東亜窯業株式会社に、次世代の経営の担い手として10年前に入社。同社は、和食器業界で初めて大型のトンネル窯を備え、生産力の高さを強みのひとつとしてきた。従前のやり方に縛られない社内改革を積極的に推進。協力企業と連携した業界全体の課題解決も目指す。

眞野祥典(眞和興業株式会社 代表取締役)

溶融亜鉛めっき事業で60年以上の歴史を刻む眞和工業株式会社の3代目代表。大型の公共建造物でも必要とされ、地産地消が基本となるめっき製品の生産を手がける。環境に配慮した数々の取り組みを実践。2021年に「はばたく中小企業・小規模事業者300社」に選ばれ、2022年には「2022愛知環境賞」を受賞した。


[聞き手プロフィール]

小林優太(ライター)
広告制作会社、まちづくりNPO法人での勤務を経て2018年に独立。「RACCOLABO」の屋号で、コピーライター、まちづくりコーディネーター、大学非常勤講師として働く。