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魅惑のオールドボトルに魅せられ、自宅にバーを設置。時が奏でる熟成酒の世界をご案内します。

食やITなど様々な領域において深い知見を持ち活躍するぐるなび社員を「ぐるなびスペシャリスト」と題してご紹介。今回はぐるなび社員の中で、最も「オールドボトル」についての豊富な知識を持ち、味わいだけでなく、歴史・文化まで様々な角度から「美味しいお酒」を研究し、日々楽しんでいるぐるなびスペシャリスト沼滝司の活動についてお伝えします。

はじめに

「オールドボトル」「熟成酒」「古酒」……。皆さんの中には、「もちろん知ってる」という方もいらっしゃるかと思いますが、「知っているが、ほとんど飲んだことがない」という方も多いのではないでしょうか?ここ数年、よく耳にするようになった「ジャパニーズウィスキー」など、まさに今、長い時を経た稀少な存在として「熟成酒」はジャンルを問わず世界から注目されています。

私がこの「熟成酒」の世界に出会ったきっかけとなったのは、百貨店に就職してまもなく、ワインや日本酒などの和洋酒のバイヤーとして、日本のみならず世界を巡り、さまざまなお酒に出会う機会に恵まれたこと。このバイヤー職を極めるため、全国の百貨店などへ卸売りを行う商社に転職し、主に欧州にて、ワイン、シャンパーニュ、チョコレートの買い付けを行ってきました。

ぐるなびに入社し、バイヤーとしての知識や経験を活かしながら、様々な業務を担当しています。ギフトとしても活用できる飲食店と協力したお取り寄せ商品を扱うECサイト「ぐるすぐり」の担当をはじめ、現在は行列の絶えない人気レストランなどに監修していただき、特別感ある食事を自宅でも楽しむことができる「ぐるなびPremium Meal Kit」の商品企画などを担当しています。

「熟成酒」などを直接販売する仕事とは離れていますが、食事とお酒は切り離せない関係にあるので、美味しい食事と最高のマリアージュを見つけることが楽しみになっています。現在は「熟成酒」に限らず、酒類全般の知識を網羅するため、自宅には様々なお酒を約3,000本ほど所有しています。

ちなみに、「熟成酒」を「オールドボトル」と呼ぶ場合もあります。特にウイスキーやバーボン、ラム、コニャック、ジン、ワイン、シャンパーニュなどの洋酒全般の「熟成酒」を指す際に使われますが、最近注目されている日本酒や焼酎、沖縄の泡盛の「古酒」なども「オールドボトル」と呼ぶ場合があります。

オールドボトルの魅力

さて、「オールドボトル」と言えば、定義は難しいのですが、一定期間以上が経ったお酒という事になります。何年経てば「オールドボトル」になるかというと、そこは曖昧な気がします。

例えば、ウイスキーの場合ですと、1953年に制定された古い酒税法で、アルコール度数が43度以上を「特級」、40度以上43度未満を「1級」、39度以下を「2級」として3つに分類していました。(1989年に改訂されその区分は撤廃)この時代のお酒は完全に「オールドボトル」と言えますが、その後の1990年代~2000年までのお酒も「オールドボトル」という事はできますので、そういう観点ではとても曖昧な表現かもしれません。

またラベルや、瓶が変更になったり、輸入元が変更になると前のボトルを「オールドボトル」や「旧ボトル」とも言うので、そういう意味でも「オールドボトル」の定義は広く曖昧かと思っています。

ところで、何故、そんな「オールドボトル」に魅せられてしまったかと言うと、やはり、「もう今は普通に買って飲むことができない」という点でしょうか。また、当時のモノづくりには、採算やビジネスよりも、美味しい物をつくる情熱が勝っていたような味わい、さらに温かみのあるラベルや瓶のデザインに作り手のこだわりを感じるからです。決して画一的で、効率化を優先した大量生産されていない「オールドボトル」は、心にぐっとくる味わいと衝撃を与えてくれます。

「オールドボトル」は日本酒、ワイン、ラム、ブランデーとジャンルを問わず、魅力があります。但し、全ての「オールドボトル」が現行品よりも美味しいというわけではなく、一部、飲めたものじゃないものも存在しますので、そこは注意が必要です。保管状況や、環境、酒質によって大きく左右されるためです。

「オールドボトル」を飲む機会があれば一度、是非試して頂きたいです。当時の想いを肌で感じられる貴重な体験となり、素晴らしい「オールドボトル」と出会った時は、至極の幸せを感じる事ができるでしょう。

自宅にバーを作りました

「オールドボトル」をより味わって飲むために、当時の酒器やグラス等のアンティークも趣味で集めるようになりました。アンティークグラスや、お猪口等の酒器も300個以上所有。現在、自宅の1室をバーに改装してホームバーを楽しんでいます。

バー巡りも好きで、現在はカクテルにもはまり、自宅にて特訓中です。カクテルは自由な発想で作ると意外に誰でも美味しいカクテルを作れると思います。ただし、スタンダードでクラシカルなカクテルは難しいです。カクテルは元々「自由な飲み物」だと思っていますので、ぜひ、皆さんもオリジナルのカクテル作りを試してみて下さい。

ウィスキーは一番古いもので、95年前のものから70〜80年前のものまで揃っています。泡盛は60年もの、日本酒は49年前のものまであります。

当時の原料や、時代背景、熟成による変化を、当時のグラス(オールドバカラ、サンルイ、ルネ・ラリック等)で飲む時間や味わいを感じて、古き良き伝統、文化、時間の流れをお酒やグラス、会話を通して楽しめればと思っています。さらに、いろいろなお酒とのマリアージュ、お酒同士のブレンド等も、日々勉強しながら楽しんでいます。そんな時間を多くの方と共有できるのを楽しみにしています。

“ちょい呑み”スペシャルアンバサダーを務めました

ぐるなびでは、部署を超えて新たな繋がりを作ってもらう機会として、社員が自由に参加できる「ちょい呑み」と題したイベントを定期的に開催しています。「ちょい呑み」では、毎回テーマを設定し、美味しいお酒とおつまみを用意し、マリアージュを楽しんでもらったり、社員の中から、スペシャルアンバサダーを選出し、食やお酒にまつわる知識を共有しています。

2024年2月20日(火)に開催された「ちょい呑み」では、ご指名を受け、私がスペシャルアンバサダーを務めました。題して『極上の魅力が広がる「ブランデー・熟成古酒ナイト」』。「熟成古酒」に興味を持っていただいた約20名が参加し、大盛況となりました。
今回のセレクトしたお酒は、2月ということで「バレンタインデー」を意識して、チョコレートとのマリアージュを楽しんでもらおうと、ブランデーをセレクトしました。

三大ブランデーの中のひとつ、最高級のフランスのコニャック(時価で7万円ほど)です。さらに、なかなか手に入りにくいと言われる日本酒の古酒「雪中梅」の20年物、10年物、18年物の古酒をブレンドして、栗の木や桜の木で作られた樽で寝かしたという熟成古酒など、渾身のラインナップを揃えました。

お酒のアテは、M.O.F.(フランス国家最優秀職人章)を受章した天才職人と名高いイヴァン氏のマンダリンチョコレートや貴腐ワイン漬けのブドウを使ったチョコレートなどの逸品を用意しました。

ブランデーをトニックで割ってみたり、古酒を熱燗にしてガーナチョコレ―トを溶かしてみたりと、おすすめの飲み方を紹介しましたが、皆さん、とても楽しんでいただいたようでした。今回のスペシャルアンバサダーとしてのミッション「オールドボトルの魅力を伝える」ことを無事に果たせたと実感しました。

参加者からは、「熟成古酒って何ですか?」、「ブランデーとウイスキーって何が違うの?」など、「オールドボトル」に興味を持っていただき、とても多くの質問をいただくことができました。

初めて飲むお酒に感動していただき、またチョコレートとのマリアージュも大好評でした。上質なお酒が繋いでくれた、あらたな交流を参加者の皆さんも楽しんでいました。

多くの人に「オールドボトル」の魅力を知ってもらうために

実は、私は「ソムリエ」など、お酒に関する資格を持っていません。というのも、型にはまった勉強で、お酒に関して自由な発想や、味の表現が出来なくなってしまうのではと個人的な懸念があるためで、一方でお酒に関する知らないことがあるのは避けたいと思い、これまでに酒類関係の本だけで100冊以上を読破し、常に日頃から新しい情報を頭に入れるようにしています。

自分が好きな「オールドボトル」の世界を多くの人に共感いただくことはとても有意義なことです。なかなか、積極的に「オールドボトル」を飲むという事は無いかと思いますが、勇気を持って、一人でも多くの方が、オールドボトル、古酒に興味をもって頂き、口にする機会が増えて、毎日の繫忙な生活の息抜きになればと思っています。



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