見出し画像

ぐるなびスペシャリストが立ち上げた「全日本芋煮会同好会」って知ってる?(前編)

食やITなど様々な領域において深い知見を持ち活躍するぐるなび社員を「ぐるなびスペシャリスト」と題してご紹介。今回は「全日本芋煮会同好会」という任意団体を立ち上げ、全国に「芋煮会」を普及している黒沼篤氏の活動についてお伝えします。

こんにちは、ぐるなび社員の黒沼篤と申します。ニックネームは「アンディ」!気軽にアンディと声をかけていただけたら嬉しいです。
出身は山形県。プライベートの食イベントなどでは産地表記の一環で「山形産です!」と自己紹介します。
 
現在は、プロモーション事業部パブリックアカウント部に所属し、省庁自治体をクライアントに、食関連のさまざまな公募、補助事業の営業を担当しています。みなさんご存じのところでいうと、「Go To Eat オンライン飲食予約事業」ではぐるなびの営業、契約窓口を担当させていただきました。その他自治体では、主に札幌市、新潟県、福井県などを担当しています。
 
2021年3月には東京・品川区から静岡県熱海市に完全移住しました。
熱海はJR東海道線だと2時間弱かかりますが、新幹線だと東京から40分以内とあっという間。「熱海に遊びに行きたい!」「熱海で美味しいもの食べたい!」という方、ぜひ気軽にご連絡いただけたら嬉しいです。

「ぐるなび」で働きたいと思った理由

ぐるなびには2015年4月に入社しました。「日本の食文化を守り育てる」という創業の想いにものすごく共感しました。入社当時は、食に対してとても熱い社員がいることにとてもワクワクしたことを覚えています。
前社長との最終面接では、「芋煮会」に対する質問だけで、なんと半分以上の時間が費やされました。しかも「その活動、僕も応援するからどんどん活動しなさい!」と温かい言葉もかけていただいたことで、社員の想いを尊重してくれる会社だと思いました。これが、ぐるなびで働くことを決心した理由のひとつでした。

「ぐるなびスペシャリスト」としての活動

担当業務にかかわらず、専門的な知識を持ち、活動している、ぐるなびの社員等を「ぐるなびスペシャリスト」としており、部署を超えた人的な交流を促進するほか、それぞれが持つ得意分野の知識をスペシャリストとして社内外に還元することで、働くこと、そして社会貢献につながる活動などへのモチベーションアップに繋げていこうと始められました。
「ぐるなび」ならではの食に関する専門知識をはじめ、さまざまな個性をもった社員等が自身の経験やスキルを共有しています。
 
私もそんな「ぐるなびスペシャリスト」として、「芋煮会」を通したコミュニケーションスキルの専門知識を生かし、社内でのワークショップ等にも講師として参加しています。

「芋煮会」は最強のコミュニケーションツール

2012年8月、全日本芋煮会同好会という任意団体を立ち上げました。
 たったひとりなのに「全日本」。芋煮会を日本全体に広める大義があり、ポテンシャルを感じ、大きな野望をもって本気で活動しています。


全日本芋煮会同好会のロゴ

みなさんは、「芋煮(いもに)」を食べたことはありますか?
山形では秋の味覚、郷土料理としても全国的にメジャーになりました。私の地元では、里芋をメインに牛肉・醤油風味でいただくのが定番ですが、地域によってメインのお肉や調味料、入れる食材が異なり、実にさまざまなバリエーションのレシピがあるんです。


東北の地域芋煮比較図

それでは、みなさんは「芋煮会」に参加したことはありますか?
特に東北出身者にとっては本当に思い入れのあるもので、人それぞれ芋煮会に対する熱量が違います。私の解釈では、芋煮会の魅力は、「持ち寄る」「一緒に作る」「シェアする」を実現できる、「最強のコミュニケーションツール」であることです。

芋煮会の理念

なぜ「芋煮会」? 震災復興活動が転機に

山形県民にとって、「芋煮会」子供の頃から必ず通る「食体験」であり、小学校の学校行事で子供たちでも芋煮を調理します。家族や近所のコミュニティでも、秋の稲刈りの時期(9月下旬~10月上旬)をメインに、秋の味覚「さといも」を使って、河川敷や公園等で毎週のように芋煮会が開催されます。この時期のおとなの飲み会は、芋煮を食べなくても「芋煮会」という宴会になるから不思議です。
 
山形県民の私にとって当たり前だった「芋煮会」の文化の存在が大きく変わったのは、2011年3月11日に発生した東日本大震災の復興支援活動でした。この活動が大きな転換点になったのです。
 
東日本大震災から1年経った2012年、私は前職でCSRの部署に所属し、東北の復興支援にかかわる活動を推進していました。その一つに、岩手県釜石市の仮設住宅の支援活動があったのですが、当時の仮設住宅に住んでいる方々は、支援される側から、経済面、精神面で自立に向かっていく時期でした。しかし、仮設住宅ではもとの居住地域に関係なく住まいが供給されるため、もともとご近所ではない方々と薄い壁を挟んで静かに生活しなければならないのが実情で、仮設住宅内でも孤立する方々が存在していました。
 
どうすれば孤立した住民が仲良くなれるのか、どうしたら自発的に行動しようと思っていただけるのかを考えていた時に、「みんなで芋煮会をやればいいんじゃないか?」と反射的にひらめいたのです。

とはいえ、同じ東北でも岩手県民にとっては芋煮会にあまりなじみがない。無理やり山形の芋煮会を押し付けるのは違う、と考えました。芋煮会の「みんなで道具や食材を持ち寄る」「大人も子供も役割分担してみんなで調理する」「輪になってみんなでいただく。おすそわけしあう」という特徴を生かしながら、その土地にあった郷土料理でやってみてはどうか?というアイデアが浮かんだのです。
 
当時の同僚と相談しながら、岩手県民になじみのある郷土料理の「ひっつみ汁」や、当時NHKの朝ドラ「あまちゃん」でも取り上げられていた「まめぶ汁」などでやってみよう、ということになり、釜石市のNPOと連携して2つの仮設住宅で「芋煮会スタイル」の食イベントを開催しました。
 
この「芋煮会スタイル」を取り入れたイベントは大成功をおさめ、その後、イベント普及のため、仮設住宅の自治会長や婦人会に説明会をおこなったのですが、その時のみなさんの希望に満ちた眼の輝きが、なんともキラキラしていて、思わず胸が熱くなったことが今でも忘れられません。

一緒にひっつみ汁を作る、釜石市内仮設住宅のお母さんたち

「芋煮会」が「Life Work」に

釜石市でのイベントを契機に、もっと多くの方にこの「芋煮会スタイル」のコミュニケーションを広げていきたい!という思いが強くなり、2012年8月に正式に同好会を立ち上げました。
 
そこからは、Facebookを中心に活動の様子を発信し、大小さまざまな芋煮会イベントを企画運営し続け、趣旨に共感して活動に参加してくれた仲間を「イモニスト」として認定し、気付いたらイモニストの人数もあっという間に200名を超える規模に拡大しました。
 
しかし、2020年1月、新型コロナウイルスの感染拡大により、感染リスクの高い食イベントが中止になるなか、私たちも2月以降予定していたいくつかの芋煮会イベントもキャンセルせざるを得ない状況となり、久しくイベント開催を自粛することにしました。
 
コロナ禍において、家族、友人、会社の同僚と気軽に外食することもままならず、ましてや食のイベントなど、企画する側も参加する側も躊躇する状況でしたが、2022年秋頃になって、屋外であれば小規模の芋煮会ができそう、ということで、熱海市内で熱海港が眺望できるロケーションで芋煮会を開催しました。参加者は、東京に住んでいた頃の友人、熱海に引っ越してきてからの新しい友人、そして会社の飲み仲間も参加してくれました。

熱海で芋煮会開催
芋煮完成!
みんなで乾杯

はじめての方同士でも「持ち寄る」「一緒に作る」「シェアする」コミュニケーションでぐっと距離が縮まり、その日からお友達になることができる瞬間を目のあたりにし、あらためて芋煮会の持つパワーを感じた瞬間でした。
 
ちなみに私は、仕事ではじめてお会いする方やお取引のあるクライアントに、芋煮会同好会の活動について必ずお話するようにしています。「日本の食文化を守り育てる」を創業からつなぐ想いとして活動するぐるなびの社員として、プライベートでも「芋煮会を通じて地域の食に貢献する」活動をおこなっていることに、高い関心をもっていただくことで、コミュニケーションが円滑になるだけでなく、自治体の事業のなかに芋煮会の考え方や手法を取り入れることについても、前向きに検討いただけるところが出てきています。

この芋煮会の理念「持ち寄る」「一緒に作る」「シェアする」は、「チームビルディング」「タスクマネジメントの研修」にも活用できます。
実際に、ぐるなびでも「芋煮会」を活用しており、これまで内定者を対象にした「芋煮会」や部署ごとの有志による「芋煮会」を定期的に開催しています。

チームビルディングに「芋煮会」を取り入れたユニークな新入社員研修

そんな「芋煮会」という最強のコミュニケーションツールをもっと多くの人に知っていただき、活用いただきたいと、この春新たな挑戦をすることになったのです!(後編につづく……)

みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!