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社長「お前多分脳の病気だから診察受けた方が良いよ」2

数日後、仕事終わりに社長の家に呼ばれた。
きっと数日前の怒られたことだろうと思い、嫌だけど行くことに。
社長は俺が傷つかないように言葉を選びながら最近のミスの多さについて指摘してきた。
俺に100%落ち度があったから本気で謝った。
痺れを切らしたのか、いきなり真顔でこんなことを言ってきた。
「お前多分脳の病気だから診察受けた方が良いよ」
正直かなり驚いた
けど自分でもそうなんじゃないかと思ってきたので黙って頷いた。
なぜなら自分でもミスが多いのを理解していたから。

平日に休みをもらい、精神科に行った。
医師には正直に話し、診断結果を待っていた。
待ち時間は不安で落ち着かなかった。
医師からADHD度と告げられ、処方箋の案内をされた。
医師の話が頭に入ってこない。
なぜならネットでADHDの特徴を見た時にそんな予感がしたから。
疑問が確信に変わった瞬間、死んじゃおうかとも思った。
精神科からの帰り道、泣きながら帰った。
当時はADHDなんて一般的に馴染みがなかったし「あぁ、障害者なのか俺は」と落ち込んでいた。

「社長になんて言おう」「病気を理由に自分のミスを正当化したくない」
そう考えた俺はもらった薬や診断書を川に捨てた。
「誰にも言わない」一人で抱え込むことにした。
もう精神科も行かない、自分でどうにかしてやる。

社長に電話して「何も診断されませんでした」と嘘をついた。
その瞬間から俺は「バカな健常者」になった。
ミスするたびにスタッドで殴られた。
スタッドとはこの金属の柱のことだ

そこから毎日誰にも言えない悩みを抱えて仕事に行く毎日。
哀しいかな、暴力には慣れてしまった。
だけどミスは治らなかったし、空気も読めなかった。

新しい現場の初日
社長と監督が打ち合わせをしていて忙しい。
材料も到着してないので逆算して工具の準備をしていた。
だけど準備はすぐ終わり、何もすることがなくなった。
上司はタバコを吸って休憩していたが、仕事のできない自分は人一倍働かなければいけないと焦り、打ち合わせ中の社長に「何かすることはありますか?」と聞いた。
「休憩してていいよ」と言われたが何か少しでもみんなの力になりたいと思いできることを探した。
材料が届く場所をひたすら掃除した。
掃除も数分で終わってしまって暇になってしまう。
「もう一回聞きにいけば何かできることがあるかもしれない」
そう思って社長に指示をもらいに行った。
何度もしつこい俺に社長はブチギレた。
二分くらい殴る蹴るの繰り返し、そして社長は俺にこう言った。
「もうマジで会社辞めてほしい」「お互いのためにも」
「一回タバコ吸って考えてきなよ」
今までとは違い、本気の目をしていた。
喫煙所には上司もいたので現場の向かいの川に行った。

「俺ってそんなに邪魔なのかな」「辞めた方が良いのかな」
「けどまだ諦めたくないな」色々考えた。
だけどよくわからなくなってしまい、親父に電話をかけた。
事情を説明し、どうしたら良いかわからないと相談した。
「もうやめちゃえよ、辛い思いしてそんなことする意味あるのか?」
悲しそうな声で言ってきた、俺は泣いてしまった。
「父親の顔に泥を塗りたくない」その思いだけで頑張ってきたから。
親父がそう言うのならやめようかなと思い、現場に戻った。

社長に「お?考えてきたか?」と言われたので、「もうみんなに迷惑をかけたくないのでやめます。今まで足を引っ張ってしまって申し訳ありませんでした。」そう言って帰ることにした。
社長は努力家でカッコ良かったから着いていきたかったけど、自分の病気のせいでみんなが困る顔を見たくなかった。
あの時諦めなければと何度も思う、いまだに。

長いので続きはまた胃が向いたら投稿します。

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